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長崎でクリエイティブと巡礼の旅

ある教会と、あるギャラリーを目指し長崎へ行ってきました。久しぶりの一人旅です。

まずはホテルへチェックイン。場所を把握してなかった割に目当てのギャラリーが徒歩圏内で、ラッキーでした。そのギャラリー『CLAY WORK』は出島のオランダ商館前、古めかしい日新ビルの1階。前職でお世話になったSさんのインスタで知りました。

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ドアは閉まっていましたが「3Fアトリエにいます」の張り紙。訪ねると、作家の綿施さんがいらっしゃいまいた。とてもお洒落。アトリエもお洒落。生徒さん風の方々がいらっしゃいましたが(その方々もお洒落。 笑)、1Fに降りてギャラリーを開けてくださいました。

あらゆる作品から静かな“息”が聞こえてきそう、そんな感じの空間です。綿施さんご自身、この場所をとても大切にしているとのことでした。

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土を削って形を作り、ろくろは使わないそうです。オブジェからスタートして、うつわ作りは後から始めたとか。土の肌感と重さを、一つひとつ触って確認。裏にも表情があるので、ひっくり返して見比べました。ちなみに左右のオブジェは火入れをしていないそうです。もし置くなら、雨の当たらない場所で。

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左の花器は、ある華道家さんとのコラボで生まれたシリーズ。機能性を重視しないの、と綿施さん。花器のオーダーに「水が張れないもの」と思い立ち制作したら、華道家さんも華道家さんで「面白い!」と絶賛だったとか!(笑)。クリエイター同士の振り切れた意思疎通、かな。

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私が今回手に入れたのはこちら。サイズは直径約14cm、高さ4cm弱、重さ348gほど。いろいろなお話を聞きながら、悩んで悩んで選びました。お値段は秘密。

『CLAY WORK』長崎市出島町10-15 日新ビル102 夕方は17時ごろまで、水曜日休み。現地に電話なし、HPなし。


長崎は小さな中華街がある街です。夕飯はやっぱり中華が良いなと思い、数年前に長崎出張で知り合った美人ホテリエのTさんに連絡すると、すぐにありがたい返信が。「中華居酒屋で味は本格的」なお店を教えてもらいました。

『中華酒家てんねんmarket』

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シェフは餃子チェーンとホテルの高級中華の両方を知る方だそう。写真の前菜盛り合わせのほか、海老の蒸し餃子、自慢のチャーハンをいただいて大・満・足。食事療法的には量も動物性も多めだけど、まぁ久しぶりだし、ノンアルで通せたのは偉い!


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ホテルは中華街そばのカンデオでした。朝食は部屋で、持参したサプリのパワーフコイダンとナッツ、いちじく、全粒ライ麦パンと紅茶。しばらく朝食抜きの生活をしていますが、目的地の教会周辺でお昼を食べられるか微妙だったので念のため腹ごしらえです。


早めに出て、まずは『大浦天主堂』へ。朝8:30オープンなのに8時に着いて一番乗りでした。

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正面右手にある、『旧長崎大司教館』です。奥の『旧羅典(ラテン)神学校』とともに『大浦天主堂 キリシタン博物館』として開館しています。驚いたことに、停まっていた車のナンバーが私の誕生日でした! こんな時は「歓迎されている」と解釈します。

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青空を背景に『大浦天主堂』の美しいこと! 一番乗りと思ったら先に猫がいました。

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「日本之聖母」と名付けられたマリア像。教会内には「信徒発見を見守ったマリア像」も(中は撮影禁止)。

大浦天主堂は1864年に完成、翌1865年2月献堂式が行われ、「日本二十六聖人殉教者教会」と命名されました。「日本二十六聖人」とは、豊臣秀吉によって捕らえられた修道士と信者24名+自発的に加わった2名で、京や堺で引き回しの後、長崎まで真冬の道を裸足で歩かされ、1597年2月長崎で殉教した方々です。そういえば先日ある食事会で日本に虐殺はないというような話が出たのですが、これは虐殺とも言える気がしてキリスト教がらみは例外かという会話に。興味深かったです。

ちなみに、秀吉が処刑を命じたのは台風で土佐に漂着したスペイン船の船員が「スペインは世界の強国で、宣教師を派遣して現地人を改宗させ、占領する」と話したため、と大浦天守堂のパンフレットにありました。


さて、大浦天主堂の献堂式から1ヶ月後の3月17日。浦上の人々がやって来て、プティジャン神父に「私の胸、あなたと同じ」と言い、「サンタ・マリアの御像はどこ?」と尋ねました。禁教の続く中、この出来事は奇蹟的な「信徒発見」として世界の宗教史に刻まれているそうです。信徒発見を見守ったマリア像の前で浦上の人々を想像したら、、泣けてきました。

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その記念碑がありました。

3度目か4度目?の大浦天主堂でしたが、朝イチでゆっくり見学でき、博物館にはこの後行く『出津(しつ)教会』のド・ロ神父関連の展示もあって、今までになく印象深い時間でした。


外海(そとめ)の『出津教会』とそれを建てたフランス人のド・ロ神父を知ったのは、『沈黙』が映画化された時の関連記事か? facebookの誰かの投稿か? 地域の人々の信仰と生活を私財で支え、祖国へ帰ることなく亡くなった…という献身的な話に感動して興味を持ち、いつか行こうと思っていました。

それが夏の初め、スピリチュアルなヒーリングを受けているYさんから「知子ちゃん、(ヒーリング中に)天使の名前がたくさん出てくる。長崎の教会へ行くと良いかも」と言われたのが、その教会。行く時が来た、わけですよ。

さてどうやって行くか。私、運転ができないのです。調べたら長崎駅前から出津まで、10時ごろ出る路線バスがあるじゃありませんか。片道1時間以上…ちょっと大変そうだけど、まぁ行ってみるかと。

ということで、長崎市街〜山〜海沿い〜山〜と揺られ揺られて、はるばるやって来ました。一時間半ほどかかりました。

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海も空も真っ青! この 夏休み感よ!

出津文化村のバス停から、看板のある坂を上ること数分…日差しのせいで遠く感じられましたが、なんとかたどり着きました。

出津(しつ)教会。世界文化遺産、国指定重要文化財です。

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屋根の上、右にマリア像、左にイエスの像が。こういう時、人は自然と合掌しますね。内部は撮影禁止で、低めの天井に白壁と木の柱、教会というより公民館風とでも言いましょうか。 がっしりとした作りは、海沿いの崖地のため台風被害をできるだけ防ごうと考えられたもので、ド・ロ神父による設計。


中は無人で、最初はモワッとした空気を感じましたが、しばらく長椅子に腰掛けていたら、気持ち良い風が入って来ました。椅子の棚に置かれた聖書のしおりが風に吹かれて、ヒラヒラと揺れているのをぼうっと眺めていたら、外で車の音が。

誰も入って来ないので表に出ると、軽自動車の車内におじさんが一人。教会守りだそうで、結局その方が、私に教会や周辺のガイドをしてくださいました。さらにありがたいことに、ド・ロ神父のお墓が近くにあるからと車で連れて行ってくれました。日差しが強くとても暑かったので、徒歩では行けなかったと思います。

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共同墓地の入り口にある神父のお墓。この墓地も、ド・ロ神父が作ったものだそうです。

神父は晩年大浦天主堂で過ごし、大司教館の建築現場で足を滑らせたことから持病を悪化させ、亡くなりました。教会守りさんに大浦天主堂で亡くなったと聞いて、思わず「今朝そこから来ましたよ!」と。神父をたずねる旅だったんだなぁと、しみじみ。

その後『ド・ロ神父記念館』と『旧出津救助院』へ。やはり車で送ってもらい、本当にありがとうございました。

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写真は救助院です。人々の貧しい生活を改善するため、特に夫を漁で亡くした女性たちを助けるため、神父は「仕事」を作り、与えました。ここで製糸から製織、染色、そうめん、パン、マカロニ、醤油を作り、さらに畑も手に入れ小麦から作っていたそうです。

隣の記念館にはさまざまな道具類が展示され、女性たちの制服もあり、なんと神父がデザインしているんです。日本初のユニフォームだそうで、他にも日本初とされるものが幾つかありました。

見ているうちに「私財を投じて人々に尽くした」イメージが、「楽しんでいたな、これは!」に変わり、なんだか楽しくなってきました。女性たちがお昼に食べる“かんころ”を大量カットする機械を作った時は、小さくドヤ顔だったんじゃないか?と想像。

とはいえ、人々がキリシタン弾圧から逃れて行き着いた土地で、そもそも暮らしやすい場所ではなく、たくさんのやるべきことや冒険があったのだと思います。

↓こちら、救助院のシスターが「漫画なんですけど歴史背景まで細かく、よくまとめられているんですよねぇ」と教えてくださって(やや上からな感じがツボ・笑)お土産に購入。大浦天主堂のプティジャン神父、ド・ロ神父の活躍、そしてお日様の下で信仰を謳歌できる日を待ち続けた日本人の姿が生き生きと描かれ、とても参考になりました。

そのとき風がふいた ド・ロ神父となかまたちの冒険

そして神父たちの頑張りを支えたのは、日本の信者さんたちの一途さ、謙虚さ、慎ましさ、たくましさ、信仰への熱い想い…だったのではと想像。


結局、出津ではランチを食べそびれ、また一時間半をかけて路線バスで長崎へ。高速バスターミナル近くの喫茶店『ボエーム』でエビピラフのセットをいただいたら、それがとてもおいしくて! デザートに小ぶりのチーズケーキが付いてきて、甘い&乳製品と今の私にはWでNGですが、なんだかとても食べたくて数ヶ月ぶりにいただきました。 甘さ控えめで、私にもやさしい味でした。

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ありがとう、久しぶりのチーズケーキ。コーヒーも美味しゅうございました。

今回便利だったのが高速バス九州号の「長崎ぶらぶらきっぷ」。福岡〜長崎往復4800円で、長崎路面電車のチケット4枚付き。きっちり使い切りました。

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そして今、長崎ぶらぶらきっぷのリンク先で見つけてしまった…。これで行くと良かったんじゃないか…

「潜伏キリシタンの里 そとめ」バスツアー

だけど一人で路線バスに往復3時間乗って行ったからこそ出会いがあったわけで、ほとほと疲れたのも含めて経験であり体験ですね。

次回、外海へは(誰かの)車で行きたいところですが、今後も「できるだけ公共交通機関で行く、食事制限あり(時々なし)の九州の旅」を続けてみます。

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