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ゴジ泣き?your story?どうだった「ゴジラ-1.0」【ネタバレ】

という訳で、酷評も多かった「STAND BY ME ドラえもん」「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の山崎貴監督作品ということで構えてしまい、少し様子を見ようと思っていましたが、プレミア上映で零れ落ちてきた評判がすごぶる良かったため、さっそく観てきました。


▼はじめに

本稿は最初に述べたような本作の監督の他の作品にある程度知識があったり、気にはなっているけど「本当に大丈夫か?」と心配している人に向けて、ガイドとなるような心構えをお伝えできればと思い、記事にしています。

ネタバレなしで語れるようなことは告知映像で見られるので、予告で興味を持った方はそのまんま楽しめるので、安心して観に行ってしまって良いと思います。

以下では本編の感想を述べていきますが、ネタバレありとなりますのでご注意ください。

▼視聴前提

さて、感想の前に前提として自分のゴジラ及び山崎貴監督作品との接点をお伝えすると、ゴジラはエメゴジ、レジェゴジ、シン・ゴジは見ていますが、平成ゴジラは見ていません(ガメラはなぜか見ている)。
なお、昭和ゴジラは子供のころに何作かTVで見ているはずですが、記憶が断片的で登場する怪獣の名前と見た目は知ってる位の感覚です。

ちなみに、個人的評価としては、エメゴジ「最悪」、レジェゴジ「結構良い」、シン・ゴジ「超良い」という感じで、山崎貴監督作品としては「三丁目の夕日」シリーズ好き、「アルキメデスの大戦」面白い、「ユア・ストーリー」最悪、「ドラ泣き」一応配信で見ようとしたが序盤で脱落、という感じです。

▼全体感想

それで本作ですが、結論から言うと下げたハードルのままで観に行っていれば「素晴らしい!」となったかと思いますが、絶賛の声でハードルを上げて観に行ってしまったため、個人的には「想像を超えた~」というところまではいかなかったかな、という印象でした。

もちろん、映像表現やシンゴジではスパッとそぎ落とされていた人間ドラマなど見ごたえのあるパートも多々あったのですが、多分に好みの部分で自分の期待と異なっていたこと、「良くも悪くも山崎貴」だったことで想像の範囲に留まってしまったといったところでしょうか。

▼ゴジラの定義

まず、本作の”ゴジラ”の定義についてですが、パンフのインタビューなどによると「よくわからないけど怖い生物」として、ジョーズやジュラシック・パークを意識して制作されたとあります。

実際、海面に背びれだけ見せて迫ってくる様子や、直接的に人を狙って噛み殺しに来る姿は、映像的な見せ方を含め、そうした映画のフォーマットを踏襲しており、本作におけるゴジラの”怖さ”を強調していました。

ところが、ここからは個人的な感覚となりますが、自分は「ジュラシックパーク」は大好きですが、「ジュラシックワールド」は入り込めませんでした。

理由は、敵対する恐竜が「インドミナス・レックス」というDNA操作で生み出された架空の恐竜になっていたことで、「ジョーズ」もそうですが、実際にいる(いた)生物が襲ってくるから怖かったりロマンがあるのであって、架空となってしまうと何でもありで現実感がないため、怖さを実感しづらくなります。

本作ではエメゴジトカゲにならないように着ぐるみゴジラとの中間のバランスに苦慮したとのことでしたが、これまで原爆や災害の象徴として描かれてきたゴジラが中途半端に生物に引き戻されてしまった印象で、今一つ入り込めない感覚がありました。

▼人間ドラマ

次に人間ドラマの部分ですが、シンゴジのように登場人物の家族や恋愛が全く描かれないのとは真逆で、主人公やヒロインとの関係性、ゴジラを通じた生への葛藤や意思といったものが描かれており、キャストの熱演もあって退屈することなく観られるのですが、その根本となる主人公がなぜ特攻から逃げたのか、ヒロインは孤児を見捨てず連れていたのかといったところは明確に描かれないため、感情移入できませんでした。

尺の問題もあるかもしれませんし、単に臆病、お人好しという解釈で気にしなくても良い部分だったのかもしれませんが、それならそれでもう少し説得力のあるエピソードを挟んで存在感を出して欲しかったように思います。

結果、登場人物にもゴジラにも入り込めず、客観的な視点での視聴となってしまったため、ラストの匂わせも含め後半の予想が付きまくる展開もご都合主義に見えてしまったりと、テンションが上がりきらないまま終わってしまったという印象でした。

▼見たかったものと見たことのないモノ

とはいえ、ゴジラが熱線を吐くシーンや銀座を暴れまわる姿、市井の人たちが力を合わせてゴジラに立ち向かう展開など、「見たかったものを見せてくれた」という意味では総じて満足度の高い映画だと思います。

ただ、「見たことがないものを見せてくれた」”シン・ゴジラ”の印象があまりにも強かったため、相対的に自分が期待したものとは違っていたということなので、これから視聴するという方は、世の絶賛に惑わされず、フラットな視点でハードルを上げすぎずに観ることをおススメします。

▼-1.0の意味

しっかし、シンゴジが80億越えのヒットを飛ばしたことで、山崎監督と庵野監督の対談でも言われていましたが、「(シンゴジの後じゃ)ぺんぺん草も生えてないのに、普通は誰もやらない」という中、結局引き受けて、結果初速シンゴジ対比265%スタートということですので、これは素直にすごいと思います。

タイトルの”-1.0”は、シンゴジ後じゃ評価-1からのスタートみたいなハードルの高さを示していたんじゃないかと勝手に思っていましたが、見事に応えて結果を出したことで、逆に次に引き継ぐ人のプレッシャーヤバいなと思いました。

いろいろ妄想してみましたが、こうなるともうゴジラを兵器利用しようと対立した人類がお互いに足引っ張って人殺しを初めてゴジラの粛清ビームで双方全滅する富野監督のイデゴジとか、某国の最終核兵器”ゴジラ”の情報を確かめるための潜入任務を描く小島監督のメタルゴジラとか、そんなのしか思いつきませんが、どうなるんでしょうね?


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