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なぜスタートアップバックオフィスの採用が早期に必要なのか。SBOの採用課題×ペルソナのまとめ。

InsurTechスタートアップのhokanでバックオフィスSBOをしているともこ(@sbo_tomoko)です。
スタートアップバックオフィスのコミュニティ、SBO勉強会を運営しています。

2019年4月に書いた記事について、最近また多くの方に読んでいただく機会があったので、今はどう思っているのか改めて書いておきたいなと思います。

当記事は、バックオフィスが不在であるだろう主に起業時から社員数30名あたりまでの規模のスタートアップを想定しています。バックオフィス採用に悩んでいる経営者の方へ、私の経験がひとつの例としてお役に立てば嬉しいです。

なぜスタートアップバックオフィスが早期から必要なのか。

スタートアップのバックオフィスに課題がある企業の多くは、同じ悩みを抱えています。

  • いつ採用すべきか

  • どんな人が良いか

  • どこで見つけられるか

この3点について整理していきたいと思います。

まず前提として、なぜバックオフィスが早期から必要なのでしょうか。ポイントは2つあります。

1. 「経営者がバックオフィスをしている」という課題を解決しなければならないから
2. 経営に必要な管理業務は、起業時から永遠に増えていく一方だから

起業をしたら起業手続きの延長で、しばらくは創業者や経営陣が経理や契約書締結などのバックオフィス業務をやり続けるということは珍しくありません。しかしながらそれを誰にも引き継げずに、本来起業家や経営者がコミットするべき、顧客と向き合ったり、仲間を集めたり、事業をグロースさせるということにコミットできないという状況が生まれてしまいます。

そして、バックオフィス業務は顧客や従業員が増えると比例して増加していきます。会社が成長し続ける限り減ることはありません。しかも過去に遡って数字や契約を正しく管理するというというのはとてつもなく大変なことです。

だからこそ、バックオフィスは早期から必要なのです。

⒈いつ採用すべきか

では、早期とはいったいいつがベストでしょうか。
個人的には、「起業したらすぐ探す」でいいと思います。
参考までに、hokanには創業12ヶ月目に参画しています。採用の声をかけていただいたのは創業からわずか6ヶ月のことです。その時にはまだ業務委託と役員しかいませんでした。

早期に採用するメリット・デメリット

早期採用のメリット
1. 業務キャッチアップをしてもらいやすく、初期から基盤を整えることができる
2. 経営者の思想を近くでキャッチアップしてもらえるため、その後のコミュニケーションコストを軽減できる。

早期では一人採用するほどの業務量がないからと、採用を躊躇してしまうかもしれません。でもだからこそ未経験領域だとしても、バックオフィス業務を実務で学びつつ基盤を整えることができます。それよりも大きなメリットは、経営者の思想を近くでキャッチアップしてもらえるということ。サービスやプロダクトが立ち上がる初期のバックオフィスは、経営者の考えを代わりに形にしていくことが役割だったりもします。細かく説明をし続けるコミュニケーションコストは避けたいもので、初期の間に阿吽の呼吸体制を作って置けるとその後スムーズに進められます。

ただしデメリットと言いますか、難しいところもあります。

早期採用のデメリット
1.  幅広い領域をやりたいと思う人が少ない
2. 早期のバックオフィス業務に対し採用予算をかけられない

hokanの初期フェーズでは、ジャンル名にすると、経理/財務/労務/総務/法務/広報/採用/情シスなどを担当してきました。どれも量はそこまで多くなく、それでも発生する業務です。ここまで広くなくともスタートアップのバックオフィスとしては幅広く担当しなければなりません。この全領域をやりたい!と思える方がそもそも多くありません。いずれかの領域を選任でやってこられた方を採用したいところですが、そうすると現年収は採用予算より高くなりすぎてしまいます。

現実的にいつまでに採用すべきか

起業したらなるべく早く!と言ってもその時期はあっという間にすぎてしまいます。では現実的にいつまでに採用しないといけないのか。

シリーズAの準備開始まで。

シリーズAの調達時には、突然に事務作業が膨れ上がります。
シードの調達よりも時期が経過している分、提出資料も多くなりますし交渉相手も多くなります。弁護士や税理士とのやりとりも増えます。
また、シリーズA調達のニュースは会社を知ってもらえる重要な機会なのでPR活動も進めたいし、採用にもアクセルを踏みだすとき。実際PRや採用は代表がコミットするとしても、付随する調整作業や事務作業がかなり発生します。
そのあたりを一緒に進められるためには、調達作業に着手するまでに経営者の思想をキャッチアップして欲しいところ。

いつ採用するの?は以下の記事でも取り上げていただきましたので再掲。


2.どんな人がいいか

過去の記事では抽象度の高いスキルを書きました。今読み返しても特に違和感がなかったので、今回は具体的にペルソナを考えてみました。参考程度にしていただけると助かります。
もちろん過去に経理・労務・法務のご経験のある方だと、経験値が多くなくてもベースとしては十分かと思います。そういったバックオフィス業務未経験の場合に、こういうご経験のある方が良いのではないかなと思いました。

SBOのペルソナ

1. 大企業で次のような業務を少しでも経験したことがある
 -校正業務
 -営業事務
 -顧客向けの出納管理
2. 要領が良いタイプだと自覚している
3. 会社のプロダクト/サービスを理解し興味を持てている

1つ目は、「間違えてはいけない」という危機感を常に持てるかどうか。
細かい確認ができ、違和感を払拭しないと気持ち悪いと思えて、横断的に体裁を整えられるかどうか。スタートアップはその都度必要なことを決めて作っていくので、横断的な整合性を取りながら体裁を整え、リスクを排除していく必要があります。特に、契約、請求、支払、給与など数字の取り扱いが多いので、数字に抵抗なく細かい確認までできるかどうかというのは重要なスキルになります。

2つ目は、毎日小さい単位の業務が湧いて出てくるカオスを、整理し対応し続けられるかどうか。無駄なことを切り捨て、会社の状況に合わせた本当に必要なことを見つけて進められるかどうか。ご自身で「要領が良いタイプ」だと思っていることはひとつの目安になるかと思います。

3つ目は、バックオフィスでも当然に、プロダクト/サービスの理解と興味関心、ミッション共感は問わなければなりません。採用側も候補者側も、業務内容に着目しがちになってしまいます。経理でも契約書でも、会社がなぜ今この作業をするのか、どういう風にすればいいのか、作業の目的とゴール設定をするためには会社のミッションは必ず軸になります。

SBO採用の課題と理想

ここで次に検討したいことは、次の課題です。

1. SBOは細かい事務作業にコミットしなければならい=上流工程だけを得意としている人はペルソナではない
2. SBOのキャリアをどう伸ばしていくか

基本的にコミットする領域が、浅く幅広い事務作業になります。そしてその事務作業はいくらITで効率化してもなくなることはありません。
事務作業にコミットし整えてくれる方の存在は重要ですが、そのまま同じことを続けているだけだと会社の中でポジションを上げ給与を上げていくことは難しくなります。

そこで、会社に都合の良い理想で言うとこうなります。

A:パートタイマーや業務委託として、バックオフィスに参画してもらう
B:活躍を期待できる見込みがあれば正社員採用

管理部長をしていたような方が初期から参画していただけると非常にラッキーですが、そんなことはほぼありません。
しかしながら、一線を退いておりパートや業務委託でスタートでも良い!と言ってくださる方もそれなりにいらっしゃいます。


3.どこでみつけられるか

これまで大企業で働いていたが子供の出生を機に、ライフワークバランスを見直したい、新しいキャリアを探したいとスタートアップ転職を希望する方も増えてきたように思います。

withwork
例えば、そういった候補者に人気の転職サービスのwithworkさん。

YOUTRUST
返信率が高く業務委託での相談もしやすいYOUTRUSTさん。

ちなみに私はWantedlyでスカウトいただいて転職しました!

あとは、例えば作業にコミットしていただきたい人を探す場合、twitterで業務委託を募ってみても良さそうかなと思いました。


4.まず何をするのか

最後に、スタートアップのバックオフィスでまず取り組むべきことが何かについて、以下の記事でも取り上げていただいていただきましたが具体的作業を挙げたいと思います。

SBOまずやることリストTOP5

1. 全取引先とNDA/取引契約書を締結して管理する。
2. 社会保険等の入社手続きを完了させて給与明細を出す。
3. 採用するとき候補者へ送る「採用決定通知書」を作成して管理する。
4. 社保の保険料、税金を抜け漏れなく入金する。
5. 全部のお金の出入りの帳票を集めて仕訳管理する。

いずれもルールが決まっている作業がほとんどで、ものすごく難しいことではありません。
抜け漏れなく行うことと、パッと見て状況がわかる管理をすることがポイントです。

イメージとして業務設計士の武内さんの図をお借りしました。
まずバックオフィスはこの1階と2階部分をしっかり構築していきます。請求にも支払いにも契約という証憑の管理が必要になります。

株式会社Backyard 武内様「経理DXのための業務プロセス再構築」より


外部の専門家を利活用する

SBOを採用してもしていなくても、バックオフィス構築の専門家をうまく利活用することはおすすめです。今回は2つのプロをご紹介できればと思います。お二方ともスタートアップの中で働いていた経験があり、単に外部からのサポートだけでなく、一緒に内部を育成し構築するというところにコミットしていただけるのが魅力です!!

合同会社バックオフィスデザイナー
起業しM&Aを経験、その後CFOとしてIPO準備を手がけてきた乙津さんにより、IPOやM&Aなど将来を見据えたバックオフィスの構築、そして企業の「バックオフィス育成」をしていただけることが素敵。

林戦略社会保険労務士事務所
社労士資格を持ちながらにして、Pythonを駆使し業務効率化を行い、管理部門統括としてIPOを経験した、現職でも事業で人事をされている林先生の社労士事務所。
10名までの会社は月5,000円で支援いただけます。お願いする以外選択肢はありません。


最後までお読みいただきありがとうございました。
今回引用させていただいた皆様、いつもありがとうございます。
5年もの間ずっと変わらずにある「スタートアップバックオフィスどうする」という課題について、私の経験が少しでも役に立てば良いと思います。

そしてスタートアップバックオフィスに興味をお持ちいただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけいただけると嬉しいです!
SBOになって5年半が経ちました。未経験で新しいキャリアに挑むことができ、大変なことももちろんありますが楽しんでいます。SBOの良いところは、これまでの経験を何かしら必ず活かせると言うこと。5年半前から変わらずニーズの高いポジションです。SBO仲間たくさん増やしたいです!


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