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モロッコ絨毯の交渉術【マラケシュ編】

モロッコの旅の前半に訪れた古都フェズでのビンテージ絨毯屋で、モロッコ絨毯に一目惚れしてしまった私。旅の後半に訪れる買い物天国マラケシュで、お気に入りの絨毯を手に入れるぞと心に誓っていた。

マラケシュに到着して最初に向かったのは、世界のバイヤーたちが集まるスーク。マラケシュは、ヨーロッパから約3時間と近く、セレブたちもエキゾチックさを求めてやってくる。また店も多く競争が激しいことから、値段もお得で洗練された物が多いというのだから、モロッコ絨毯への期待も高まる。

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相場を把握するため、まずは観光客向けで、全て定価の土産屋さんに連れて行ってもらった。モロッコのスークには定価がない、店によって値段が違う、モロッコ人でも値段交渉はあたりまえ。

定価のお土産屋さんは、バブーシュは1足900円、ミントティーグラスは1脚200円。ふむふむ、品質も悪くなく、値段も妥当だ。ではお目当の絨毯は?見てみると玄関マットサイズで2万円弱。なんだか買えそうな予感がする。フェズで一目惚れした絨毯の写真を見せて、スタッフにイメージを伝える。

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次から次へと、イメージに近い絨毯を広げてくれる。だけど、どれも状態はよいけど、少し物足りない。味わいがビンテージのようになくて、どこか大量生産されているような感じがするのだ。絨毯初心者なのに、偉そうと言われそうだけど、しっくりくるものがなかった。けれどこの値段で買える場所もなかなかないので、1枚の絨毯を購入した。気に入って買ったのだけど、なんだか物足りない…。

定価のお土産屋を出て、バブーシュやバッグなどモロッコ素敵雑貨を買い物を続ける。その道中でふと、絨毯屋で、改めて見てみてみようとう気持ちで入ってみた。相場も分かって来ていたので、交渉できそうな気持ちにもなっていた。

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その時は来た。倉庫のような店内から次から次へと絨毯を広げてくれ、まるで絨毯ショー。何枚かの絨毯の中に1枚欲しいものがあった。さあ、お目当てが見つかったら、交渉の実践だ。亭主が「これはビンテージなんで3万5000円」と火蓋を切る、来たなと思い「1万円だったら欲しいな」とかわす。「分かった、特別に3万円にしよう」、「じゃあ1万1千円は」てな具合で値段が下がっていた。

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私はこのこの時のために用意していた必殺技があった。それは日本から持って来ていたボールペン。それらは家にあり余っていたものだ。どこかでボールペンが交渉に使えるという情報を見て、試してみようと思っていたのだ。

正直、こんな子供騙しのような方法で値段は下がるのか?同行者に笑われるのではないか?と思い恥ずかしい気持ちもあったけど、荷物を減らしたい気持ちもあり、思い切って数本のボールペンを差し出した。亭主は「困ったなあ〜。1万4千円でどうか。これはファイナルプライスだよ」とニンマリ。なんと、ボールペン作戦に成功したのだ。そしてボールペンを差し出した途端、周りのいた従業員が集まり、騒ぎ出した。亭主は僕のもんだぞ!と言わんばかりに、しっかりと掴んでいた。

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店を出てから、ガイドさんに「モロッコではまだボールペンで交渉できるんですね?噂だと思っていました」と伝えると、「モロッコは食料はたくさんあるけど、日本のような品質の良い文具、ボールペンはなかなか手に入らない。最近ではましになったけど、それでも貴重だよ」と。モロッコでもメードインジャパンの偉大さを感じた瞬間だった。そしてガイドさんもちゃっかり3色ボールペンを確保していた。

こうして2枚目の絨毯を無事に手に入れた私は、30分にわたる交渉を終えて興奮状態だった。気に入った物を納得する値段で買えたことに達成感のような物を感じていた。これはショッピングハイってやつなのか?

こんなに大満足して手に入れた絨毯、それでもフェズで訪れた1軒目で気に入った物以上のものとはめぐりあえなった。

次訪れる時は、モロッコ絨毯を研究して、ゆっくり時間をかけて交渉して、ときめく絨毯を手に入れたい。




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