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九州新幹線の途中下車/出水

今年の5月、指宿、枕崎を巡ったあとに鹿児島から福岡へ向かうことなったので、念願の九州新幹線に乗ることができた。
出発を待つ鹿児島中央駅のホームでは、少年のさまで新幹線の鼻先や駅名看板、ビルの合間から見える桜島などを撮った。

旅は、まあ行ってみようか、という直感的な行動が案外面白いことになるという経験則がある。そこで読み方も知らなかった出水(いずみ)駅で途中下車することにした。

人口5万人の市にある新幹線駅は、鹿児島中央駅から30分弱の2駅目。出水を選んだ理由は、妻から「インスタグラムで13万フォローを集める金物屋さんがある」と聞いて、なんとなく決めただけ。

駅から金物屋まで2kmぐらい。私の大型バッグは入らない小さいサイズのコインロッカーしかないし、駅員は「荷物預り所はありません」とつれない。バスもタクシーもない小さなロータリーに立って、どうしたものかと思っていたら貸自転車があった。
尋ねると、僕のバッグを見たスタッフがレジ脇に置いてくれるというので有難い。500円を支払って自転車を漕ぎだした。

Y金物店は、なんの変哲もない金物店だった。日本中のどこの町にも必ずある、建材を探す業者もボンドや軍手を買いに来る個人客もいるようなといえば想像できると思う。
ただ、通りを挟んだところに食器だけを集めた小さな別店舗があって、そこに置かれた食器類の品揃えがユニークだった。インスタで人気なのは品揃えのセンス以上に女性主人の撮影センスに寄るところが大きいに違いない。

小皿を2つ購入して、新幹線の時刻表を見ると十分時間があるので、貸自転車屋で教えてもらった「武家屋敷」の一帯を周ってから駅に向かうことにした。
後で調べて知ったことだけど、薩摩藩が置いた外城(とじょう)と呼ばれる地方支配の拠点の中でも最も大きな所が出水。政務や地方警護の武士が住んだらしい。現存している武家屋敷群は日本最大級で、国の重要伝統的建造物群保存地区になっている。

金物屋も面白かったけど、寄り道ついでで図らずも趣のある武家屋敷界隈を自転車で走った。
なかなか良い数時間だった。

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