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人生の物語を本にすることが求められている理由が少しずつわかってきた、という話

ひとの人生の物語を本にするという活動をはじめて、約2年になります。私の人生の本をつくってもらったことがきっかけで「ひとの人生の物語を本にしていきたい」と思った私。


私の人生のストーリーを綴った本

そこから、本づくりの依頼、実は途切れずにいただけているんです。告知も出してないし、大手出版社の経験があるわけでもない私に、口コミやご紹介を通してお仕事としてご依頼くださる皆さんには、本当に感謝しかありません。可能性を信じて申し込んでくださる方々の思いを、しっかり受け止めて毎回本作りをスタートしています。

一人ひとりの本をつくるのに時間を惜しまず注いでしまうため、正直たくさんの本がつくれたわけではないのですが、2年で、たくさんのひとの人生のストーリーを聴き、形にしてきました。

ひとの物語を聴くことが好きな私には、こんなに深くたくさんのストーリーを聴かせていただけることがありがたくて仕方ありません。


この2年間の活動を通して、本づくりがなぜ求められているのか、ちょっと見えてきたところがあるので、今日はそこについて書いてみたいなと思います。


受け入れられない過去や感情に「ありがとう」が言えること

本作りの最初の工程はヒアリングになります。本をつくりたい方の過去を徹底的に聴かせてもらいます。1回2時間のセッションを短いと3回、長いと7回ほど聴いていきます。

もちろん徹底的といっても刑事ドラマみたいな事情聴取ではありません。思い出せることから、話したいこと、例えば「子どもの頃に庭で犬を飼っていて……」「ピアノの発表会の時に着ていたワンピースが……」そんなパッと頭に思い浮かんだことから、つらつらと話していただきます。

時折、質問もさせてもらうけど、基本は自由に話してもらいます。
話している中で「あ、そういえばこんなことがあったなぁ」がでてくるように、話している方の感情の揺れたところを掘り下げるということに注力して、大切にお話を聴きます。

するとね、出てくるんです。自分では忘れてしまったと思い込んでいた過去や自分で無意識に蓋をしてしまった出来事がどんどん表にでてきます。

聴いていて、こちらも笑顔になってしまうような幸せな思い出は、とにかく楽しく、過去に想いを馳せながら、たくさん話してもらいます。

苦しく受け入れられない思い出もうかがいます。思い出すのも辛いようであればもちろん無理強いはしませんが、お話いただける方には、少しだけでも、触れてもらうようにしています。話せるところを無理なくお話していただく。その上で話をしてみて、今どう感じているか、客観的に見つめてもらいます。

客観的に見つめることが、とても大切だと感じるんです。「あの時はとても辛かったけど、今思い返すと〇〇かもしれない」と認知が変わることもあれば「あの時はどうにもできない子供だった、でも私がんばってたんですね」とその時の自分を受け入れる人もいる。

ちゃんと、大人になった今だからこそ、客観的に出来事を見ることができる。その上で当時の出来事や感情を受け入れてあげることで、自分の中でうっすらと残っていた人生の影が昇華されていく、そんな気がしています。

もちろんね、話すだけでは消えない傷もたくさんあります。でも、その辛かった出来事を、話せるようになっている自分に気が付くことも、とても大事なことだと思うんです。

本作りをされた方からも「あの傷みを受け入れることができた」「向き合えた」「痛みになっていたことに気が付いていなかった。気づかせてくれてありがとう」という言葉をもらえることがあって、受け入れられないと思っていた過去への思いが、少しでも癒えたのであればとてもうれしく思います。


人生で起こることは全てギフトだったと気が付くことができる

私が自分の人生の物語を本にしてもらった時にも感じたことです。自分の過去をやさしく受け止めた後で、今度は自分の人生の流れを全体を見ながら言葉にして綴っていくのですが、人生の全体像を見ながら書くことで、感じたことがありました。

それは何かというと、「ああ、あの時の出来事があったから今の自分があるんだな」という事実に気がつくこと。「あの時の出来事」には総じてよくないことが入ります。その時は嫌でたまらない、逃げたい、不安、辛い、そんな単語がならぶような、聴いている方も辛い重たい出来事。でもそれがあったから、新しいことに取り組めたり、歯をくいしばってがんばれたり、前にすすめている、ということに気がつくんです。

俯瞰で見るとそれがよりわかってくるんですよね。

私が本作りについて聞かれた時に、よく言う言葉があります。「人生の物語には宝物しかない」ということ。この言葉は「人生の完璧な流れ」を何人も見てきているから言えるのだと思うんです。本当に誰一人として人生の中で無駄な出来事なんて一つもないんです。いいこともつらいことも「私が大好きな今のあなたをつくってくれた大切な出来事」なんですよね。

ここが腑に落ちると、人生で起こることがこわくなくなります。感情がゆれることはもちろんあるけれど、本当の意味で落ち込んだり苦しんだりすることはなくなっちゃうんですよね。

自分の人生の全体の流れを俯瞰して見る時間って、本当に大切なんだと本づくりをはじめてから特に感じています。


物語が形になり他の人につながっていくこと

商業用の本のようにきれいに、ポイントがまとまって書いてあるというものではなくて、そのひとの人生のリアルな喜びや苦しみ、願いが書いてある本だからこそ、読んだ人の心に響き、近しい思いを持った人と深くつながれるのだと思います。

なんせ人生が全部書かれちゃっているわけですから、自己紹介レベルでわかりあえることをはるかに超える”その人らしさ”が伝わるんです。

自分の人生の物語が本という形になって人に届くと、読んでくれた人との関係性が驚くほど深くなるんですよね。その結果その人の世界もどんどんひろがっていく。


電子書籍での本づくり。多くの方に届いています。

私はこの人生の物語が書かれた本を「史上最強の名刺」と呼んでいるのですが、どんな人なのかだけじゃなく、どんな在り方で生きてきた人なのか、生きていきたい人なのかがわかるから、読んでもらえれば一気に理解でき、信頼につなげられるんですよね。

実際に本を通じてお仕事が決まった方や新しい出会いが広がった方が多くいます。

実はいま、本づくりの佳境を迎えている方が3人います。最後の仕上げこそしっかりと手をかけたい部分なので、楽しみながら一緒に作って行きたいと思います。完成が楽しみ。

これからできあがる本も素晴らしいものばかりなので、その感想をnoteにも少しずつ書いていこうと思います。







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