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道具ってすごい。刀鍛冶のつくる鍬を使ってみた。

島根県安来市の鍛治工房弘光さん。

江戸は天保時代から続く、たたら製鉄や刀鍛冶を家業とされています。まさに「もののけ姫」のたたら場のオリジナル版。玉鋼(たまはがね)から刀を作る日本刀鍛錬の技術を現代に生かし、鍬や包丁、フライパンなどの道具から、燭台や線香台などのインテリア製品まで幅広く制作されています。

きっかけ〜なぜ鍛冶屋さんの鍬なのか?

数年前、弘光さんの紹介映像を弊社で制作させていただいたことがあります。(2分映像)

コロナで無期休暇のようになってから、見て見ぬ振りをしていた庭の手入れをどうしてもやらねば、という気になっていました。

そこで、偶然見つけた弘光11代目・小藤宗相[しゅうすけ] さんのFacebook投稿:

ホームセンターに行けば、一丁2,000円のステンレスの鍬がある時代。
それでもうちの鍬を希望されるお客様のためにずっと作り続けています。
欠けたり切れなくなったりして捨てられるものと違い、何度も何度も先がけをする事で何十年と使えるはずです。
僕が子供の頃、鍬を取りに来た近所のおばあさんが「あんたんとこの鍬はほんに魔法の鍬だがー。根でもなんでもえ具合に切れーし、なんよりもいいのが畑やっちょって全然疲れんことだが」と、ニコニコしながら話してくれたことを、今でもずっとおぼえています。

そしてこの鍬の画像がアップされていました。

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このおばあさんの言葉と、鍛え上げられた鍬の画像にビビッときてしまい、速攻小藤さんにお願いして購入しました。

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鍬後の我が家の庭

今の家に引っ越してきて5年くらいなのですが、庭は10年近く放置されてたみたいで、そもそも伸び放題。そこに裏手の山から飛んできた樹木の種が大きくなって相当庭にはびこってました。引っ越してきたときは、家の壁面が見えないくらいモッコモコだったんです。

ここ3年くらいで1/5くらいにバサバサ切っていったんですが、根っこがすごくて、本当に途方に暮れていました。

今回、鍬を手に入れられたおかげで、ようやく根っこを処理できました。ここ3〜4日で4、5株くらいの根っこを切ったり掘り出したりしたと思います。おかげでハナミズキやアロエ、シークワァーサーなどの植え替え、枝豆などの野菜や、ミント、ラベンダーなどハーブの種蒔きも完了。

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(ようやく芽が出たバジル)

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(作業を見守ってくれるコムギ)

それにしても道具の力って大きい。

ウチの場合、庭の手入れというような生易しいものではなく、文字通り「開墾」だったので、鍬を使うことに慣れてない私にとっては、かなり負荷のかかる作業。でも実際には、思ったよりずっとスムーズでした。

「普通に持つと重たく感じますが、使うと軽いですよ」と購入の際に言われた通り、使っている時軽く感じる。さらに驚くことに、使っている間は身体が慣れてないせいか、あちこち軋んでる感じがするのですが、終わってみると、変な疲れが全く出ない。筋肉痛にもなりませんでした。逆になんでもできる、みたいな妙な充実感が湧いてきて(笑) 。

まず、音がいい。サクッサクッと、とにかく小気味がいい。 そして、必要以上に疲れない。


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(分かりにくいのですが、サツキです。根っこが庭中にはびこっていたのですが、どうにか掘り出しました。ラピュタはきっと植木屋さんで根っこのスケッチをいっぱいしてできたに違いない!とこれ見てて思います 笑)

道具が教えてくれる

「いい道具は身体の使い方を教えてくれる」と聞いたことがあります。全くその通りで、特に私たちのような素人は、道具から教えてもらえることがいっぱいあるなと。

小藤さんご自身も道具から教えてもらうことが多々あるそうです。
実は金槌も、お父様とご自身、妹さんとでは手に馴染むものが違うらしい。
「道具は手の延長とは良く言ったもので、やればやるほどそれとの相性、完成度が求められるんだなぁと思っています」

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(小藤さんご一家。前列向かって右: 10代目・小藤洋也[ひろなり]さん。お隣がお母さま・小藤睦子[むつこ]さん。後列向かって左: 11代目・小藤宗相[しゅうすけ]さん。真ん中: お弟子さん・三宅大樹[みやけ ひろき]さん、右: 妹さん・柘植由貴[つげ ゆうき]さん。写真提供:小藤宗相さん)

長く使える、長く使ってても疲れない、というのが道具の一番の役割だと思います、とのこと。どんどん使って馴染ませると、もっと使いやすくなるそうです。

疲れないところまで極めるにはまだまだ年数がかかりそうですが、やってて気持ちよく、アレコレとやりたい事が浮かんでくるのは本当に楽しい。

コロナ疲れに。庭仕事のススメ

それにしてもこの心地よい疲労感、達成感は代え難い魅力です。
こういうのは免疫上がるんじゃ無いかなぁ。
時間たっぷりのこのチャンスに、庭仕事や畑仕事、超オススメです!

実はこの鍬、柄の部分にもこだわりがあって、同じ島根県内の80代のおじいさんが作っているものだそうです。品質はもちろん、辞めて欲しくないから発注しています、とのこと。小藤さんの地域への愛情を感じました。(この柄を製作されているおじいさんも、あまりに深いので、後日別の記事で紹介します)

修理も随時受け付けてくださる弘光さんの鍬、メンテナンスしながら、自分の代どころか、子どもたちにもぜひ使って欲しいです。

購入のご相談は、まずはオンラインショップから問い合わせてみてください。(鍬のラインナップ準備中だそうです)

お手入れの仕方なども丁寧に教えてくださいますよ。


おまけ

小藤さんご案内の「鉄の街道」

コロナ明けには、是非工房にも伺いたい!妄想膨らみ中です 笑




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