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旅の始まりにさぁ還ろう【ニュージーランド→オーストラリア】

オセアニアで過ごした約2ヶ月は、よくジェットスターに乗ってこの風景を見ていたな、と少しずつ振り返りを始める。

再びの旅の終わりの気配が濃くなってきた。明日私は、一旦日本へ帰る。予定していたわけではなかった。けれどふと、12月の半ばに、月末、帰ろう、と思ったのだった。(年越しの海外to海外の移動が、こんなにコスティーだったなんて……)

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昨夜、午後21:30。日が暮れた直後のニュージーランドの空を、宿の窓の外ひとり見つめながら、「私、少し変わったな」と感じていた。

朝から晴れ渡った空。きっと今日は、星空になるまできれいなんだろう、と起きて思う。

やっぱり今日は終日晴れで、予想の通り信じられないくらいのマジックアワー。

今までの私であれば、もう走り出しそうな勢いで、どこか見晴らしの良い、展望台か何かに登って、ビールでも飲んだりしていただろう。

けれど今日は、もう、いいか、と思っていた。

きっと私の中の、きれいな空を見ていたいゲージが、このオセアニアで一度満タンになったのだ。

走り出さずにゆっくりと。「今はもう涼しいけど、これ、要るのかな」と思いながら少し小さめの扇風機の音を聞いて、手元のキーボードを叩き続ける。

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昨年の今頃、私はすこしだけ色んなことに疲れてしまって、泣きながら「どうしたらいいかな」と会社のみんなに相談した(それはきっととてもめずらしいことだった)。そして10日間だけ、日本を離れることを許してもらった。

※実際私は、この時多少なり体に支障をきたしていた。「一体私はどこまでできるのかゲーム」をひとり365日以上ぶっ続けていたので、たぶんただただ壁にドカンとぶつかって進めなくなったのだと思う。ワガママでとても迷惑。もう、そんなことにならないように気をつけるね。

いつもいつも、知らない国へ行きたいと思っていた。けれどその時は、大冒険ができる気持ちになれなくて、一度行ったことのある、そして日本を親しく感じられる、ハワイ・ワイキキを選んだ。

暖かい国で、夕陽と、朝陽を。見ようと思って、サブペントハウスのコンドミニアムを予約した。

ヨガをして、イルカを見に行って、美味しいエッグベネディクトとパンケーキを食べて。時に仕事をして(結局、24時間以上PCから離れることはなかったのだけれども)。

今思えば、私はそうやって、ニューヨーク、タイ、カンボジア、シンガポール、ベトナム、等々の短いひとり旅を、世界一周の序章として練習していたのかもしれない。

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ずっとずっと、どこに居ても探していた色たち。

朱に碧に、黄に緑。

もう、一旦満タンだ、ともう一度幸せな気持ちでニュージーランドでやっぱりキーボードを叩き続ける。

心は、いつも日本と海外を往復していた。11インチを見つめ続けると、世界は日本に切り替わる。ふと視線を上げると、見たことのない風景。

「あぁそうだ、私は旅をしていたんだった」
「あぁそうね、私はここで、仕事もできているのでした」

行ったり来たり。

そんなリズムも、きっと今月で、一度終止符。旅はまだまだもちろん続けるけれど、年が明けてから次の旅はまた違うことを始めるのだろうと思っている。

「どこに軸足を置くか」
「重心を変えながら」
「いつも見晴らしの良い場所に居たい」

大好きな編集者の先輩に定期的にインタビューをさせてもらいながら、心に残り続けることばたち。

短すぎるニュージーランドの滞在。足掛け5日。正味4日。それでも弾丸で来てよかったと、いつかまた誰かと一緒に来ようと、見られなかった満天の星空に悔し紛れの笑顔を送って、けれど別の美しい空気に触れた、とハンドルの名残を想う。

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「その街は、本当は何色をしているのか」。

私が見たいのは、確かめたいのは、結局のところ、それでしかないようだった。

ニュージーランドの南島は、淡くて夢の中みたいな、水の中を覗くような色をしてた。

帰ろう、と思う。まずはオーストラリアのゴールドコーストへ、そして旅の始まり、ケアンズへ。そこからまっすぐ、成田へ。好きなひとたち暮らし待つ、にっぽん。

日本は何色をしていたっけ? しばらく離れた私の国は、この冬どんな色だろう?

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「選んで待って、一番いい波に乗れ」【オーストラリア・ゴールドコースト】|伊佐知美|note(ノート) 

■名前も知らない誰かと人生を交わして【オーストラリア・ケアンズ】|伊佐知美|note(ノート) 

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