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経理DXのため業務プロセスの再構築

こんにちは、Backyardの武内です。

2021年11月11日に開催されたLayerX社主催のコーポレートDX DAYにゲストスピーカーとして登壇してきました。最近、非常に勢いのあるプロダクトであるLayerXインボイスをはじめとして、コーポレートのDXにしっかりと向き合っていく覚悟を感じるいいイベントだったと思います。

今回のnoteでは、登壇の中では話しきれなかった「業務プロセスを再構築する上でのマインド面」の話を中心にお伝えしていきます。

1.これから一気に進む電子化

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2020年代の前半はコロナ禍で大きな負担を強いられたと同時に、日本社会にとっては脱ハンコやペーパーレス化などの対応が一気に進んだ時代として記憶されるでしょう。スマホがどんなに普及しても、昭和と変わらずに全ての書類に対してもハンコを要求してきた行政が脱ハンコに舵を切ったインパクトはそれぐらいエポックメイキングな出来事だったのではないでしょうか。

これを機にこれまで「できないからできない」という摩訶不思議な理由で進まなかったペーパーレス化や手続きの電子化も一気に進むでしょう。そうなると、アナログな手続きを前提に組み立てられていた経理をはじめとするコーポレート部門の電子化も一気に進むのではないでしょうか。

これまではリモートワークなどできないと思っていた多くの業務は、コロナ禍で強制的にリモートワークをしてみると、「思ったよりも影響はなかった」ということが分かってしまいました。もちろん、色んな問題は生じたと思いますが、すでに世の中にある様々なサービスを使えばそれらは解消することができます。

もちろん、顔を付け合わせてディスカッションしたほうが良い場面や、対面での応対が必要な業務もありますので、すべてにおいてリモートワークで十分であるとは思いませんが、それでも「必ず出社や訪問しなければいけない」という大原則が崩れ、リモート対応という選択肢ができたことは大きな変化です。

そして、リモートワークを実現するために必要なのは業務のデジタルシフトです。アナログな処理や対応が残っていてはいつまで経ってもリモートワークは無理です。電子帳簿保存法の改正やすでに始まっている電子インボイス導入に向けての議論など、時代の流れは確実に脱・アナログに向かいつつあります。

日本はすでにデジタル後進国になってしまいましたが、これは業務全体を一気にデジタルシフトするためのチャンスです。ここでデジタル化に乗り遅れた企業は消滅し、デジタル上で業務を再構築することができた企業だけが競争のステージに上がることができる。そんなドラスティックな選別がこれから行われていくように思います。

デジタル化はもはやコスト削減のための手段ではなく、対応に遅れれば生き残れないものになったということを、世の中の経営者は認識しなければいけません。

2.改革のためには改善が必要

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これまで色々な場所で「改革はトップダウンで行う」ということを繰り返し訴えてきました。しかし、近年のDXブームにのって「とにかくDXをしたまえ」と現場に丸投げされた改革の多くは、驚くほど進みませんでした。

その原因をずっと考えていたのですが、この図におけるStep.2:プロセスのデジタル化をすっ飛ばして、夢のようなDX(デジタル・トランスフォーメーション)だけが一人歩きしてしまったのが大きいのではないでしょうか。

改革をするという意思決定はもちろんトップしか行うことはできません。デジタルシフトのような大きな変革がボトムアップで起こることはほぼないのですが、変えるという意思決定をした後、実務に落とすためにはボトムアップでの「改善」が必要不可欠です。特に日本のように現場が強い場合は、細かいプロセスの変更や調整には現場の理解と協力が不可欠です。それがない状態でどんなにDXを叫んでも、それは絵にかいた餅にしかなりません。

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改善に必要なのは、現状把握、知識・経験の共有、改善サイクルの確立です。こうやって書いてしまうと何の面白みもありません。これまで様々な本で繰り返し語られてきたことです。しかし、ある日突然、魔法のように改革が実現することはなく、特にコーポレート部門のように細かい業務プロセスが積み重なることで全体の秩序を構成しているような業務については、1つ1つを丁寧に紐解いて、少しずつ改善を積み重ねていくような基本に忠実なアプローチしか選択肢はありません。

問題は、多くの業務がアナログな処理ややり取りを前提に構築されてしまっていることです。ここにデジタルシフトの波がやってくるのですから、手続きを単に電子化するだけでなく、デジタルに最適化したかたちに再構築しつつ、改善をしていくというやり方が必要です。業務とデジタルの本質を両方とも深く理解しないといけません。だからこそ、当たり前のことですが、実現する難易度が高い、と言えます。

3.オペレーションとマインドの両軸

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一朝一夕にはできない、それがデジタルシフトを伴う業務改善です。簡単ではないし、すぐに成果が見えてこないからこそ、しっかりとした軸を持って中長期的な計画を立てて取り組む必要があります。

私はこれまでコンサルティングの中で、デジタルシフトの際にはオペレーションを「再現性、代替性、改善性」がある状態にすることを目標にすると良い、とアドバイスしてきました。しかし、それだけではなかなか最後までやりきれないケースも多く、今回はそこにマインドの部分も追加しました。

まず「未完成」。日本企業はすぐに正解を求めたがりますが、業務フローの改善においては、正解はありません。なぜなら業務フローは永遠に未完成だからです。常に改善し続けることが必要であり、だからこそオペレーションにも改善性を組み込む必要があります。最適解は常に変わりうる中で、その時々で最善と思われる打ち手を考え、常にブラッシュアップしていく。これを当たり前の原則として理解する必要があります。

次に「自分事」。コーポレート部門は非常に真面目で勉強熱心な方が多いのはいいことなのですが、みなさんどこかに答えが書いている本があったり、コンサルタントが素晴らしい解決策を提示してくれたり、このシステムを導入すれば大丈夫、という風な感じで外に正解を求めてしまう傾向が強いのが残念なところです。とにかく事例を集めまくる、などもこの手のマインドが原因です。あるべき姿は自分たちの手で創り上げるものです。どこかで誰かが答えを持っていることを期待しないでください。自分たちのことは自分たちで解決するというマインドが必要不可欠です。

最後に「可視化」。デジタル化の最も大きな恩恵は、ログデータが残ることです。勘や経験が数値化されること、これこそが最大のメリットです。AIが人間と同じように柔軟に自分の意思で処理をしてくれることは当面の間はありません。業務プロセスを可視化し、業務のログを蓄積し、きちんと分析・改善をしていく。デジタル化を進める際にそのことを意識しなければ、デジタルツールを使ったアナログな運用ができあがり、中の人がどんどん疲弊していくだけになります。日本のデジタルシフトはこれまでも表面上のデジタル化にとらわれ、この失敗を繰り返してきました。分析できないものは改善できません。ここがないデジタル化など意味がありません。

このオペレーションとマインドを軸にエンジンが駆動する図は、今回の登壇のメインのはずだったのですが、最後時間が足りなくなってしまった関係で、かなり端折った形になってしまいました。本当はこの図1枚で10分ぐらい語りたいぐらい重要なものです。

仏作って魂入れず、ではないですが、様々な改革・改善のプロジェクトではこの2軸のうち特に「マインド」の部分が抜け落ちていることが多いように感じます。

デジタル化に向けての取り組みを検討されている企業はたくさんあると思いますが、そのプロジェクトの根底にこのマインドの軸がしっかり根付いているかどうかが成否を分けます。システムベンダーの口車に乗せられて、システム導入をゴールにしたプロジェクトにしないためにも、しっかりとした改善のための軸をもって取り組んでいただくことが重要です。

4.お知らせ

さて最後に宣伝となってしまうのですが、現在開発している業務フロー作成・運用ツール「Backyard」のご紹介です。

これまで様々な企業のデジタルシフトや業務設計を支援してきましたが、最も課題に感じたのが「業務フローを可視化して、改善していく」という部分でした。業務フロー図やマニュアルが作成されている企業はありますが、それらを常に参照されながら運用されていることはほとんどなく、当然に改善サイクルもうまく回っていません。そこの課題を解決し、コーポレート部門におけるオペレーションとマインドの両軸を適切に回すために、「業務フローの上を歩くように仕事をする」ことができるツールとしてBackyardを開発しています。

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現在クローズドβ版のテストユーザーを募集中です。順番にご案内しているため、β版のご提供まで少しお時間をいただくかと思いますが、興味をお持ちの方はぜひお申し込みいただければと思っております。

また、Backyardはコーポレート部門はもちろんのこと、中小企業のコーポレート部門を支援する士業(特に税理士・社労士)にもフル活用いただけるように機能を構築しています。私自身も税理士であるという経験を活かして開発しておりますので、Excelやタスク管理ツールでは難しかった定型業務の型化や管理や顧問先とのコミュニケーション、改善提案でBackyardを活用いただけることと思います。

2021年12月17日(金)の夜、久しぶりにオフラインでのセミナー(freeeマジカチmeetup)で福岡を訪問することになりました。そのセミナー前の時間帯に会場をお借りして士業向けのオフライン説明会を開催いたします。福岡界隈の方でご興味ある方がいらっしゃいましたら、こちらもぜひお申し込みください。

日本企業のコーポレート部門におけるデジタルシフトは、DXの遙かに前段階にあります。だからこそ、一足飛びに自動化やシステム連携に飛びつくのは時期尚早であると私は考えています。

現時点でのコーポレート部門のデジタルシフトに必要なシステムとしてBackyardを開発しておりますので、Excelや既存のタスク管理ツールで無理矢理に運用するのに疲れてきた方は、ぜひ一度お試しください。最新のツールを導入するだけでは解決しないコーポレート部門の本当の課題がきっと見えてきます。

β版につき、まだまだ機能が足りないところは多数ありますが、デジタル上で業務フローを可視化し、運用するという体験をしていただければ幸いです。


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