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自然の循環と向き合う

「うんこと死体の復権」を観た。

こんなにもリアルな形で、うんこや死体(動物)に、踏み込んだ内容だとは思いもしなかったが、全人類が観た方がいいんじゃないかと思うほどの素晴らしい映画だと思った。

まだまだ自分たちで鶏を捌いたり、森や山から動植物を採取するような、自然や生と死が近い世界であるいわゆる途上国に関心の高い自分にとっては、最近の私自身の思考のトピックに関連するので、どハマりした。

現代人は、生きること、死ぬことから、すごく遠ざかっている。生も死も、人間にとってある意味汚いもの、嫌なものであり、臭い物に蓋をして、見ないようにしているし、世の中的にも見えないようにしている。そんな生と死を、うんこや死体の実験を通じて、徹底的に迫る方々のドキュメンタリーがこの映画である。

我々人間は、地球上の生命の循環のサイクルから、ほとんど追い出されてしまっている。しかし、人間の出したうんこにすら、菌類、虫などの生物が集まってきて、草木にとって栄養のある土を作ってくれるのである。私たちが生み出す物で、唯一自然の循環に貢献できるものがうんこなのだ。

うんこも死体も、菌類、虫、野生動物がみんなで綺麗に片付けて、それを土の栄養変える。うんこの変化、死体の変化を細かくみると、どんな生物ひとつとっても不要な生物がいないことがわかる。とくに、人間だれしも嫌いなハエの子どもウジ虫なんかは、どんな環境下でもうんこや死体を分解し始める最強の分解者だ。

このドキュメンタリー作品は、世の中の生物の多様性をリアルに面白く感じれる。本当に素晴らしい作品だった。

なかなか普段は見ようとしない衝撃的な映像が多いが、出演者の1人がおっしゃっていた「何度も見ると人間は慣れる、人間の感覚なんて適当なものですよ」という言葉が印象的だった。

これを見る前は、全くしてみたいと思ったことがなかった野糞をしてみたいと思えたし、死んだら森に捨てて欲しいとさえ思えた。なかなかできないけど。。。せめて、自分のうんこで、コンポストでも作ってみようかな、と思う。

世の中はテクノロジーで便利になりすぎて、自然における生死の循環を見えなくしてきたし、場合によっては、その循環を邪魔してきた。

とはいえ、全人類、原始に戻って、自然の循環に入れ!というのは、理想かもしれないが、現実的ではない。(それはそれで、現実から目を背けてる)

地球にいきる私たちは、一体なんのためのテクノロジーで、なんのための便利なのか?というのを考えた時に、効率とか、快適とか、色々求めるけれど、正直、私は、ある程度まで便利や快適になれば、それ以上なんの便利が必要なのか?とよくわからなくなってきている。

ただ思考停止で便利さを享受するだけ享受して、日々なんとなく働いて生きて、それが結果的に、人間が自然に対する害獣化しているのであれば、人間の存在意義さえも考えてしまう。

だからこそ、私たちは、自然の循環や生態系を意識して、その循環に貢献すること(本当は罪滅ぼし?)を考えて、自然の一員になる必要があるのかもしれない。

当然完璧になんて、なれないけれど、改めて人間の自然との繋がりを考えさせられた、良い機会になった。

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