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お寿司で育ちマガジン

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板前をしていた頃の経験を文字に起こしたものをまとめます。
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Z世代に伝えたい「素直にバカになれ」という教え

Z世代に伝えたい「素直にバカになれ」という教え

「令和の時代に何いってんだ」と思われるかもしれない話をさせていただきます。

組織のなかで、人間関係がうまくいかないことがある方は、今回のnoteが少し役に立つかもしれません。

また、社会人として学び、成長することにも影響する可能性があります。

今回は、この経験がなければ平社員からステップアップすることが絶対にできなかった、板前一年目、入社後3ヶ月時点の体験について書かせていただきます。

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接客業はクレーマーの愛情を知る

接客業はクレーマーの愛情を知る

接客業の仕事をしていて、何より恐ろしいのは『クレーム』でしょう。

クレームで名指しされた暁にはゼーレのような大人たちに囲まれ、「原因は?」「君の悪かったところは?」「おいこら俺の査定どうすんだよてめえ」などと問い詰められる。

免罪符はない。謝罪も意味を持たない。

接客業の名指しクレームは本当に恐ろしい。

しかし。

私の思い出の中にはこんな言葉があります。

「クレーマーは、そのお店に行き

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魚の心臓をたべる

魚の心臓をたべる

「しまあじの心臓ある?」

(うまく解釈できずに)ギョッとするのを通り越してフリーズしている私に、彼は重ねてこう言います。

「いや、あそこで泳いでるからさ」

「あ、はい、泳いでいますね」

私は生き物が苦手です。

ほとんどの生き物、犬と人間以外(それらも親密な関係性がないと無理ですが)には、触ることができません。

そんな私が「魚介類」に触ることができるのは、生き物だと思っていないからです。

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板前とお客様の不思議な関係

板前とお客様の不思議な関係

板前は一度お会いしたお客様の顔を忘れません。

さらに、すべてのお客様との会話の内容や、お好みのネタ、お好みのお酒、会話のテンポ、(裁量によりますが)ちょうどいい距離感も、脳に記憶します。

それは訓練をすれば誰でも身に着けられる「技術」ですが、なぜ板前にはそのような能力が求められるのかというと、

もちろん「お客様に喜ばれるから」ですが、私はそれが不思議で仕方ありませんでした。

「美味けりゃい

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