タンザニアで耳活をやめて見えた景色
マンボ！
タンザニア在住ライターのほりとも（@tmk_255）です。
タンザニアに来る前の私はAirPods（ワイヤレスのイヤホン）が生活のおとも。朝の出勤中に電車の中で、週末のランニング中に、洗い物や料理などの家事の時間に、ラジオを聞いたりオーディブルで読書をしたりしてました。
タンザニアに来てから、気づいたら、ほとんどこの耳活をしていません。時間の効率をあれほど重視していたのに、何が起きたのか！と、考えてみたら、タンザニアならではの、なるほどが見えてきました。
「今日はイヤホンを外して過ごしてみようかな」
この記事を読んだあなたは、そんな気持ちになるかもしれません。
▼朝活のクラッシック音楽を…
朝型の私は、頭を使う仕事は朝一番にやることが多いのですが、その時にいつも耳に流すのはYoutubeのバロック音楽。どこかで、作業がはかどるクラッシック音楽だと聞いたから。
タンザニアに移住してからも、1年以上そんな習慣を続けていたのですが、ある朝に気づきました。
「ん？この音楽、鳥の声も入ってる？なぜ、クラッシック音楽に、野鳥の声が？」
イヤホンを外してみたら、そのなんとも心が洗われるような鳥の鳴き声は、イヤホンではなく、家の外からではありませんか。
私の住む町、ダルエスサラームは、タンザニアの最大都市。それでも、あちこちに緑が広がり、家の中にいても、まるで野鳥公園にいるかのように鳥の鳴き声があちこちから聞こえるのです。
朝のこんなぜいたくな音に気づくのに、1年以上もかかってしまいました。それから朝の仕事時間は、イヤホンを外して、パソコンから流れるクラッシック音楽ではなく、外から聞こえる鳥の声を聞きながら仕事をしています。
▼タンザニアの朝の音
イヤホンを外して朝活を始めたら、タンザニアならではの朝の音に気づくようになりました。
タンザニアは人口の40％がイスラム教徒なので、朝は「お祈りの音」も聞こえます。イスラム教の国に旅行に行くと聞こえるアレです。信者に祈りの時間を知らせるためにモスクから礼拝の呼びかけが一日に五回流れるのですが、朝にその第一弾が聞こえます。独特の旋律とゆっくりとした響きは、のんびりとしたタンザニアの朝にぴったりと溶け込みます。
タンザニアならではの朝の音には、「警備員さんの音」もあります。タンザニアはアフリカの中では比較的治安が良い方ですが、それでも、どの家にも24時間体制で家の安全を守る警備員さんがいます。私の家にも、12時間ごとに交代する警備さんがいます。朝6時になると、交代する警備員さんが自転車で家に到着。朝のあいさつをしている楽しそうな笑い声が聞こえます。会話まで聞こえるわけではありませんが、ちりんちりんと自転車が到着して、キキーっつと家の前でとめて、交代がてら会話をしている声が聞こえてきます。
▼身の安全が第一のランニング
タンザニアにきた直後に残念だと感じたことは、音楽を聞きながらランニングができないこと。
なぜなら、ランニング時にイヤホンを付けると、周囲の音が聞こえにくくなり、危険な状況に気付くのが遅れるため、犯罪や事故に巻き込まれるリスクが高まるから。日本では心配しなくてもよい危険が、タンザニアにはあるのです。
ランニング中のイヤホンが禁止になってしまった私。さらに一人で走るのも危ないので、一緒に走る仲間をなんとか見つけて、ランニングを始めました。そうしたら、それまでとは違う景色が広がっていました。
海沿いを走るので、海風が気持ちよく、朝日ってこんなにきれいだっけ？と感動しながら、あちらから走ってくるタンザニア人のランナーと「マンボ！」とあいさつしながらすれ違う。イヤホンをしていたら、気づかなかった景色が広がっていました。
1人で音楽を聞きながらのランもいいけれど、こうやって周囲の色や形や音を楽しみながら、横で一緒に走る友達とたわいのない話をしながら走る朝ランはまた格別です。
▼おわりに
効率を重視しがちだった私ですが、タンザニアでイヤホン生活を奪われたことで、周りの音を聞くことの楽しさを改めて知った気がします。
忙しい生活をしていると、ぼーっとしている時間をとりにくいですが、
今日は、イヤホンを外して、通勤電車で人を観察してみたり、ランニングでそこに広がる景色を眺めてみてはいかがでしょうか。
きっと、気づかなかった新しい発見があなたにもあるはず。
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