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僕は2001年入社です。当時、見ていたフジテレビのドラマは「空から降る1億の星」。知ってる人少ないだろうな…明石家さんまさんが主演でした。
ちなみに、僕の当時の入社式では、明石家さんまさんとダメダメボーイズが乱入してくれました。知ってる人も少ないだろうな。

入社式、結構賑やかにやってたんですよ。カメラを何台も出して、芸能人の人もたくさん来て、もう盛りあげて盛り上げて、で、翌日めざましテレビでフジテレビで入社式がありました、今年のアナウンサーですみたいな感じで紹介して。

当時のドラマといえば、やっぱり「踊る大捜査線」は外せないですよ、これは外せません。その後の「SP」。やっぱり男子ですからね。そういうのが好きで見てました。あとは「白い巨塔」なんかもね、2000年代やってましたけれども、いずれにしても高視聴率ドラマでした。

高視聴率だと何がいいのか。

アナウンサーとして入社し、夕方のニュースリポーターをやっていたのですが、自社のドラマをパクッて、真似てやったとしても、多くの人が見てくれてるから「あれね」ってすぐ理解してくれるんですよ。視聴率が低い、誰も見てないようなものを真似ても「なんだそれ」ってなっちゃいますけれども、高視聴率を叩いてる番組のものまねだとみんな見てるからね、やりやすい。

お台場・フジテレビ

しかも今はだいぶ変わってしまったんですけれども、当時2000年代の夕方のニュース視聴率は15、6%。僕が小型ジェット機で、台風に突っ込んだときは20%ぐらい取りましたから。

そのあたりのくだりはChapter 4で話しておりますので、ぜひ見て、聞いていただきたいなと思うんですけれども、何せね、勢いがあるときは、もうとにかく何でもやってみよう。面白ければいいんじゃないか、やってみろ!という空気に包まれています。

コンプライアンスっていう文字もね、あんまりというかもうほとんど意識されてなかった時代ですので。

青島刑事に白い巨塔もパクリまくり

何の取材だったかすっかり忘れたんですけども、やっぱり踊る大捜査線好きとしては、青島刑事をやってみたいわけですよ。しかもフジテレビに入ったわけですから。衣装さんに青島刑事と全く同じあのコートを発注して、それを羽織って、お台場を走りました。もちろん趣味で走るわけじゃありませんよ、ちゃんと撮影で。それが、しかもニュース番組ですからね。あれなんで走ったんだろう。全然覚えてないんだけど、個人的にはすごい嬉しかったし、やっぱり高視聴率のドラマだったので、その格好をして走るだけで青島さんじゃん、ってみんなわかるわけですよ。

だからそういう演出も可能となる。

そして、白い巨塔もね。ドロドロしたドラマでしたけれども。新しい方ですよ、昔のじゃなくて唐沢寿明さん主演で作り直した、リメイクしたものですけれども、やっぱりどうしても教授のご回診をやってみたいわけですよ。

フジテレビに健康相談室という、いわゆる保健室みたいなお医者さんがいるところがあるんですけれども、そこに行って「先生すいません、ちょっと一緒に出てください」とお願いして。それが許された時代ってのはすごいですよね。

しかも白衣まで借りちゃって「本来、白衣はお貸し出ししてないんですけれども…」なんて先生おっしゃってましたけれども、でもなんかちょっと面白そうということで僕に白衣を貸してくれて、うしろに先生と看護師さんを引き連れて、廊下を歩きました。
趣味じゃありません。もちろん撮影です。
あとノリがみんなよかった。どこの部署、どこのセクションにいても、なんとなくこういう明るい感じで、よしやってみよう、それに乗ってみよう、みたいなマインドですね。

名台詞を「スタンバイ」していたが

いろんなドラマをこうして振り返ってみても、みんな何か心に残るような、今ぱっと出てくるような、名言ってなかなかないと思うんですよ。それを思うと、やっぱり踊る大捜査線てすごかったなと思うのは、これですよやっぱり。

「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」

これはぜひとも使いたいと。なんと心に響く名言だ。しかも僕、現場のリポーターやってましたから。現場の判断ってね、ものすごく重要なんですよ。

進むか退くか。

そこの取材に、もっとどんどん行くのか、それとも退却するのか、という判断は、やっぱり経験値を積んだ人間が現場に立ってこそ、上に進言できるわけで、お台場の報道センターにいても、危険度とか、わからないじゃないですか。現場の空気とか、もちろんその本社サイドで「いやちょっと冷静になれ」というストッパーとしての役目は求められているんだけれども、一方で、知らないがゆえに、いやもうちょっと行けっ、てなっちゃうこともあり得るわけですよ。

だからそのあたりはやっぱり現場の意見を尊重して欲しいな、という思いをずっと現場に立っていた人間として思っていたので、これはいつか使ってやろうと。上司にね、電話でね。「事件は会議室で起きてるんじゃない!」みたいな。「報道センターで起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」と言ってやろうと。

結論から言うと、使える機会は全くありませんでした。

みんな優しくて。僕がそんな大声だす前にですね、ちゃんと意見を吸い上げて聞いてくれてました。
だからね、ああいう名言を大声でドーンという機会がなくて、逆に良かったななんて思ってます。

(voicy 2022年4月30日配信)

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