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らしくないけど、マスターズの話

「いやあ、俺も泣いちゃったよ。なんだろうね。実況の人も中嶋常幸も、もうひとりの、あ、宮里のお兄ちゃんも優勝のあとしばらく言葉が出ないんだ」
「やっぱり、日本人で初めてとか、それだけすごいことなんだよ」
「でもそれだけじゃないような気がする。う~ん」
「だって最終日のラウンドは大変だったから、そういうのもあってなんだろうし…」
「そういうこととも違う何かがあるような気がするんだ。じゃあ錦織がウィンブルドンを取ったら同じようになるかな」

妻とこんな風な朝の会話があってから、考えた。

僕はゴルフはたいしてやってないし、しいて言えばレジャーゴルファーっていう言い方があるかどうかも知らないけど、まっすく飛ばないぐらいの、100切るのいつなの?ってそんな部類。
それでも最終日のオーガスタは早起きしてテレビ観戦した。

1位でスタートしても、力強いとか上手いというよりも、大きく崩さない感じ、それでもチャレンジした結果の池ポチャがあったり。
観ていても緊張した。
フィニッシュもバシッと決まったわけではない。
表彰式で口にした喜びと感謝は、少ない言葉の日本語。
最後にThank youだけ、少し大きな声だった。

ゴルファーの年齢層どおりと言ってしまえばそれまでだけど、壮年以上の人たちをこれほど感動させるスポーツのウィニングシーンは記憶にない、と思った。
結局は、誰かと競うのでなく自分と闘っているのだということが、画面から伝わる。
人生は悲喜こもごもという陳腐なフレームに自身の半生を重ね、松山選手が淡々とふるまうほどにグッときてしまう壮年たち。
映画に例えれば、共にラウンドした共演者シャウフェレ選手があってドラマは成った。
最後の最後で崩れてしまった彼だが、他のスポーツで言うグッドルーザーではなくて良き共演者だった気がする。

お前にゴルフを語れるか!と週2ラウンドの同級生に笑われそうだが、なんだか書いておきたかった。

#スポーツがくれたもの #読書 #旅行 #ワイン #世界史 #エッセイ #サッカー #松山英樹 #ゴルフ

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