35歳からのウソ日記93
2020年8月29日
トップが変わる時が来た。
私はそう思った。
会社や学校などトップが決まっている場合もあるが家族など決めたわけでもなくトップが決まっている場合もある。
犬を飼っている家では、犬が家族の中で順番をつけているらしい。
本能的に感じ取っているのだろう。
我が家は4人家族で、犬を1匹飼っているのだが、普段全く吠えることはない。
家のトップの人が家族の誰かに怒っているときに加勢するかのようにワンワンと吠える。
ナンバーワンの発言にワンワンを乗せてくる。
しかしそれ以外の時は全く吠えない。
ちなみに我が家のトップは母親だ。
これは犬目線だが、1母親 2兄 3私 4父親という順番だと思われる。
父親が最下位というのが残念に見えるが、こういった家族はあながち多いのではないかと私は推測する。
世が戦国時代であれば、反旗を翻し父親が天下を獲る日が来たかもしれない。
下剋上である。
しかし我が家のトップである母親は戦国時代でいうところの織田信長的なトップなので、相当に強い。
下剋上は夢物語だ。
今日は土曜日ということもあり、家族で昼ご飯を食べた後にゆっくりとテレビをなんとなく見ていた。
情報番組が流れていて、内容は節約術。
節約術に関しての情報は昔からずっと溢れかえっている。
それこそ戦国時代からあったのではないかと思うくらい。
今日テレビでやっていた節約術は原点に還るようなもので、節約術という忍法的な技ではなかった。
単純なことで、トイレを流す時に使うレバーの大と小をしっかりと大の時は大で小の時は小で流すということだった。
全て大で流すのとしっかりと分けて流すのでは意外と水道代が年単位で考えると変わってくるらしい。
それを見て我が家の織田信長こと母親は、
「私はこんなの気にしたことない。家でも大の方で全部流してるわ。」
と言った。
そこで我が家の最下位である(犬目線)父親が、
「馬鹿者!!!そういうところをしっかりとしなくてはダメだろ!小さくて細かいことかもしれないが、簡単にできることなんだからちゃんとしろ!俺は家では特に意識して、大の時は大で小の時は小で流してるぞ!」
と言った。
「ワンワン!」
一家のナンバーワンの加勢しかしない犬が吠えた。
父親としての威厳が爆発している。
父親はまさか明智光秀だったのか。
これはまさか本能寺の変なのか。
普段なら反抗する母親も父親のTHE正論に言い返す言葉もない。
トップが変わる時が来た。
私はそう思った。
父親がトップに。
私は小の方をしにトイレに立った。
ちゃんと流す時は新しいトップの父親に従い、小の方で流そうと思いながら。
トイレに入った瞬間に衝撃が走った。
我が家のトイレのレバーは一方向しかないのだ。
大と小に分かれていないタイプのトイレだったのである。
私は用を足すまえに母親にそれを報告した。
父親は明智光秀ではなかった。
それどころかボコボコにやられていた。
負け戦。
完膚無きまでにやられた。
あと一歩のところだったのに。
歴史は繰り返されなかった。
もう一人やられたのが父親に加勢してしまった犬である。
室内犬として部屋で自由に暮らしていたのだが、今夜は織田信長の命令でベランダで一夜過ごさなくてはならない。
私が眠りにつく頃、普段全く吠えない犬が、
「ワォーーーーーーーン!!!」
と吠えていた。
これが負け犬の遠吠えかと私は思った。
完
それでは また あした で終わり今日 ということで。
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