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ヴュルツブルク 写真で思い返す南ドイツの小さな観光街

ドイツの古都ヴュルツブルク

2年間ベルリンで過ごした後ヴュルツブルク音楽大学で4年間勉強した。ヴュルツブルクという人口13万人ほどの小さな街はドイツのちょうど中央、フランクフルトから電車で1時間ほどのところにある。今はバイエルン州に属しているが”フランケン地方”と分類される。

歴史は紀元前までさかのぼり、ゲルマン民族大移動の頃にフランク人が定住したと言われている。7世紀にはフランク王国の諸侯領が置かれていたとても古い街である。ヴュルツブルクにくるまではこのフランク王国が2つに分かれ片方がフランスになったなど知らなかった。大航海時代以降の世界史Aは良い授業だったからよく勉強したが、その前史の世界史Bはまるで記憶にない。受験でも世界史は使わなかったのもあるが。

ヴュルツブルクは8世紀に司教座が置かれたこともありこの一帯では宗教的に重要な街になっている。そのため教会がとても多い。

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この写真は市庁舎の塔の上からの景色。ラッパ手が時報や様々な知らせをしていた時からの名残である。普段は入ることができないが、市庁舎の改装をしたときにそこでバロックトランペットという古楽器でファンファーレを吹くという仕事をした時に撮った写真だ。

オレンジ色に統一された窓と教会の屋根はまさにヨーロッパという景色で、フィレンツェを思い起こさせる。下を歩いているとそのような感覚はないが。

マリエン橋で飲むフランケンワイン

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旧市街の中心にはマリエン橋という橋があり、像がいくつも立っている。プラハにそっくりだ。マイン川にかかるその橋は街一番の観光スポットで、みんな写真を撮って賑わう。

橋に面したレストランは夏になるとグラスワインを提供するのでみんな橋で爽やかな風にあたりながら名物であるフランケンワインの白を楽しむことができる。ビールを飲んで騒ぎたい若者よりも陽気な中高年が多く、踊っている人もいる。

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フランケンワイン

ヴュルツブルクはドイツでも有数のワインの名産地で、”フランケンワイン”と呼ばれる。このような特徴的な瓶の形をしているのですぐにわかる。この瓶の形は偽造ワイン防止のためにできたもので、それが結果的にブランドを表すいい効果になっている。

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特に有名なのはBürgerspital(ヴュルガーシュピタル)という醸造所で、レジデンツのすぐそばに店がある。レストランも教会までも併設しているこの店はとても歴史深い。

日本人は海外旅行ブーム以来の良客なようで、店の主人は「甘い」「辛い」など少し日本語を話す。それなりに良い等級のワインを買っても15€程度とさほど高価ではないし(ドイツで考えるととても高価だが)、みんな1本くらいは買っていく。

観光に来た友人の通訳をした時は飲みきれないというくらい試飲させてくれた。ドイツのワインは基本的に甘口のものが多いし、等級が上のEisweinやBeerenausleseなどはトロっとしていてとても甘い。デザートワインとして楽しむのもいいがもちろん辛口も売っているのでRieslingなど買ってみるといいだろう。

赤は文化にないので間違っても購入しない方がいい。とても薄い。

ヴュルツブルクのレジデンツ

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ヴュルツブルクのシンボルと言えば世界遺産になっているレジデンツというバロック様式の宮殿だ。中に入ることもでき、夏には”モーツァルトフェスト”という名前で中の広間でコンサートをしている。数回野外コンサートもあり、一度真夏の夜の夢を聴いたのが懐かしい。

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みんなビールと椅子を持ってメンデルスゾーンを聴く。とてもドイツ的で素敵なイベントだ。

春の桜もすばらしい

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レジデンツはとても大きく立派な建物だが外観はとても地味な色合いをしている。これは民衆からの反感を買わないためだったらしい。正面から入ったところにある「階段の間」はとても柱が少なくかなり広い吹き抜けになっている。

18世紀当時はかなり革新的だったため「絶対に崩れる」と酷評されたそうだが、設計者のバルタザール・ノイマンは「砲弾が撃ち込まれても崩れない」とその設計を変えなかったらしい。事実第二次世界大戦の空襲でも階段の間だけは崩れなかったのだそうだ。

レジデンツの前の敷地は巨大な駐車場になっていて横には中世からの門がある。

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しかし馬車の時代の設計なので、車はぎりぎりすれ違うことはできない。必ず一方が待たなければならないのでここはいつも混んでいる。ちなみに音大はこのすぐそばにある。レッスン棟と講義棟に分かれていたのでその行き来にはいつもレジデンツの前を通っていた。

レジデンツにも広く整えられた庭があり、その入り口にも立派な門がある。野外コンサートの時はここが入場ゲートになる。とても風情がある。

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マリエンブルク要塞への散歩道

街を歩いていると常に目に付く建物がある。マイン川の向こう側の丘にあるマリエンブルク要塞もまた歴史の史跡である。

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ここへ行くには橋を渡ってすぐに目に付く看板に従っていけばいい。それかGooglemap。要塞そのものや建物の中は特別美しいというわけではないが、行くまでの道と要塞からの景色を見るためにも天気のいい日に行ってみてほしい。

ブドウ畑を眺めながら優雅に散歩できる。このブドウ畑の前をぐるぐると回る道と急斜面をガンガン上る道がある。

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リースリングなどのブドウがたくさんあり間近で眺められる。ワインで栄えてきたこの街の歴史を感じることもできる。道の途中で眺める街の景色もとても美しい。

ドイツ旅行に行く際は、ローテンブルクやバンベルクとともにぜひ訪れてみて欲しい思い出の街。



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