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大好きなこの場所で

海の日だった月曜日。特別何かをしたわけでもないが、地元の図書館で借りていた本を返しに行った帰り道、なんだか懐かしくて愛おしい景色に出会った。私が生まれ育ったこの街。何もないけど、スーパーと薬局だけはたくさんある。かなり前にバスが廃線になって以来、近場の移動は自転車が基本だった。あれから少し時間が経った今、どこまでも高い青空を見ながら自転車を漕ぐなんて、いつぶりのことだろうか。

その日は高3の弟が家にいたから、自転車を借りて図書館までの道のりを走った。午後3時に家を出たことを後悔したけど、空の美しい青さを見ていたら暑さなんて吹き飛びそうだった。プールバッグを背負いながら懸命に自転車を漕いでいる小学生を、私は涼しい顔して抜かしていく。そういえば私も小学生のとき、ピカピカな自転車に乗ってよく友達とプールへ出かけた。175cmの弟が普段乗っている自転車から見える景色はあの頃とは違うけど、その小学生たちを横目に見ていると、あの頃の無敵なワクワク感が蘇ってきた。

その後も静かな道のりをひたすら下っていく。改めて、私はふとこの街が大好きだ。大都会のような華やかさはないけれど、人の優しさと自然の美しさが残った、まるでアニメに出てきてしまいそうな街。こんなにも誇れる地元があるなんて幸せだ。たぶんそれはきっと、少し大きくなった今だからこそ強く感じることだと思う。私がこの先誰と出会ってどこに住むのかなんてまだ分からないけど、私にとってのSweet Homeであり続けることには変わらないだろう。

先日、とある地元企業のウェブCMにご縁があり、モデルとして学生役で出演させてもらった。なぜ私が選ばれたのかはよく分からないが、街を離れる前に少しだけ地元の力になれたことが嬉しかった。つい最近まで高校生をしていたから不思議な感じもするが、今年の冬には成人式もある。タイミングよく帰国できるか微妙なところではあるが、私がこれから街を離れる直前のこの夏、大好きな人たちとたくさん思い出を残しておきたい。

なんて愛するホームに対する思いを書きたくなったのは、きっとこの展覧会に足を運んだからだろう。みなさんの心の中に浮かぶそれぞれのホームにも、たくさんの愛と幸せが訪れますように。

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