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35歳からのウソ日記97『ウラギリ』

2020年9月2日

「ケイサツなんてシンヨウするな!あいつらなんてクニからカネをもらってるヤクザだぞ。」

これが当時の私の口癖だった。

その頃悪いと思われることは一通りやったと思う。

悪さを買ってくれたのか私は組の中でも有名になり、いいポジションを与えてもらった。

まぁ支部長みたいなもんだ。

特に「盗み」はセンスがあったのか、私は得意とした。

その私に憧れて、同じ組の杉本って奴に慕われることになる。

それからというもの、2人で行動を共にしては「盗み」を働いた。

実際に「盗み」を行うのは私だった。

杉本にはまだ早いので、私の技という技を教えるのではなく、盗ませた。

これがこの世界のやり方なのである。

私は杉本にカッコいいとこを見せるためにどんどん盗むものもエスカレートしていった。

その結果、杉本は私との差をもの凄く感じてしまい自分にもそろそろやらせてくれと言ってきた。

しかし、まだ早い!という言葉で一切杉本にやらせてやることはなかった。

私の技術を全て盗ましてからでも遅くはないし、私の後継者にしたかった。

その頃ではもう深い絆で結ばれているというのもあったが、なによりセンスがあったからである。

そんな私が初めて警察にお世話になってしまった事件が起こった。

「盗み」が見つかってしまったのである。

私ではなく、杉本が、だ。

その日もいつも通り2人で「盗み」を行いに出かけたのだが、途中から杉本の姿を見かけなくなっていた。

まぁ便所かなんかだろうと思っていたが、今から盗みに入ろうとしていた店の中で
杉本が店員に見つかっているではないか!

その会話を盗み聞きしてみると、盗みがバレてしまったみたいだ。

なぜこんなことをしたんだ?という問いに対して杉本は、

「秋山がやっていたから。」

と私を売りやがった!

私は真っ先に逃げようとしたが、裏切られたショックで動けなくなってしまい、身柄を確保された。

今までの「盗み」のことも杉本にバラされ、警察にお世話になってしまう。

ウラギラレタ…

頭からこの言葉が離れなかった。

信用していたのに。

あんなにも信用できないと言っていた警察に、最も信用していた杉本に売られた。

私はそれから人を信用できなくなってしまった。

それが当時、1年2組、秋山友樹、6歳の時の思い出だ。

「盗み」いや「万引き」のスペシャリストだった私の悲しい思い出である。

警察に捕まったせいで、支部長、いや給食委員長の座も下ろされた。

もちろん捕まってしまった店である、おもちゃ屋「アップル」には今まで盗んだミニ四駆のパーツは返しました。

世の中なにを信用すればいいのだろうか。

それでは また あした で終わる今日 ということで。

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