1「チャックまに出会った日」 (01)
■プロローグ「いのちって、なに?」
「おかあさん、おかあさん」その小さなくまが隣に座る大人のメスぐまに話しかけました。
「おかあさん、いまボクが踏んじゃったこの虫さんは何で動かないの?」
「それはね、コグマ。この虫さんはもう心がこの体から出ていっちゃったからだよ」
メスのくまはやさしい声で小さなくまにこたえました。
「おまえのその手が動くのも、足が野原を駆け回るのも、みんな心がそうしようと思うからでしょう?その心が体から出ていってしまったら、もう体は動かなくなってしまうんだよ」
「じゃあボクたちの心もいつか体から出ていっちゃうの?出ていった心はどうなるの?」
「大丈夫だよ、心は体から自由になるだけで、いつでも近くで見守っているからね」
(02につづく)
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