【洋画】「ラ・ジュテ」

Amazonプライムで、不思議なフィルムを観た。クリス・マルケル監督の1962年の「ラ・ジュテ(La Jetée)」(フランス)。

30分弱と短いのだが、動画ではなく、モノクロ写真を連続して映して、それにセリフが被るという技法の映画である。

内容は、前衛的というわけではなくて、第三次世界大戦後のフランス・パリが舞台。

生き残った人々は、放射能を避けて地下に住み、支配階級と奴隷階級に分かれている。
支配階級の科学者は、奴隷を使って、未来の世界に希望を託しタイムトラベルの実験に取り組む。
実験は失敗して多くの奴隷が死んでいく中、ある男の能力が開花する。
男は、少年の時に空港で見た美しい女と、側で急死する男の記憶が蘇り、その美しい女とデートを重ねる。
科学者は、男に未来に行って世界を救うエネルギーを持ち帰るように命じるが…。

個人的な小さな世界でも、時間を超えて未来に希望を託すというのは、当時の冷戦真っ只中の世界情勢に終末感を見出したものなのか。

核の恐怖に対抗できるのは、もはや夢でしかないとでも訴えているようだ。

フランスらしい観念的なアートSFフィルムで、安易な短いフィルムでよかった。

テリー・ギリアム監督の「12モンキーズ」(1995)の元ネタらしい。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。