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奇跡のような時間はあるのかもしれない、私たちの人生に【日本・北海道下川町】

冬、しんしんと降り積もる雪。もう一度あの夜からやり直せたら、と心の底から願うような1日を、過ごせただけで。私たちは感謝をするべきなのかもしれない。

ふらり目が覚めて向ける足。見つめた先、窓の外街頭光る。舞うのは雪。白く空から、舞い降りる。

ねぇ起きて、と声をかけられたなら、と何度も想う。月を超えて海を超えて、あなたにこの白い世界のはじまりを、季節の境目に立っていることを、伝えることができたなら。

いつかもう一度行こうと思っていた、北海道下川町。季節が変わって、その街は夏から秋、そして冬になっていた。1日のうちに境界線を行ったり来たり。朝起きたら冬だったし、昼は秋だし、夕方はもう夜だった。

奇跡のような時間はあるのかもしれない、と私たちは想っていた。

振り返り、振り返り。見つめては去る、金色に光る冬毛のキツネ。

朝から、本当に「もう一度この日を繰り返せたなら」と願っていた。遠くで暮らす友だちが、「そこはウユニ塩湖なの?」と言った場所は、私が名前も知らない北の大地の山の中。

日本に帰ってきたんだなぁ、と私は毎日思っている。遠くへ遠くへ、と考えていた時代はいったん終わり。私は根を張り今この胸の中にある思い出を、未来に描き出すときを待っている。

「夢を見る季節はおしまい」そう唱えるひとも多いだろう。少なくとも私はそのひとり。「もう、そろそろいいんじゃない」と説く私と、「いえ、まだまだ追いかけたい」と駄々をこねる二面性。これからどう付き合っていったらいいんだろう?

遠くへ遠くへ、この先もゆくために。究極、行けなくても構わない。より高く跳べるだけで、もういいから。なるべく見晴らしのよい場所を目指しなさい、とあの人も言っていた。

毎日逢うことの大切さを噛み締めていた。触れられる距離に在ることが、人生を推し進める原動力になることを。ノマドとして生きる道を選んだ時間があるからこそ、私たちは強く知っていた。

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