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自己啓発書のこれからの読み方(1)

自分が読みたいと思う本も、作ってきた本も、
どちらかといえば

・実用的で
・再現性があり
・効率的に成果が出やすいもの

だったと思います。

そもそも、ビジネス書や自己啓発の棚に足が向かうというのは、その時の自分の人生に何かしらの行き詰まりがあると感じているからですし、

編集者や出版社、書店というのは、そうしたみんなのお困りごとに、間接的に寄与して、役に立とうとしている機関だと私は思っています。

そのように、読者としても制作者としても、こうしたジャンルの本に広く浅く触れてきて、やっと気付いたこともあります。

それは、

その本が提供してくれている内容というのは、ジャンル問わず、

著者である「あなたの」実用性であり、成功法則であり、結果では?

ということです。

誰よりも早く効率的で即効性のある方法を提示してくれるビジネス書が生まれる背景には、我々の先を走り、経験を積んでくれた著者の存在があります。

そのことには疑いようもなく尊敬の気持ちが溢れるんだけれど

でも、「じゃあ自分の人生に当てはめてやってみよ!」と思って、実際に取り入れてみるには、

私はきっと歳をとりすぎました。

本を隈なく読み、実践をして「うん、私うまくいってるかも!」って思えるのって、体力も気力もある、三十代くらいまでではないか、と感じるようになってきたのです。

多少、ライフスタイルを変えてでも、
多少、自分や他者を巻き込んでも
あんまり体に響かないからです。まだまだ、何度でもトライできる。

確かに、時代を超えたどんな世代にも刺さる名作もありますし、「生きる」とか「仕事をする」とかいう上では、真理を貫いている書というのも存在するように思います。

けれども、万人にわかりやすく書こうとするがゆえに、
微細なケースの違いや状況の違いは簡単に無視されてしまう。

その微細なケースを、著者は知らないのかもしれないし、ページ数の都合で書けないのかもしれない。

こうした「役に立つ」本を、本当に自分に役立たせてもらうのであれば、まずはその本を鵜呑みにすることをやめないといけないなあって思います。

だって、私にとっての重要な事柄は、その抜け落ちているケースの中にあるのかもしれないですしね。

私がこういうことを考えるようになったのも

本というモノが、人に与えてくれる優しさが大好きだからで、私自身がたくさん買って、たくさん学んで、たくさん失敗してきたからです。

同時に、体力も気力も落ち、人生の有限性を意識するようになったら、誰かが「これをこうするとこうなってうまくいくよ!」というような情報には、自分の意識がついていけず、

それよりも何よりも

いかにして自分自身でいられるか、そのためにどうすればいいか、

に集中するなったからかもしれません。


(続く)

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