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プレゼンはおもてなし?茶道を振り返っておもったこと

 2月のはじめ、友人と一緒に「茶道」について学ぶ時間を企画させてもらいました。

高校時代の茶道部にはじまり(お抹茶もお菓子もでない型だけの部活で寂しかった…)社会人になってから友人に誘われてお稽古をあらためてスタート、休み休み10年以上は続けている習い事ですがまだまだ知らないことばかり。この機会にあらためて振り返る機会をいただき、自分自身も気づきが多かったので忘れないようにまとめておきたいと思います。

そもそも茶道ってどんなもの?

「お抹茶をいただく」所作を指すと思われがちな茶道。実は生活に根付いた総合芸術であり、根底にある「わび、さび」の考え方は日本人独特の感性とも言われています。岡倉天心は「茶の本」の中でこう説きます。

その根底にあるのは「不完全なものを敬う心」にあり、ままならない人生にあって可能なことだけでもやってみようという心優しい挑戦なのだ

茶道は日常に役立つの?

これ、実は自分自身が茶道を習い始める前に思っていたこと。あくまで趣味の習い事では、と考えていたのが実際に習い始めてみるとその奥深さに驚くばかり。特に千利休が残した利休七則利休百首には日常の生活につながるヒントがたくさん隠されていることを、今回あらためて学びました。

たとえば…

稽古とは 一より習い十を知り 十よりかえる もとのその一(利休百首)

何事も、一からはじまり順を追って学んでいくものである。そしてまた初心にかえり学びつづけることが重要。同じことを繰り返しているようでも経験を積むことでまた見える景色が変わるー意訳するとこんな解釈になると思うのですが、これって例えば仕事でも経験すること。企画書を準備するにしても会議を運営するにしてもプロジェクトひとつ、経験を積む前と積んだ後では視点が変わってくるーだからこそ、歳を重ねるのも面白い、そんな風に感じられたら、素敵だなぁと思います。そして学び続けることが重要、というのも変化の多い現代にも通ずる考え方だな~とひとり合点がいったのでした。

茶事はコミュニケーション

もうひとつ、これも暮らしや仕事に通じるな、と思ったのが茶事へ向き合う姿勢です。茶事はお茶をいただく場だけでなく、案内を差し上げるところから始まり茶事を楽しんだお客様が後日お礼状を送ることで完結する。亭主と客のコミュニケーションの場ともいえます。どんなふうに茶室をしつらえるのか、亭主は客の面々を思い浮かべながら茶器を選び、花を活けます。相手のことを思って心づくしの準備をするーこれもまた、暮らしていく中でとても大事なこと。仕事でのプレゼンだって、そう。どんな人に聞いてもらうのか、終わった時どんな気持ちになっていてほしいかーそんなことを考え抜いて準備を重ねたプレゼンは、やっぱり嬉しい感想をいただくことが多いように感じていたこの頃。茶事では言葉少なくこのおもてなしの心を伝えるのですから……なんと奥深い。まだまだ学ぶべきことが多そうです。

心を尽くしているということが目に見えるよう、段階を踏んでプレゼンテーションしていくのが茶事のプログラム(「茶 利休と今をつなぐ」千宗屋著)

やっぱり「茶道」って奥深い

今回の企画を通じて、今まで漫然と感じていた茶道の奥深さに改めて気づかされました。ひとつひとつの所作や様式に意味があり、堅苦しく思われがちですが季節やその場の人によって柔軟に変わるものであること、だからこそ正解がないこと。その根底にあるのは相手を思いやる気持ちーおもてなしであり、茶室という場を通じて成立するコミュニケーションであること。茶事における【一期一会】は「客との出会いは一度限りのものであると考え、心をこめてもてなすようにと教える心得」を指しますが、人との出会いを一生に一度のものと思い、相手に対し最善を尽くしながらお茶を点てるこの心の持ちようは暮らしのいたるところで大切にしたいことだなぁと思います

 こうした気づきを得られたのも、友人とのご縁や学ぶ場があってこそ。そう、この朝もまさに【一期一会】。まだまだ学ぶべきことは多いし知識不足も痛感したーだからこそ、楽しい。出産をはさんでしばらくお休みしてしまっていたのですが、今年こそお稽古を再開したいなと思った清々しい朝でした。

「茶道」ちょっと気になるな~という方にはこちらの本もおすすめです。


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