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最後の、最後のコーヒー。

この2ヶ月間。ほぼ毎日のように早朝のマクドナルドでホットコーヒーを飲み続けた。
インターン先の集合時間の約1時間前。
朝の7時30分。駅を降りると目の前にあるマクドナルドへ向かう。

──いらっしゃいませ

まだ不慣れなのか、先輩についてもらい、少し緊張しながらオーダーをとる女の子。

──ホットコーヒーください
──ミルクとお砂糖はおつけしてもよろしいですか?
──あ、なくて大丈夫です。ブラックで。

数分でコーヒーをもらい、席につく。
ジメジメと蒸し暑い毎日。寒いほどに冷え切った電車からさらにエアコンが効いた店内へと入り身体は冷え切ってしまっている。
熱いコーヒーを飲むと、ため息がもれる。
出勤する前の小一時間。
今日やること、学びたいことを書き出し、パソコンを開く。
よし、と一息ついてスクールへと向かう。

今日は、スクールでどんなことがあるかな。
子どもたちとちゃんと接することできるかな。
子どもたちの学びに、ぼくは役立てるのだろうか。

悩んだり、考えたりしていた。
毎朝、一杯のホットコーヒーを飲みながら、気持ちを落ち着け、今日を精一杯楽しもうと気合を入れた。
誰よりもぼく自身が、スクールの探求にのめり込もうと思った。

***

インターン最終日。毎朝の儀礼も今日で最後。

──いらっしゃいませ
──ホットコーヒーください
──はい、ブラックでよろしいですか
──・・・はい、ブラックで
──お支払いはICカードでよろしいですか
──はい。お願いします

最初は不慣れそうにしていた店員さんも、いつの間にかぼくのことを常連として覚えてくれたようだった。
今朝ははじめて、少し心配そうに、恐る恐る、一歩踏み込んだ声をかけてくれた。
彼女がマクドナルドでの仕事に慣れたように、ぼくもこの2ヶ月間でスクールに自分の居場所をつくってもらったような気がしていた。
思い返せばあっという間だったけど、それだけ色々なことがあった期間だった。

ここで飲む、最後のコーヒー。
せっかく覚えてくれたのだけど、ぼくがこの時間にここに来ることは当分ないだろう。
スクールだけじゃなく、こんなところにも小さな居場所が、いつの間にかできていたことをうれしく、少しさみしく思った。

今日で最後だな。
いつものように少し気合を入れて、スクールへ向かう。
一歩外へ踏み出すと、眩しい光の中、セミの鳴き声が響き渡っていた。

いつの間にか梅雨はあけ、季節は夏になっていた。
今日から再び、新しい門出に立つんだなと、ぼくは新しい一歩を踏み出した。

***

今日も、見に来てくれてありがとうございます。
大はしゃぎだった送別会から、ひとり帰宅中。電車の中でもらった子どもたちからのメッセージカードを眺めながら、これは電車の中で見ちゃダメだったと後悔しています。
こみ上げてくるものが溢れないように、noteを書くことに集中して帰ります。
ぜひ、明日もまた見に来てください。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました! スキ・フォロー・シェアなどしてもらえたらとっても嬉しいです。 ぜひまた見に来てください!!