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海外MBA受験必勝キャリアとキャリア成功の定義

キャリアの強さについて複数記事で言及してきたので、改めて、キャリアの強さとは何ぞや、そしてキャリアの成功とは何かについて考察してみます。


キャリアの強さ

海外MBA受験におけるキャリアの強さを定義する計算式として私なりに考えたのは、「1. 個人として残してきた目に見える成果 × 2. 職歴の転用性(ソフト面×ハード面)× 3. 所属企業のブランド × 4. 仕事の国際性=キャリアの強さ」です。

CVには、responsible forではなくlead, initiate, spearhead等の成果を示唆する動詞を冒頭にて積極的に使うように指導されることが多いでしょうが、それが個人として残してきた目に見える成果の重要性を裏付けます。

リーダーシップ経験もここに含まれていると言えるかもしれません。

職歴の転用性については、コミュニケーションスキルなどのソフト面とファイナンスの知識などのハード面とに分解されるでしょう。

所属企業のブランドについては、多くの人が目指す人気企業に入れるということは優秀さを一定程度裏付けるという考え方だったり、ここに会社派遣という要素が付け加えられる場合もあるでしょう。

仕事の国際性については、国際的に活躍できるリーダーを育成するのが海外MBAということで、これまでの海外経験を一定程度見られるのも自然なことでしょう。

過去の海外居住や留学や旅行の経験によって補完されたり代替されることもあるでしょう。

海外MBA受験においてはキャリアの強さが何よりも重要ですが、それを強化するためには、上記の4要素をバランス良く強化することが最も近道ということになります。

そのための具体的なキャリアが何であるかはここであえて記しませんが、模範解答とも言えるキャリアの描き方がいくつかあるかもしれません。

但し、これらの4要素が美しく揃っている海外MBA受験生はさほど多くないです。

また、これら以外の今から変えられる要素(GMAT、MBAへの動機等)も合否に十分な影響力を持つので、自分をこの計算式に当てはめて、勝手に落ち込んだり諦めたりしないことをお勧めします


キャリアの成功

ここからは、私の主観全開の内容です。

同調を求めたりこの解釈を強要するために書いているのではなく、こういう風な考え方もあるのかとご参考にして頂ければ十分であり、取り入れるか否かは読者の皆様の自由です。

前項で述べた計算式の合計値を高めることが多くのビジネスパーソンにとってのキャリアの成功なのかと言うと、そうとは言い切れないと考えます。

キャリアの成功の定義は人それぞれであり、上記のキャリアの強さの定義は、あくまで海外MBA受験における定義です。

そもそも海外に興味がなければ、仕事の国際性なんてどうでも良くなります。

英語は鍛錬に時間もかかりますし、英語に関係のない仕事にしか携わらないのであれば、そんなことに時間を費やすよりも、他に自分のキャリアを強くする方法は複数存在するでしょう。

某ゲーム会社の某有名ゲーム制作に携わるスタッフにとっては、仕事の国際性に加え、職歴の転用性(ソフト面)も関係ないかもしれません。

コミュニケーションスキルが高いかどうかがこのゲームの質に関わるか、職業人としてのその方の価値に関わるか、と言われたらなかなか是とは言い難いでしょう。

したがって、万人に当てはまるキャリアの成功の計算式なんてものは存在せず、それゆえに、極めて属性が似ている他人とでない限りキャリアを比べることに意味はあまりない、というのが私の考え方です。

前述の計算式の合計値を最大化することを大学生のうちから進路選択において意識することが完全に間違っている、とまでは思いません。

やりたいことが絞りきれないが成長意欲の高い方には、将来つぶしが利く選択肢を取ることは間違った選択ではないでしょう。

ただ、やりたいことが明確な人はそんな計算式の合計値に拘る必要は必ずしもないでしょう。

結果的に離職してしまいましたが、私はNTTドコモ及び通信業界が好きだったので、躊躇いなく新卒第一志望として目指しました。

NTTドコモは、おそらく本計算式の合計値の最大化を狙う上では最適解ではないでしょう。

しかし、海外MBAの世界に飛び込んだ後でも、NTTドコモに入社したことについて微塵も後悔していないですし、興味が強いわけでもないのに計算式の合計値に拘った職業選択をしていたら、個性なき退屈なキャリア選択になっただろうなと思います。

それ以外の切り口として、私がキャリアのブルーオーシャン戦略を意識していることは、以下の記事でも書きました。

ということで、万人に当てはまるキャリアの成功の定義など存在しない、どうしても正解が1つしかない世界に拘りたい人は試験と永遠の恋人であるしかない、というのが持論です。

私は、大学受験や海外MBA受験に合格して満足して止まるのではなくもう少し先に進んでいきたいのと、試験は正直もうコリゴリで、可能なら人生でいかなる試験も二度と受けたくないと思っているくらいなので、違う世界線で生きていきます。



年収が表すビジネスパーソンの価値

別の切り口ですが、年収が高ければ高いほどビジネスパーソンとして成功していると言えるのでしょうか。

反論も頂きそうですが、私の考えは、以下の通りです。

少なくとも雇われ人のうちは、どの業界(+その中でどの会社&どの土地)で働いているかによりレンジとしてどれくらいもらえるかが決まってくることが大半である

したがって、年収が個人の実力をそのまま表したものとはあまり言えず、ビジネスパーソンとしての価値を測る指標として信じ過ぎない方が良い

高給な業界に入れること自体が己の価値という見方もあり、それには少しだけ賛同しますが、例えば、私のトリノ大学の同級生数名は、修士卒業後、新型コロナウィルスの影響で未だ仕事にありつけていなかったりします。

文化財関連など卒業生が就職しがちな業態は、胸が痛むほどに新型コロナウィルスの影響のために傷んでいます。

しかしそのうち数名は、プレゼンテーションスキル、リーダーシップ、起業家精神など、複数の尺度において、私が本職で会うことのある、例えば日本企業において年収800-1,200万円前後の海外MBA受験生の多くよりも優れている気がします。

この例からも、同じ業界や同じ会社の中で年収を比較することで、ビジネスパーソンとしての価値を測ることには一定の妥当性を見いだすこともできるかもしれませんが、それを超えると比較の妥当性は一気に落ちると言えます。

少なくとも、私は、自他問わず、年収でキャリアが成功しているかどうかを測ることはしません。

高給取りでありながらそのポジションに見合わないパフォーマンスしか出せず、ギブアップを余儀なくされるケースもそれなりに見かけますので、そのポジションに就くこととそこで活躍することは全く別の話です。

実際、LinkedInのプロフィールを見ているだけでは、活躍の是非はなかなか見えてきません。

年収を何かしらの事情で高めたい方が年収の高いことで知られる業界に進むこと自体を否定しているわけではないですし、それを目標に掲げて目標を達成すること自体は素晴らしいとも思っていますので、念のため。


キャリアアップの必要性

そもそも、キャリアアップとは全員にとって必要なのでしょうか、また、その定義は何なのでしょうか。

例えば、質の高い食事体験を日々限られた人数に提供し続ける小料亭の主と、海外進出を含む規模拡大や横展開を図り続ける飲食店の主、全員が後者を目指すことが必須と誰かに規定されているのでしょうか。

一般的感覚に照らせば、現代社会の中では、多くの場合、後者のみがキャリアアップとして捉えられている印象です。

しかし、キャリアアップとは後者のことだけで、前者の中で質を高めることは指さないのでしょうか。

自分の組織内におけるポジションを上げたり報酬を高めることに価値を見出しがちな一般企業に勤める人は、人数としては多数派かもしれませんが、そういう人とばかり比較し合う傾向にあるようにも思えます。

組織によっては、上の立場に行くことで、下の立場を管理する仕事が増え、プレーヤーとしての価値が発揮しづらくなることを恐れている人もそれなりにいるでしょう。

私もその一人です。

上を目指したり転職したりする人材を増やす圧力や期待は社会の都合であって、個人の都合は別です。

転職エージェントに頼るにしても、彼らのビジネスは人材の流動のおかげで成り立っていることを頭の片隅に置いておく必要があります。

いわゆる「人生100年時代」の中で、不可抗力で転職を強いられるような状態になった時に、円滑に転職でき、新しい仕事先でパフォーマンスを出せるように自分を高めておくことの重要性は否定していません。

転職によって貰える年収を増やす必要がある人がそうすることも否定していません。

しかし、自分のやっている仕事に誇りとやり甲斐を見出しているなら、その仕事自体における己の向上に取り組むことは重要ながらも、特に何か変える必要があるとは必ずしも思いません


成功の定義を探す方法としての海外MBA

結局、個人が自分なりの定義で自分のキャリアに満足できれば何でもいいというのが私の考えですが、その目的の助けになり得るのが海外MBAです。

海外MBAに来たらキャリアの全てが叶うというのは幻想ですが、学生の立場ならではの特権を活かして様々な可能性を試して自分のキャリアにおける成功の定義づけをしやすくなることは、海外MBAの明確な魅力です。

キャリアの正解を模索する上で唯一の道が海外MBA等ということはあり得ませんし、定義した成功に海外MBAによって辿り着けるか保証されるわけでもありませんし、目指す就職先が似通るゆえに周りに流されかねないリスクも海外MBAにはあります。

しかし、少なくともキャリアに対して真剣な人が集まっており、その純度が極めて高いことも事実です。

また、短期的な就職先だけの話ではなく、中長期的に実現可能な内容の選択肢も広がるでしょう。

私自身、在学中に、色んな人と話してあらゆる可能性を試した上で、キャリアの成功を改めて定義し、現職が卒業後の最適解だと確信したので、周囲の声に流されず、現職を楽しむことができています。

皆が自分のキャリアに幸福感を感じられるような世の中になりますように。



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