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継承から誕生、そして継続の物語「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」【追記】

前回、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」のレビューで、映画内のゲームの扱いについてコメントしましたが、ちょっと気になって改めて確認したところ、認識の異なっていたところがありましたので、補足させていただきます【ネタバレ】


1.オリジナルからの継承

劇中、ピザ屋で客のおじさんが「ドンキーコング」をプレイしているシーンで、マリオとの奇妙なやり取りがありました。

会話の内容はうろ覚えですが、マリオが「僕のしゃべりおかしくないかな?」みたいなことを言って、おじさんが「完璧さ!」と答えるような内容でした。

ストーリーの流れに関係なく、会話の意図も良くわからない内容だったため不思議に思っていましたが、後の情報で、このおじさんはゲーム版のマリオの声優さんのカメオ出演ということを知りました。

つまり、あのシーンはマリオという役の”継承”のシーンだったということです。
(日本版を含め、各国語版でもあのおじさんは本人がそれぞれの言語で吹き替えているとのことですので、そういうことだと思います)

2.名無しからヒーローへ

そして、その時プレイしていたゲーム機の筐体には「ドンキーコング」ではなく、「ジャンプマン」というロゴが描かれていました。

これ自体は映画の視聴時に気づきましたが、前回の記事で指摘した「ドンキーコング」の存在を知らない世界線でその名前が出てくるのはおかしい、ということでそうしたのかなと思っていましたが、上記の”継承”という観点から考えると、違う理由が見えてきます。

そもそも、「ジャンプマン」はドンキーコングの開発中の名前で、マリオも”ミスター・ビデオ”という開発中の名前のまま、当時はマリオという名前は付いていなかったそうです。

また、これは気づかなかったのですが、映画後半、舞台が人間界に戻ってクッパとの最終決戦を行うシーンで、再び「ジャンプマン」の筐体が映し出されるシーンがあったそうです。

その後、マリオはクッパを倒して世界を救ったヒーローになるわけですが、つまり演出意図としては、何者でもなかったただの「ジャンプマン」「マリオ」というスーパーヒーローになる瞬間を描いた物語で、そのためのゲームのチョイスだったということです。

3.継承から継続へ

そう考えると、前回テンプレ扱いしてしまいましたが、マリオがダメ男扱いされている冒頭も制作側の意図通りで、1作目としては適切な判断だったといえそうです。

思えば、マリオの声優として「クリス・プラット」が起用されたとき、ゲームのイメージと違うと結構叩かれた印象があります。

しかし、髭のせいで年齢不詳ですが、本作のマリオは駆け出しの配管工で、20代半ばで独立した血気盛んな若者の設定です。

本作だけで完結するのであれば、オリジナルのゲーム版の声優さんを起用するで問題なかったと思いますが、続編を匂わすエピローグを見ても、最初から長期シリーズとして計画していることが伺えます。

そうであれば、声優を変更しての心機一転も必然ですし、オリジナルに敬意を表した”継承”のシーンもより感慨深く映ります。

4.前回記事の訂正

ちなみに、「そうは言ってもゲームにドンキー出てるんだからやっぱおかしいよな」と思って、件のシーンを見返したところ、何とゲームの登場キャラクターのドンキーは雪男みたいなキャラクターに置き換えられていました。

プレイ中はおじさんの陰に隠れていて、一瞬しか見えなかったので見逃していましたが、一応、自分が指摘した矛盾は無いように気を配られていたようです。

ともあれ、今回の発見により気になっていた部分がクリアになりスッキリしたのと、続編だけでなく、スピンオフなども含めた長期シリーズが期待できそうな印象を受けましたので、ますます今後の展開に注目したいと思います。

↑映画に挿入されていたナンバーはスーパーマリオ発売年のヒット曲で、当時のノスタルジーを呼び起こさせたいという意図だったそうです(サントラには予定されていたゲームをアレンジした曲も収められているとのことで、そっちバージョンも観てみたいです)。

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