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『「クリエイティブ」の練習帳ーー発想力をとことん鍛える100の難問』で人生のつまり解消?!

はじめに

私がこの本と出会ったのは、2019年に著者のロッド(Rod)のクリエイティビティ(creativity)を開発するショートコースをCentral Saint Martins (CSM)で受講したのがきっかけでした。この記事は彼のコースと本の体験談で、creativityを開発したい方や現在なんとなく人生に詰まりを感じている方(当時の私がそうでした)の手助けになれば幸いです。

なぜクリエイティブを練習するの?

私は当時大手コンサルタント会社で働いていて、業界では「ビジネス界でもcreativityやart thinkingをもっと取り入れて、vuca https://en.wikipedia.org/wiki/Volatility,_uncertainty,_complexity_and_ambiguity  の時代に見合ったプロダクトやサービス開発が必須」といわれていた。以前からartに興味を持っていてもっとcreativeな仕事が出来たらなーとぼんやり思っていた私は、いい口実ができたとばかりにcreativityをどうやって伸ばしてビジネスに活用していくか模索していました。

Creativeなことをしたいという気持ちが燻っていた一方で、自分のcreativityってどんなものなのか、そもそも自分にcreativeなことができるのか不安でもあった。またartやcreativeなことが好きだったから、それらに向き合って自分のcreativityのなさに直面したら、大切にとってあった好きなことがなくなってしまうかも、という恐れもあった。

そんな中Rodの100 design projectsという5日間のコースをCSMで見つけ、受講しようかどうしようかと悶々とした時間を無駄に過ごしている自分についに嫌気がさして、この状況に結論をつけるべくこのコースを取ることにした。そんなかなり思い詰めた気持ちで、夏の観光客でごった返していたKings CrossにあるCSMの煉瓦造りの建物へ入っていった。

クリエイティブの練習ってどんなもの?

今でも初日の1番初めのprojectのことを昨日のことのように覚えている。緊張した面持ちのクラスメイトを見渡して、Rodがアルファベットを一つずつ読み上げる。そのアルファベットを各々好きなようにデザインして、紙に描いていく。A, H, O, S, C。新しいletterが読まれるたびにどんなデザインにして、どうやってレイアウトしていこうかと考える。一つのアルファベットにつき2、3分しか時間がなく、次になにが来るのかわからないから、planもできず結局直感的にデザインとレイアウトをしていった。クラスメートもどんな展開になるのかわからないから、思ったまま配置していっている様だった。
最後のletterのデザイン終了後皆の作品を壁に貼り付けてreviewを始めた。同じエクササイズをしたにもかかわらず、あるクラスメートの作品はとても繊細で、他のクラスメートの作品はとてもダイナミックだった。それぞれの個性が出ていてそんなデザインやレイアウトの仕方もあったのか!と感心することしきり。
Review後にRodが“これはChaosという言葉を使ったんだよ“と種明かし。みんな大爆笑して最初のプロジェクトが終了した。

こんな感じで、日常にあるいろいろな題材や物事を別の角度から見たり考えたりするエクササイズを、ひとつのエクササイズに5分から30分の間で時間制限をかけて、毎日20個近くやっていった。この5日間を通して、自分のものの見方が自分のそれまでに築き上げてきた既成概念や自分のいる環境(コンサルティング業界)に影響を受けているかを思い知った。そして自分とは違う国籍、年代、職業のクラスメートのアプローチやものの見方を垣間見るにつれ、自分の固定観念が少しずつほぐれていくのを感じた。普段会社の人としか接していなかった私にはそれもいい刺激となった。

この時の自分の固定観念が崩されていく感覚が最高に心地よくて、このコースが終わるや否や、Rodの別のcreativityを開発するコースにすぐさま申し込んだ。

そんなcreativityを開発するクラスのエッセンスをぎゅっと閉じ込めた『「クリエイティブ」の練習帳ーー発想力をとことん鍛える100の難問』。実は2つめのコースを受講中に、Rodから今度日本語版の本が出るんだと、すでに出版されていた英語版のこの本のことを知り早速購入した。そして後日、Rodから日本語版の本も頂いた。

クリエイティブの練習の成果は?

仕事でlogic、productivity、efficiency、sufficiency重視の思考に固まっていた私には、2つのコースで実感した心地よいbrainに対するstimulationと、凝り固まったなにかが徐々に緩くなっている感覚が忘れられず、コースを終了した後も引き続きcreativityの開発を続けたくて本のエクササイズを続けた。

時には全くアイデアが湧かず、いかに自分のbrainが凝り固まっているかを実感して歯がゆい思いをすることもあった。でも、授業でやったように時間を決めて(10分とか15分)タイマーをセットして行うと、とにかくなにか出さなくては!という思いが強くなり、アイデアを分析することなく素直に出せるようになることに気がついた。

またエクササイズをしていない時でもなんとなく別のアプローチはないかと無意識に探したり、アイデアをストックするべく今まであまり興味を持っていなかったものにも意識を向けるようになって、なんとなく自分の見ている世界が少し広がったように思う。

他にはエクササイズをするにつれてunknownなことに対する恐怖感みたいなものが薄れていった。予測が付かなかったり、分からなくても何かをoutputすることを繰り返しているうちに、「自分には無理」といった思い込みが薄らいで、やってみればなんとかなるという自信が育ってきたからではないかと思う。

おわりに

いろいろなcreativityの開発方法について語っている本があるけれども、個人的にはとにかくこの本を使ってゲーム感覚で実践してみるのがいいのではと思う。自分でエクササイズを通して体感したことは、理論を読むよりも記憶や心に残るし、それらをきっかけにして自分のアンテナに引っかかった方向性のcreativityを探求していけば良いのではないかと思う。またクリエイティブの練習を通じて、ものの見方やアプローチは一つだけじゃないんだということを体感すれば、多様性や個性が重視されていくであろうこれからの時代において生きやすくなると思うのですがどうでしょうか?

追記:私はこのcreativityのdevelopmentをきっかけに、世界は思ったよりopenで優しいことに気がつき、creativityやartのあらゆるものをひとまずは受け入れてくれる寛容さが心地よく、artの世界へ身を置くとこにしました。

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