【1日目】海を超えたって、もう何も変わらないね。変わらなきゃいけないのは、多分私だ。
シンガポールという国ってやつは、きっと暑いんだろう。
と思って初めて降り立ったのは、2014年の秋だった。
きれいで、先進的ということばがわりあい似合って、ラグジュアリーな面がありつつ、お買い物も出来て、ごはんが美味しい。そしてやっぱり、昭和生まれのミーハーとしてはマーライオンごしにマリーナベイサンズを眺めて、夜はそのホテルに泊まっちゃったりして、天下とった気分で空中プールからアジアを眺めたりしたいじゃないか。
カジノの初体験も、たしかシンガポールだった。
チャンギ。
二度目のシンガポール・チャンギ空港だ。
相変わらずきれいだなぁ、と思うのは空港だけでは無理なので(いや空港はめっちゃきれいなんだけど 広いし)
まずは「暑っ」と通り一遍の感想を紡いでみる。
飛行機から降りて、タラップを通り過ぎる一瞬だけ感じるシンガポールの外の風。今日は乗り換えだけだから、そのあとは熱い風なんて感じることができないまま、「冷房寒っ」という感想で、バクテー横目にトランジットの廊下を進む。
待合室で、少しWi-Fiをつないでみる。
Twitter、Facebook、LINE、そして会社のslack。gmailに、チャットワーク。私がルーティンで取り急ぎ見なければいけないもの(いや見なければっていうか…)はこのへんか。
急ぎの返事をする。
すこし、撮った写真なんかを見返す。(私は新しくコンデジを買って、それを使いこなすために今めっちゃ試し撮りをしているのだ。リコーのGR)
夫に、シンガポールついたよと、伝える。あなたときたチャンギよ、と無駄に言う。
(ちなみに彼は仕事でチャンギにきているので別に珍しくない)
気付けばクアラルンプール行きの飛行機の中だった。通信が途絶える。あ、あの連絡も返さなくっちゃ。フェイスブックのメッセージを確認しきれていないや、と思ってすこし後悔する。まぁいいか。クアラルンプールには、飛び立ってしまえば60分で着く。あとでやろう。
驚くほど、旅感がない。
海を超えたって、もう何も変わらないね。
29歳になってしまった私は、29年分のなにかを抱えてここにいるし、その何かが数時間で突然変異をするには、トランジットという刺激はまだやさしい。
何も変わらないからこそ、でも何か変えなければなぁと思ったりもする。
おんなの一人旅の心得として、いつも「初めての街には夜につかない」というきまりをつくっていたのに、早速今日は夜の20:00にクアラルンプールに到着する。
いいんだ、たぶん、バンコクとかシンガポールとかと一緒で、空港からすぐ電車に乗って、街中まで動けるはず。そして私は今日は空港から直通のセントラル駅というところの近くで、泊まるから。
駅前ならいけるだろう。
21時くらいに着いて、よるごはんは私、どうしたらいいのかしら、とじつはずっと思っていた。しょっぱなから夜出歩くのは、さすがにびびるなと思いつつ、やっぱりバクテー食べたいんですけど、と思って、ホテルの近くに何かあることを願いながら、シンガポールをあとにする。
旅の1日目は、ただひたすらの移動でおわる。
もう少ししたら、リンギットの世界。
いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。