見出し画像

LTVの全てを解説 〜基礎から応用の知識まで〜

この記事では、LTVとは何か、LTVをどのように計算するのか、またLTVをどのようにビジネスの発展に生かせるのか、またどうLTVを向上させるのかをまでを掘り下げます。LTVについて深掘りして知りたい方は、こちらをご覧いただければほぼ全てを理解できる内容の濃いものになります。

LTVとは 〜今さら聞けない!?LTVを分かりやすく解説〜
『LTV』 Part 2 〜 LTV-解約率-CACの関係性を理解する〜
『LTV』 Part 3 〜 LTVを高める具体的な方法〜

はじめに

SaaSやサブスクリプションビジネスを行う企業として追跡する必要のあのメトリクスの中でも、LTV(ライフタイム・バリュー)は最も謎に包まれた指標かもしれません。計算するのは難しく、一度計算してしまうと、それが良いものなのか悪いものなのか、どうすれば良いのか分からなくなってしまいます。こちらの記事で、LTVの価値を確認し、ビジネスの成功に是非とも役立ててください。

LTV(ライフタイムバリュー)とは何か?

LTVはLifetime Valueの略で日本語では、生涯価値と言われます。Customer Lifetime Valueといわれることもあり、その際はCLTVと訳し、顧客生涯価値と呼ばれます。

LTVは、顧客が関係全体を通じて貴社の製品やサービスに費やすと予測される金額のことです。
この指標は、取引ベースの思考から、リピートビジネスの長期的な価値に焦点を当てることに役立ちます。

あなたのサービスに¥10,000/月を請求し、顧客が12ヶ月間あなたのサービスを利用するとします。その時のその顧客のLTVは¥10,000 × 12 = ¥12,000となります。

顧客の生涯価値の計算方法

上記の例は、あなたが一人の顧客のためにLTVを計算する方法です。しかし、これは複数の顧客がいることを想定していないため、明らかにビジネスを運営する上では現実的ではありません。
LTVを計算するために、新たに2つのメトリックを考慮する必要があります。

1. 解約率 (Churn Rate)

これは、ある一定期間にサブスクリプションを解除したり、支払いを停止した利用者の数です。

Ex) 昨年100人の購読者がいて、5人を失った場合、解約率は5%です。

2. ユーザーあたりの平均収入(ARPU)

1ユーザーあたりの平均収入(Annual Revenue Per User)は、すべてののアカウントの平均収益です。これは、MRRを総ユーザー数で割れば計算できます

Ex) 100のアカウントが存在し、そのうちの50は年間¥5,000を支払い、他の50が年間¥10,000を支払った場合、あなたのARPUは年間¥7,500になります。

では、LTVの計算方法を見てみましょう。

顧客の生涯価値計算式

計算方法1: LTV = ARPU × 顧客寿命

この他にも、解約を使用して寿命の値を計算することもできます(次の方が、より容易に入手できる可能性が高い数字です)。

計算方法2: LTV  = ARPU / ユーザー解約率

ユーザーの解約率が高ければ高いほど、LTVは低くなります。LTVと解約の両方に注意を払うことが非常に重要である理由がお分かりいただけたと思います。

LTVを手動で計算するのは、少し難解で、計算ミスを多くなりそうなことが予想できましたでしょうか。ですので、LTVの計算などを手動で行うことはオススメできません。BaremetricsのようなSaaS・サブスクリプション分析ツールを使用して、そのような計算のミスや無駄な時間を費やすのを避けるべきです。また、これらのツールはLTVの成長を長期的に追跡・分析することも手助けしてくれるので、LTVの計算以上のものを提供してくれます。

画像1

解約変数

多くの場合、解約を考慮するとLTVの計算はとても厄介なものになります。例えば、特定のグループ(ある特定の期間に加入したユーザーのグループ)について考えると、そのグループの開始日の最初の月の直後にグループの中の多くが「解約」することがよくあります。

このように、各月に解約のばらつきがあると、計算が難しくなります。このようなばらつきを調整するため、もともとのの売上に割引率(解約変数)を掛け合わせることがあり。割引率とは、将来発生する可能性のあるキャッシュフローの損失を「割り引く」ことを意味します)。

少しわかりづらいかもしれないので、以下の例を参照してみてください。以下の例では、少し保守的な見積もりを見つけるのに.75の割引率を使用して、LTVを実際に起こりうそうな現実的な数字に近づけます。

((ARPU x Profit Per User) / Churn rate )  x  0.75
例:  ¥12,000 x 0.75 =
9,000

サンプルサイズ

サンプルサイズもとても重要です。ビジネスにおいては科学的な根拠を元に意思決定をされるべきであり、数字をしっかり判断できなければ失敗に終わる可能性もあります。

そのため、ユーザー数が少なかったり、メトリック計算でユーザー数を数えすぎていたりすると、データが科学的に有効でなくなる可能性があります。

どれくらいのサンプルサイズを準備するべきかの科学的ガイドラインは以下の通りです。

ユーザー数 < 100人:有効なデータを得るためには、50%以上のユーザーデータをカウントする必要があります(100%がベスト)
1,000 < ユーザー数 < 10,000: 有効なデータのために、ユーザーデータの10%をカウントする必要があります(すなわち、5,000人のユーザーがいる場合は、少なくとも500人のユーザーのデータを計算に含める必要があります)。
ユーザー数 > 100万人:ユーザーデータの1%を有効なデータとしてカウントする必要があります(つまり、300万人のユーザーがいる場合は、少なくとも3万人のユーザーのデータを計算に含める必要があります)。

顧客獲得コストとLTV

SaaSビジネスにおいてLTVが非常に重要な理由は、新規顧客獲得のために費やせる経費がLTVによって左右されるからだ。顧客獲得コスト(Customer Acquisition Cost)が¥10,000で、その顧客のLTVが¥50,000の場合、基本的には¥40,000の利益を生んでいることになります。

あなたのビジネスは "マネーマシン "と言うことができますか?

あなたのLTVが高ければ高いほど、CACが低ければ低いほど、あなたのビジネスを成長させることができます。

顧客の価値が一生の間にどれだけあるかを知っていれば、顧客を獲得するためにどれくらいのお金で何に使えばいいのか、よりスマートな意思決定をすることができます。

目安としては、LTV/CACが3を超えていない場合は、顧客獲得に多額の費用を費やしていることになります

LTVと解約率

LTVを語る上で、やはり「解約」というものが厄介になります。一般的に言えば、最低価格のプランのユーザーは、他のプランと比較して最も解約しやすく、悪いLTVになります。

そして、先ほど言ったことを覚えていますか?LTVは顧客を獲得するために何をどれくらい費やすことができるかを提示してくれます。平均的な顧客が獲得するのに¥20,000かかる場合、LTVが¥10,000の顧客を獲得するためにそのお金を費やしては絶対にいけません。

ですので、各顧客セグメントのLTVを知ることは非常に重要です。

これらを知る方法としてBaremetrics(SaaS分析とインサイト)をチェックしてみてください。アカウントを接続するだけですぐに利用することができます。大変な計算を自動で勝手に計算してくれ、各セグメントの計算も行ってくれます。あなたのビジネスを成長させるために、是非使用してみてください。

『LTV』 Part 3 〜 LTVを高める具体的な方法〜

LTVは高ければ高いほど、顧客獲得コストをかけることができるようになり、さらにビジネス拡大のチャンスを大きくしてくれます。この記事では、そのLTVをどのようにしたら高くにできるかの具体的な方法を解説していきます。

・LTVの高い顧客にインタビュー
顧客の区分によってLTVを比較
全体的な解約を減少させる
ARPUを増加させる
・LTVの目標を設定する

これらの方法はBaremetricsを利用すると、より簡単に的確に行うことできますので、今回はそちらをベースに解説します。是非、無料でサインアップして、トライしてみてください。

LTVの高い顧客にインタビュー

この最初の戦術では、平均的な顧客よりも生涯価値の高い顧客を特定し、その顧客についてもっと知ることから始めます。

具体的には、以下の情報を得れると良いでしょう。

・あなたの製品から最も価値を得ている場所
・製品の使用方法
・最初は何に惹かれたのか(どうやってあなたのサービスを知ったのか)
・契約してからどのようにして製品と共に成長してきたか
・他にも、何が彼らを囲い込んでいるのかを理解するのに役立つような洞察力があれば

このインタビューを行うためのステップ1は、現在の平均LTVを調べることです。メトリクス・ダッシュボードからデータを取得します。

画像2

次に、顧客リストを確認してみましょう。いくつかのフィルターを設定する必要があります。

1. アクティブな顧客: アクティブな顧客と話すのが理想的です。キャンセルした人にインタビューするのはお互いに少し気まずいかもしれません。
2. LTV: 検索したなかで、平均よりも高いLTVを持つ顧客のみを表示するフィルタを設定します(上記の例の場合、3443ドルよりも高い)。

画像3

これで、ベストなLTV顧客のリストが出来上がるはずです。

画像4

このリストから、相手に連絡を取り、製品の使用方法やフィードバックを得るための簡単なインタビューに応じてくれるかどうかを尋ねていきます。以下にメールのテンプレートを示します。

件名 {顧客名}様, {あなたの会社名}があなたを指名しました!

こんにちは {顧客名}様。{あなたの会社名}の{あなたの名前}です。
長年にわたり、弊社ツールをご愛用いただき、誠にありがとうございます。

この度、弊社の顧客がどのように{あなたの会社の製品}を使用しているかを深く知りたいと思いご連絡させていただきました。弊社ツールを一番理解してくれているであるろうお客様の一人の {顧客名}様に是非ご協力いただきたいと思っております。

いくつかご質問にご回答いただくために、15分ほどお時間をいただけないでしょうか?ご回答いただけた際には、次回請求を10%オフにさせていただきます。
よろしければ次のリンクより、お手隙なお時間でご予約いただければ幸いです{リンク}。
近いうちにお話しできるのを楽しみにしております。

{signature}.

この時、10%オフのような割引を与える必要は絶対ではありません。ただ、インタビューを行うための引き換えとして顧客に何かを提供することができれば、対応してくれる顧客数も多くなるはずです。

そして、CalendlyやDoodleのような通話の日時をスケジュールするためのリンクが含まれているとベストでしょう。このリンクがあれば、顧客も時間設定がとても簡単になります。

インタビュー後は、フィードバックをまとめてスプレッドシートに整理します。そして、他の顧客のLTVを改善するために使用できる傾向があるかを模索してください。

例えば、これらの顧客のほとんどが特定のチャネル(SEO、Google広告、電子メールなど)から来ていることに気づいたら、それらのチャネルにもっと投資すべきだと思います。

あるいは、それらの顧客のほとんどがあなたの製品の特定の機能を多く使用しているかもしれません。顧客はそれから最も価値を得るので、あなたはその機能について、より多くのマーケティングを行うべきなのかもしれません。このインタビューが、あなたがどのように製品を開発し、販売するかの大きな助けとなるでしょう。

顧客の区分によってLTVを比較

LTVを一つの数字として見ることで、多くのインサイトを与えてくれるのは前回の記事で理解できたはずです。
ただ、それをより実用的なものにするためには、そのLTVをより小さなグループに分解して、傾向を特定できるようにする必要があります。

なぜなら、すべての顧客が同じようにあなたのサービスを利用しているわけではないからです。SaaS企業の場合、通常よくみられるセグメントとしては様々な価格帯が各主要顧客セグメントとなり、その各々のグループのLTVを理解することが必要です。

これらのセグメントのLTVはBaremetricsを使用すると、すぐに確認することができます。

画像5

ここにあるように、非常に明白な傾向があります。この例では最も低いプランは、顧客数が最も多いにもかかわらず、LTVが著しく低くなっています。

これはSaaS企業によく見られる傾向です。低価格プランの顧客は解約率が高く、支払額が低い傾向にあります。また、高価格プランの顧客は、より長く滞在し、より多くの収益を上げている傾向があります

このデータを見ると、可能であれば中規模の顧客を獲得する方法を見つけることに時間を費やす価値があることは明らかです。

しかし、料金プランは顧客をセグメントするための1つの方法に過ぎません。Baremetricsでは、場所、獲得ソース、いつサインアップしたか、その他多くの基準に基づいてセグメントを作成することができます。

例えば、米国とカナダの顧客のLTVを比較することができます。

画像6

このように、どのセグメントが最も高いLTVを持っているかを特定することにより、そこのマーケティングコストをかけて、そのような顧客をより多く獲得することができるようになり、結果的にLTVの向上につながります。

全体的な解約を減少させる

LTVを考えるとき、以下の2つことがとても重要になります。

1. 顧客があなたのどれだけのお金を使っているか
2. 顧客はどのくらいの期間、顧客でいてくれるか

つまり、顧客がお金を払い続けてくれる期間が長ければ長いほど、平均顧客生涯価値(Average Customer Lifetime Value)を高めるチャンスがあるということです。

そのためには、ユーザーの解約期間(Churn Time)に注目する必要があります。顧客がキャンセルするまでの期間はどれくらいでしょうか?

画像7

まず最初に注意すべきことは、顧客の解約率が高いかどうかです。Baremetricsを利用している場合は、Benchmarkを利用することで、顧客解約期間が類似企業と比べた際の現状を知ることができます。

画像8

解約率を減らし、顧客維持率を向上させる方法について、たくさんの記事(英語記事)がBaremetricsによって、執筆されていますので、ご参考ください。

・6 Proven Strategies to Reduce Churn (With Real Examples)
・Three Step Guide to Analyzing Customer Churn
・Customer Churn: How to Calculate & Reduce It
・5 Ways to Prevent Involuntary Churn in SaaS
・What is Negative Churn? (And How to Achieve it)
・How to Use Cohort Analysis to Reduce Churn & Improve Retention

こちらの記事は今後、翻訳予定ですが、英語でも良い方はご参考ください。

ARPUを増加させる

続いて、LTVで重要な要因の2つ目の部分であるユーザー1人当たりの収益(ARPU)を高める方法について解説していきます。

解約は避けられないので、その割合を減らすことだけに頼ってはいけません。ですので、顧客あたりの収益を増やす方法も探していきましょう。

繰り返しますが、より少なく支払う顧客は、より高い支払いの顧客よりも低いLTVを持っている傾向があります。このことから、ARPUを増加させる2つの主要な方法は次のとおりです。

1.  価格を上げる
2. エクスパンション収益

多くの創業者にとって、価格を上げることは微妙な問題であることは知っています。しかし実際には、製品の価格設定が低すぎると成長を阻害してしまいます。

SaaSの価格設定を劇的に変更する前には、十分なテストを行う必要がありますが、しばらくの間成長が止まっていて、LTVが伸びていない場合には、検討する価値があるでしょう。

2つ目の方法の方が、躊躇は少ないでしょう。エクスパンション収益とは、既存顧客からの収益を増やすことです。

より高価格のプランへのアップグレード
・補完的な製品のクロスセル
・現在のサブスクリプションを改善するためのアドオンを提供

画像9

もしこの方法についてもっと学びたいと思っていらしたら、Baremetricsが提供するエクスパンション収益を増加させるガイドもご覧ください。 How to Use Customer Expansion to Skyrocket Growth

LTVの目標を設定する

ハーバード大学の研究で、目標を設定している人はそうでない人よりも成功する可能性が10倍高いという事実があります。事実、目標は、それを達成するために戦略を立てることを強制してくれます。つまり、目標を設定するだけで、行動を起こすための種を蒔いていることになります。

ただ、この目標はどう設定すべきなのか?それは、Baremetricsの中で教えてくれます。

画像10

目標を設定するときは、恣意的な数字を選ぶのではなく、その背後に何らかのロジックがあることを確認しましょう。これを行うための良い方法は、過去の数字を見ることです。例えば、過去24ヶ月間のLTVを今日と比較してみましょう。

画像11

12ヶ月間で25%下落しており、過去24ヶ月間のすべての変化は概ね20%以内に収まっています。ですから、次の2ヶ月間に50%増加させるという目標を設定するのは、合理的ではないでしょう。

しかし、毎月10%ずつ上昇させるという目標は、より可能性の高い現実的なものになるでしょう。

最後に

LTVは単なるSaaSの指標ではありません。ただ、そこから製品の価格がどのように設定されているか、また顧客が製品からどれだけの価値を得ているかについて、多くのことが語られています。

LTVは、計算して終わりではなく、それを追跡して、分析して改善することが重要です。

もしあなたの会社のLTVがわからない場合や、私が説明したような分析ができるツールを持っていない場合は、是非Baremetricsの無料トライアルを利用してみてください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?