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”クリエイティブな校長になろう”で新学習指導要領を親も簡単に理解できる。

”クリエイティブな校長になろう”がすごくよかったので、何がどうよかったのかをレビューします。


一言で言うなら

この本は民間人校長として、公立中学校の改革を行ってきた著者・平川理恵氏の”奮闘記”。ではなく、具体的なマネジメント施策の成功・失敗事例の塊。”学校を改革する”という挑戦から教育、組織運営、人事など幅広い視点を学ぶことができる一冊。


どんな人におすすめしたいかと言えば

この本にドンピシャなのは、間違いなく校長先生(笑)

僕個人としては、何かと話題の新学習指導要領についての基礎理解と、解釈の仕方、そして現場で活かすための方法について知ることができたのは、今後の学校づくりにおいて財産になると思う。

とはいえ、学校をつくろうと思っている人も、学校の校長先生も、そんなにいないわけだし、教育関係者にしか価値のない本なのかと言うとそんなことはない。

✔ 未就学〜小中学生のお子さんのいる親御さん
✔ 教育関係者
✔ 組織運営やマネジメントに携わっている人

と言った方は、得るところがあるはずです。


この本から学べる3つのポイント

この本から学んだポイントを3つにまとめます。

① これからの教育
② 学校・組織マネジメント
③ 学校の在り方


① これからの教育について

本書は、新学習指導要領の解釈から話は進んでいきます。
みんな、なんとなく知ってるけど、それをちゃんと学校運営や日々に落とし込めていないよね、と。

新学習指導要領が必要とされる背景をざっくり解釈すれば、
・コンピテンシー(資質・能力)を高めていく必要性があるよね。
・教育課程をもっと社会に開いていく必要があるよね。

ということ。
そこでポイントになるのが、OECDが発表している”キー・コンピテンシー”。(これからの時代を生きていくのに必要とされる資質・能力)

OECD キー・コンピテンシー
① 社会・文化・技術的ツールを相互作用的に活用する能力
② 多様な社会グループにおける人間関係形成能力
③ 自律的に行動する能力

とのこと。
これを教育の中で育むためにも、アクティブラーニングが改めて必要だぞ、という事です。
アクティブラーニングとは、主体的・協同的学びのこと。
これまでのように、教師が一方的に教える、ではなく子どもが自分で学んだり、学び合いを行うための仕掛けがいるんだぞ、ということです。

具体的な取り組みとしては、”出前授業”(外部の人をを招いての授業)や、図書室改革などが紹介されています。
特に、図書室を改革しアクティブラーニングのための知の宝庫とする取り組みは必見。本は置いてあればいい、ということではなくいかにそこに人が集まる場にするか、知の探索を行いやすくするのか、ということが必要。
具体例がたっぷり載っているし、数万円からできることがたくさんある。
これは、学校だけでなくて家庭内でも応用できそうだな、と思ったりもしました。

教育課程を社会に開いていく。

先の出前授業の例や、コミュニティ・スクールの制度がどうなっているのかに合わせて、学校内にフリースクールを作っちゃう、という取り組みがある。

いわゆる不登校をゼロにするための取り組みでもあるのだけど、学内に特別支援教室を作ったことで、30人近くいた不登校生徒が1年半で1人にまで減少したという。

でも素晴らしいなと思うのは、

「教室にいかなければならない」は教師の思い込み。

とはっきり言い切ってしまっているところ。

これらの取り組みを知って、自分の子どもが通う学校について改めて調べてみたり、PTAやコミュニティ・スクールなどとの関わりを持ってみることで、学校改革への小さな一歩を、保護者であっても踏み出すことができるかもしれない。


② 学校・組織のマネジメントはやっぱり「理念」

組織運営も学校改革も、やることはほとんど同じ。
むしろ予算の確保や使い方、人事の配置などに成約が多い学校運営の方がある意味においての”縛り”は大きいのかもしれない。

新学習指導要領へと改定されても、その素晴らしい内容をしっかりと「理念」に落とし込めなければ意味がない。
そして、なんとなく理念にしても、それが教師や保護者、地域というあらゆるステークホルダー(関係者)にまで浸透していかなければ、所詮は絵に描いた餅である。

突き詰めれば、組織のトップが何よりもやらなければならないのは、この理念の浸透なんだな、ということがヒシヒシと伝わってくるのです。

そして、理念を軸に、「やらないこと」をどんどん削っていく。
例えば、当校では「部活動」は教育課程外だぞ、とちゃんと保護者に伝えようとしています。
本当に大切にするべき教育課程に力を注ぐべく、優先順位をつけていく。
そうした取組が、教員の働き方改革にも繋がっていくのです。
この本では、教員の労働についてや、人事についてなどまで触れられており、学校改革を通した組織運営のいろはが見えてきます。


③ 学校の在り方について

学校は、塾ではないからシンプルに”勉強”だけを教えていればいいという場所ではありません。
そこにある、地域性やセーフティーネットとしての役割など。
「学校ってなんだろうな」ということを考えさせられます。

そして、「公立校じゃできない」と諦めるのではなく「できることを一歩ずつやっていくんだ!」という強い意思こそが、学校という場を変えていくんだなと思うのです。


親自身も、教育や学校の在り方にしっかりと関心を持ち、関わること。
それはモンスターになれ、とかではなく、共に学校を良くしていくための協力者になっていけるということ。
「社会に開かれた教育課程」とは、まさに学びを通して学校・企業・地域・保護者などが繋がっていくことです。

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今日も、見に来てくれてありがとうございました。
いい本にめぐりあえると、それだけでしばらくワクワクした気持ちでいられます。
ぜひ、また見に来てください。



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