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PYPにおける平和教育(Part2)

今私は国際バカロレアの認定校であるサニーサイドインターナショナルスクールで小学5/6年生の担任をしており、ヴィゴツキーの学習理論である社会構成主義の学びをどのように実践しているのかをまとめていけたらと思います。まだまだIB教員2年目の実践ログなので、どのような場面に難しさを感じながら社会構成主義の授業にトライしているのかについてまとめていけたらと思います。
今回のnoteでは、「情報から知識」にどのように引き上げていくのかのプロセスの考え方と具体について紹介していけたらと思います。


このユニットのカリキュラムとこれまでの流れについては以下のnoteにまとめてあります。

先週1週間は、ケーススタディということで、過去に起きた様々な戦争の事例をリサーチしていきました。今週からは、集めてきた情報を整理し、一般化していくプロセスに入っていきます。


引用元:DIKW pyramid Wikipedia(リンク

DIKWモデルでは、データ、情報、知識、知恵の4つを以下のように分類します。

・データ=数値や実験結果、文章、音声、動画など人間の解釈の素材となるものすべて
・情報=データを整理・分析し、解釈できるようにしたもの
・知識=情報を通してデータや情報、体験を通じて得られた理解ノウハウ
・知恵=知識を深く体得することで身につく、普遍的な問題解決能力発想力

参考「DIKWモデルとは? (リンク)」

STEP3:Investigate(調べる)

リサーチして集まった情報がこちらです。
① 風刺画

子どもたちが描いた風刺画

② リサーチシート

子どもたちのリサーチシート(一部)

ここに18個の風刺画とその争いの背景となるリサーチシートが集まりました。

STEP4:Organize(整理する)

Activity 1(マッチング)
まずは、情報整理のスタートとして、風刺画とリサーチシートをマッチングさせるワークを行いました。子どもたちは、リサーチシートに書かれている情報をもとに、風刺画の絵に描かれているモチーフと情報を重ねていきます。さらに、風刺画とリサーチペーパーと戦争(戦い)の名前のマッチングを行い、トレーディングカードの作成に入っていきました。この作業がとても重要で、IBの学び(概念型理解のカリキュラム)では知識は必要ない。という誤った見方も時々ありますが、概念型理解のカリキュラムでは、事実をもとに一般化を作り上げていくので、事実となる情報の理解のプロセスはとても重要になります。

思考する教室(pg.11)概念を基盤とした3次元のカリキュラムと指導

さて、せっかくなので風刺画の一部を紹介したいと思います。

「この風刺画は何の戦争が起きる原因となった様子を表した風刺画でしょうか?」

まだ、このリサーチシートからどのようにこの風刺画になったのかの説明を聞いてはいないのですが、日本とアメリカの当時の様子をしっかり表せていると思いました。日本が中国と日中戦争をしている間に、アメリカは武器などの支援を中国に行うことで、日中戦争は日本にとって泥沼化していきました。なかなか思うように前に進めないのが、アメリカに原因があるのではないかと考えていた状況も、2つの車が向き合っている様子でうまく表現されています。さらに、アメリカが原油の輸入を禁止する経済的な制裁を行いました。この制裁により、船などの軍機が動かせなくなることを表現するために、燃料が必要な車で表現しているのもうまく表現できています。さらに、真珠湾の奇襲攻撃の様子も、止まっている車に突然ぶつかっている状況も細かく表現できています。

Activity 2(KJ法)

まずは、18枚のカードの風刺画と説明をみながら、なぜ戦争や争いが起きてしまうのかについてのパターンやつながりを見つけるワークをKJ法で行いました。ここでは、自分がリサーチしてまとめた情報をもとにクラスの中で知識をつくり上げていくので、自分が調べた情報に責任を感じた人も出てきたと思います。学習というのは、自分だけの責任ではなく、集団の学びへの責任をもつことも社会構成主義の学びでは大事な考え方になります。まずは、4/5人のグループで戦争の原因の分析を行い、そこからジグソー法で異なるグループのアイデアを統合する活動を行いました。

STEP5:Generalize(一般化する)

いよいよ、パターン分析で見えてきた情報から、一般化をつくりあげるフェーズに入っていきます。自分たちで過去に起きた戦争の事例を1人1つずつ担当し、集まった事例を集めて戦争の原因のパターン分析をチームで行ってきました。最後は、パターンで分類する過程で話し合ったことを個人で思考を整理しながら一般化していくフェーズになります。

子どもたちの探究は続いていきます。

いつも読んでいただきありがとうございます。


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