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自転車市場の可能性

今回は、いままで触れてこなかったスポーツについて触れていきたいと思います。第1弾として、自転車にフォーカスして触れていきたいと思います。


自転車市場の規模は?成長しているのか?

まず、自転車市場の規模を見てみると、2018年から2028年においてCAGR4.2%で成長していることがわかります。
また、Mordor Intelligence社の発表によると最も成長しているエリアはアジア太平洋市場であると報告されています。

自転車市場規模の推移
(Mordor Intelligence社発表より作成)

自転車市場の背景には、健康的なモビリティとしてみなされていることで市場が成長している背景があります。

実際に、自動車の販売台数よりも自転車の販売台数の成長率は著しく、1960年代には、同数程度の販売台数となっていましたが、現在では約2.5倍程度の差がついていると言われています。

例えば、2021年9月、オランダのe-bikeブランドであるVanMoofは、2020年から2021年にかけkてバッテリー駆動自転車(e-bike)に売上が3倍に成長したことから、VCから1.28億米ドル以上の資金を調達することに成功したと言われています。

しかし、Vanmoofは2023年に破産申請をしており、このビジネスの難しさも表に出ることになったのも事実です。

増加するサイクリングイベント

欧米では、サイクリングが関連したイベントが増加傾向にあると言われています。ドイツのAllgemeiner Duetscher Fahrrad-Clubの調査によると2022年には回答者の約96%が自分の自転車を所有していると発表しています。
また、政府による投資も進んでいます。アイルランドのスポーツ評議会によるとサイクリング・アイルランドへの投資は2021年の51.8万米ドルとなっており、自転車文化が定着する為に政府が力を入れて投資を行っています。

ちなみに、国別の自転車の台数を見てみると、中国がずば抜けて多くなっていることがわかり、次いでアメリカ、日本となっています。
ちなみに、毎週自転車を利用する人口が多い国は、インドとなっており、僅差で中国とオランダであるとMordor Intelligence社は発表しています。

アムステルダム市の交通手段別の割合
アムステルダム市アクセシビリティ統計より引用

これは、オランダの主要都市であるアムステルダムの交通手段の割合を表したものです。自動車の割合が減っており、自転車の割合が増加していることがわかります。市民の35%が通勤や通学に自転車を使っています。その背景には、オランダ政府による取り組みが影響していると言われています。オランダ政府は通勤者専用のサイクルロードを作るために約2,600万ユーロ、また自転車の駐輪場を整備する為に7,400万ユーロなど、これまでに約3.5億ユーロの投資をしています。また、自動車に係る自動車税やガソリン税も高くなっており、生活者の多くは自動車から自転車への切り替えを検討するような仕組みが作られているのです。

誰もが一度は聞いたことがある「ツール・ド・フランス」ってなに?

ツール・ド・フランスは、毎年7月にフランス及び周辺国で開催される自転車のロードレースです。1903年から開催されており、主催者はフランスの大企業であるアモリ・スポル・オルガニザシオンとなっており、参加にスポーツ新聞の「レキップ」や一般紙「ル・パリジャン」を抱えています。

23日間の日程で行われるレースで、距離は3300km前後となっています。また高低差が2000m以上と言われており、過酷なレースと言われています。
大会には、スポンサーの名を冠した8人編成(最低6人)のチームが20-22チーム参加しています。大会には、欧州のみならずアメリカ、オーストラリア、カザフスタン、コロンビアなど、様々なチームが参加するようです。

賞金総額は、2022年大会では€2,282,000と言われており、各ステージの優勝者には€11,000が支払われたと言われています。

ちなみにツール・ド・フランスの収入の内訳は下記となっており、放映権料が55%を占め、スポンサー料が40%、残りの5%を開催地からの収益となっています。

ツール・ド・フランスは世界195か国のうち186ヵ国で放送されている人気コンテンツの一つで、放映権料の一部を担うフランス・テレビジョンとの契約だけでも年間2500万ドル相当と見積もられるほど、人気コンテンツなのです。
収入の40%を占めるスポンサー収入は、キャラバン隊に33ものブランドが自社ロゴを掲載する為に25~60万ドルを支払い、21日間のレースの中で観戦に訪れたファンに1500万個ものグッズを配ったと言われています。
また、他にもツール・ド・フランスには個人総合1位の選手が着用する「マイヨ・ジョーヌ」や、ポイント賞受賞者であることを示す「マイヨ・ヴェール」などの様々なジャージが存在しており、そのジャージにもスポンサー企業のロゴを掲載することができるようです。

実際、マイヨ・ジョーヌにロゴを掲載しているフランスの銀行LCL社は、毎年1200万ドルを支払っているようです。

このように自転車市場は、生活者視点及び競技視点という様々な視点から注目されるビジネスであるようです。
日本国内では、ツール・ド・九州などが開催されたり、JCLというプロサイクルリーグもあるようです。
ぜひ、見てみてください。


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