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伊佐 知美
2017年7月28日 00:01
あの頃見ていたみなとみらいよりも、少しだけ空が狭くなったなぁ、と私は思う。吹く風の気持ちよさは変わらないのに、通り抜ける道幅が狭くなっちゃうなんて。つまんない。何度もなんども繰り返し話してきたことばたち。「どうして書き仕事をはじめたんですか」なんて、用意していた答えばかり。言いすぎてそれが本当のことみたいになってきちゃったよ。「家がないんです」なんて、ホントかウソかで言ったらウソで、厳密に
2017年7月26日 23:58
たとえば「生涯もう文章は書かないで生きていく」と決めたとして、私の人生はそのまま何事もなかったかのように進むのだろう。けれどそんな人生は歩みたくないと知っていて。それは「別れてしまったらきっとすぐに違うひとと付き合うのね、私たち」と強がってみせた10代のあの頃の捨て台詞にとても似ていた。まだ捨てられないから、捨てられたくないから、しがみついていたいという。あの、くだらなくて綺麗な。頬をなで
2017年7月6日 23:36
モノゴトの終わりとはじまりに、私たちはどうやって向き合っていけばいいんだろう? ずっとあるはずと思っていたコトの喪失、そばにいてくれていたヒトが離れてゆく足音、期待に答えられなかった絶望、もっと続けていきたかったという未練。そして次に始まる新しい未来と、突然目の前に現れてしまった空白との折り合い。みんながみんな、こんな気持ちを乗り越えてきたのだとしたら。私はやっぱりみんなを尊敬してしまう。甘っ
2017年7月2日 22:35
螺旋の中で生きていけたら。連綿と続く何かに絡め取られて、もう動けない。そんな不自由と自由を抱き合わせながら、私もいつか。それは願いのようで、叶わなかった夢への未練のようで。たくさんの国や街を旅しながら、心の中いつもどこかで引き止めてくれる何か誰かを探していた。それは今も、昔も、あのときも。「けれどまだ」。きっと掴めない。わかっていたから、余計に憧れて。小さなころから窓の外流れてゆく景色