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ラストシーンで語られる映画のよう

長いお別れ/中島京子

認知症の夫と妻はふたり暮らし。家を出ている娘たちはそれぞれの生活に追われている。長女は夫と高校生と小学生の息子とアメリカに住んでいて、夫と小学生の息子と暮らす次女は妊娠中、独身の3女は仕事漬けで恋愛に悩んでいる。

夫、お父さん、おじいちゃんでもある、病が進行するかつての大黒柱。
彼に向ける家族たちそれぞれからの目線、それぞれからの語り。
温かい物語に熱い涙をこぼしてしまった。

なんと言っても素晴らしいのは終盤。まるでラストシーンで語られる映画のよう。
文章描写は、カメラアングルの寄り引きまで感じさせる。

「長いお別れ」というタイトルの理由は、読み終えて深く理解できる。



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