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学校の特別支援、本当に特別支援?



音楽の授業、その提案は特別支援ですか?

私は日頃、小さなピアノ教室で障がいさんとピアノや音楽を通じて、レッスン・セッションをしています。
そんな中で、生徒のAくんのエピソードを通じて憤りを感じる「特別支援」と名乗る学校の提案について、共有したいと思います。

「お見合い第1回目・体験レッスン」

保育園の年長さんの夏から私の元に通ってきているAくん(現在小学4年生)のことをお話しします。
レッスンにはご両親お揃いでいらっしゃいました。お家が遠いので、現在はお母様が車で送迎してくださいます。

「体験レッスン」は、そのお子さんによりますが、発達特性をお持ちの子どもさんとは、ほぼ3ヶ月が「お見合い期間」だと考えています。

発達特性をを持ちのお子さんとものすごい数出会う私でも、「始めてが苦手な特性」が多い子どもたちとの出会いが多いので、「体験レッスン」が一番状態が悪いと考えます。

教室にある楽器、環境には初めて出会いますし、何より「ともせんせい♪(私)」という、初めて出会う人に、あれやろう、これやろうと言われるわけですから、状態がいいわけがありません。そんな中で、お家の方も「すみません」「こら、勝手に触らない!」などと、口を挟まれることもありますが、

基本、教室には大事で触って欲しくないものは「おかない」ようにしていますし、
SST(ソーシャルスキルトレーニング)の一環として、使わないものにカバーをしたり箱に入れたりして、「見えない化」をしています。そして、カバーの上には

「さわりません」と、❌を描いた紙を置いています。
それでも気になる、触りたい、というときに、

「ともせんせい、これ触ってもいい?」と尋ねる、ということを、根気よく教えていきます。

体験レッスンは、その「ダメ出し」のオンパレードになります。

Aくんは、小物楽器の中でハマった「鳴子」(よさこい踊りなどで使う赤・黄色・黒で塗られた楽器)を並べて、「踏切」と称して、私の演奏する電車の音楽、踏切の音などに夢中になって遊びました。

ピアノの音が怖い、耳にさわる、等の問題もなかったので、純粋に楽しんで体験を終えたAくんは次の週からレッスンに通うようになりました。

小学校に入ったら、トラブル続きの低学年でしたが・・

とても田舎の、閉鎖的な環境にすんているAくんは、1学年10人の小さな小学校に入りました。人数も少ないし、「なんとかなるだろう」ということで、(何においてなんとかなるのかは、詳しくは聞いてないですが)通常級で3年間を過ごしました。

3年生になり、リコーダーの授業が始まって「音楽の先生」(教科担任)に出会ったことは、Aくんにとって、とても嬉しいエピソードでした。
休憩時間には自ら音楽室に訪問し、先生も歌を教えてくださったりして、楽しく過ごしていることに私も大変嬉しく感じていました。居場所があることは、Aくんにとって、学校に通うことが楽しくなる要因だと思ったからです。

私はリコーダーのことを心配していました

私の教室では、「にじいろ音楽コース」というコースがあり、何かしらの配慮を必要とした方が在籍しています。Aくんもこちらのコースにいます。「にじいろさん」の中には、毎週リコーダーを持ってきて学校の授業の予習復習をします。

指の力が弱い発達特性の子どもたちには、リコーダーで穴を塞ぐ、というのは、とても大変な作業です。

そして、ピアノで鍛えた耳で、「ラ」の音の指遣いで吹いているのに「ラ」じゃない!この音はラじゃない!!!って、イラーッとして、「ぴーーーーーっ」と思いっきり息を吹き込んでしまうシーンもままあります。

Aくんの指の弱さも例外ではありません。
弱い指でも、自分の出したい優しい音が出せる、素敵なリトルピアニストですが、ことリコーダーとなると、指を置いたら確実に音が出る、という楽器ではありません。Aくんにはクリアできていないリコーダーの部分が、小3から生じていたようです。

これは、Aくんだけが当てはまる問題ではないので、希望者には小2の終わりから、先取りでリコーダーのレッスンをしていますが、3年生になり、「リコーダー困ったことない?」と聞いても、「大丈夫」」という返事しかなかったので、心配しましたが・・・私にしてあげられることは、何か申し出てこられた時に対応することだけだな、と、思っていました。

「やっぱり難しいようです・・・」

小4の生活が始まり2ヶ月が過ぎた、先日のこと。レッスン日の朝、お母様から連絡がありました。
「今日のレッスン、リコーダーを持っていかせます。やっぱり難しいようです」

快諾にて、心では「やっと状況把握もできるから、Aくんが困っていれば力になれるかも!」と思いました。

リコーダーは、小3レベルにつまづきがあり(指がホールを塞げていない・自分で指を見ながら演奏できない難しさ、口の締め方、マウスピースの咥え方、などなど初歩的なことがほとんどです)、今やっている課題は、そこをクリアしなければ演奏できない状態でした。同じ音楽を指導するものとして、なぜ今まで放っておかれたのか、疑問です。

今回、リコーダーを私のところに持ってこようと思われたのは、「リコーダーの居残り練習をしても良いか?」と、学校から要望があったのがきっかけのようです。

私は、Aくんのペースで引き続きレッスンの中で支援をしていこうと思っています。

Aくんは4年生から特別支援級への在籍に変更しました

とはいえ、今まで難しさを感じながらも、通常級の宿題もこなしながら頑張ってきたAくんでした。ですので、ちょっとしんどさを感じている国語・算数くらいを支援級で過ごしているようです。

お家でも、そのくらいの「支援」を望んでおられました。ただでさえ小さな街での小さな学校で過ごしているので、副教科などは支援級での個別対応は望んでおられませんでした。

4年生になったある日、「音楽も支援で・・・」という、学校からの打診が!

流石に予想していなかった状況になり、学校からそのような提案があって、すぐさま私に連絡をくださいました。

結論から言うと、今はそれを望まないので、今まで通り10人のお友達の一人として音楽の授業を受けています。

楽譜が読めるから、みんなと足並みを揃えない、オペラチックに大声で歌ったり、高音や低音で歌ったり、頭の中に流れたメロディを授業とは関係のないところで歌うから、他の生徒さんが「やめてほしい」「困る」と言っている、と言うのが理由です。

ピアノ教室に来始めて、もうすぐ丸4年になりますので、あゆみはゆっくりですが、音感もしっかり身についています。毎年発表会でも立派に演奏しています。

その音楽力が「邪魔をしている」と、学校からはみなされているようです。

音楽の授業で必要なことの中では、歌も上手です。音もわかります。
苦手なのは、人の話を聞くこと、歩調を合わせること、リコーダーの演奏ですね。あと、自分の頭の中でずっと音楽が流れていますので、それを「実際に歌ってしまう(本人は、鼻歌、と呼んでいますが、鼻歌にしては随分大きな声のようです)」
と言う、学校側から見た「迷惑行為」です。

その理由だけで、音楽を一人で受けなければいけませんか?

考えてみてください。

授業中に授業を妨害(言葉はきついですが、俗に学習している人の邪魔をすること
)する生徒がいたら、みんな「排除されなけれないけませんか?」

音楽だけでなく、他の教科でもあることですよね。

もし、Aくんが特別支援級の在籍生でなかったら、そう言った話にはならないと共います。支援級ではない生徒さんが同じ状況になった時、学校は、「あなただけ他の部屋で音楽しようね」とは、絶対にならないはずです。

特別な配慮が必要な方が行くのが特別支援級。
特別な配慮をしたいから学校の要望で言ってもらう場所ではない、と、私は考えています。

Aくんの能力を、逆に授業で活かすと言う方法は見出せないのでしょうか?

人にはそれぞれ、得意、不得意があります。

発達特性は「迷惑行為」ではありません。今はまだ、自分では調整がつかないから、結果的に「迷惑行為」になっているだけですよね。

だから、集団で何かをやる、授業も然り、ですが、そのことが大切なことは、自ずと見えてきます。

音楽の授業、音楽ができる子にとって、一人で受けても楽しいはずがありません。

過去の生徒さん、学校との連携でうまくいった例

その子も小4でした。
女の子でしたが、学校では机を蹴飛ばしたり、みんなで歌の発表、運動会で発表をする、と言うったことは絶対にやりたがらない子でした。

たまたまこの子の音楽教科担任が私の教え子で、
新人教諭ながら、真剣にこの子と向き合っていました。

「歌は歌いたくない、と言うんですが、聞いてみたら、小さい頃ピアノ
をやっていたそうなんです。ピアノの先生と喧嘩してやめてしまったみたいなんですが、合唱伴奏を進めようかと思って。ともせんせい、協力してくれますか?」

そのような連絡をくれました。
本人も、やってみたい、と言うことで、2つのレベルの楽譜を持参して、私のもとにやってきました。

「個を光らせる」

子どもの心理には、
「目立ちたい」「難しいことにチャレンジしたい」
と言うのがあるようです。

そこに着眼した
先生も柔軟な考えですし、「子供の最善の利益」を考え、その生徒さんが
輝ける方法があるのなら、
本人が望めばそのような方法を模索する、

素敵なことですよね。

その後、中1までの4年間、合唱伴奏を頑張ることができました。

Aくんにもそういった、何か実力を発揮する方法があるはずです。

私もそう行ったことの力になれれば一番いいのですが、基本的に、
教育委員会の方針としては、学校との第3者のやり取りは、
保護者の意向があってのみ、と言う姿勢なので、

何もできなくて
歯痒い思いをします。

でも、本来、子どもは「社会全体」で見守り、育てていくことだと思うんです

学校からしたら、私のような存在は「煙たい」のでしょうね。
でも、子どもの「最善の利益」を一番に考えて、
どの子も、できるだけ「個」を認めてもらえる世の中になっていくように

これからも
応援していきたいと思います。

最後まで
読んでいただきありがとうございました。

リコーダーに関する便利グッズの紹介































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