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都民ファ代表質問解説②スタートアップ/ 各種産業/ 働きたい働く人支援編

都民ファーストの会東京都議団の代表質問解説です。
今回は「働く」に焦点を当てた質問です。次世代への投資となるスタートアップ政策、農業・漁業・市場・建築・運送・フリーランスなど各種産業の施策、働く人働きたい人への支援などです。


☘️重点政策 将来に向けた投資☘️

🟢「東京デジタル2030ビジョン」

 続いて、未来への投資につながる都民ファーストの会東京都議団の重点領域について。まずは、女性やスタートアップ、デジタルなど、東京の経済と社会を支える人と基盤への投資です。 

 社会が大きく変化する中、都民や事業者から様々な要望が寄せられており、中でも、デジタル面で、行政サービスの利便性向上や抜本的な変革が期待されています。未来への投資として、改めて重点的に取組を進めることが必要です。 
 先の定例会(令和5年6月の都議会本会議)では、都民目線で、オール東京のDXを飛躍的に進展させることを求めました。都は、都庁のデジタル化だけでなく、その先も見据えて「東京デジタル2030ビジョン」を策定し、DXの将来像を示しました。

Q. GovTech 東京の技術力も活かし、新たなビジョンで示された行政の垣根を越えた一歩先の将来像に向けて、多様な主体と連携し、都民ファーストの視点でデジタルサー ビスの変革にチャレンジしていくべきですが、知事の所見を伺います。

<小池百合子都知事答弁>
デジタルの力で都民サービスを飛躍的に高めていくため未来に向けて一歩を踏み出す。 GovTech 東京を推進力に、同じ志を持つ全ての区市町村と共に、一人ひとりに最適化したサービスを、行政の垣根を越えてタイムリーに届ける変革に挑戦。
まずは子育て分野から着手。利用者の声に耳を傾けながら、身近な「母子手帳アプリ」などを入口に、構築を進める。妊娠・出産から保育まで、必要な情報をプッシュ型で提供し、 迅速なサービスや支援の実施につなげる。
事業者に向けては、申請の度に同じ情報の入力や書類の提出をなくす「手続サクサク プロジェクト」を推進
さらに、AI など新技術の活用による審査の効率化を図り、更なるスピードアップを実現。 国や区市町村をはじめ、多様な主体の参画を得て、デジタルを梃子に、都民の QOLを高め、一人ひとりが輝く社会を構築する。

🟢スタートアップファーストのTokyo Innovation Baseの設立 

 先般、私たちは関連事業者からのヒアリングを実施し、小池都知事に対してスタートアップを後押しする総合的な提案を致しました。

 まもなくTIB 、Tokyo Innovation Baseが開設されますが、スタートアップ側の目線で、官民の連携が真に進む、魅力的な拠点となるよう準備の加速を求めます。

 具体的には、民間で実施が難しい、シード・プレシード期に重点を置いた支援支援拠点同士を連携させるハブ機能法務・会計・海外対応などの専門サービス研究開発に必要な測定機器などの設備の提供等です。
 また、運営にあたっては、スタートアップの目利きができる、専任のコミュニティマネージャの配置や、関係者と中長期の信頼関係を築けるように、担当する都庁職員のローテーションを長期化させることも重要です。
 
Q. スタートアップファーストで、こうした取り組みが取り入れられるよう、様々な団体や事業者と協力してTIBを創り上げるとともに、拡散力のあるSNSの利用など集客戦略を徹底していくことが重要ですが、知事の見解を伺います。

<小池百合子都知事答弁>
スタートアップ支援に関わる各地の拠点や、あらゆる人々を結びつけ、オール東京で スタートアップの挑戦を後押しする。これこそが、TIB の目指すところである。11 月に、国内外のキーパーソンが一堂に集う大規模なプレオープンイベントを開きこの 理念を参加者と共有し、広く発信していく。 大学、企業、支援機関など、想いに共感する様々な人材が運営チームに参画し、垣根を越えて交ざり合うアイデアを掛け合わせ、企業単独では難しいグローバルを見据えた支援 プログラムなどを創り出す。ウェブサイトによる PR や、海外イベントでのプロモーションに加え、チームメンバー による口コミの情報拡散や、若者目線での動画配信など SNS を戦略的に活用することで、 人が人を呼ぶ、大きなプラットフォームに育てていく。

藤井あきら都議が座長を務める「都民ファーストの会スタートアップPT」では、8月23日にユーグレナ出雲社長、エレファンテック清水社長をはじめ、スタートアップエコシステムを支える錚々たる10社の方々から政策ヒアリングを実施し、今回の定例本会議の質疑に活かしています。

 また、(都民ファーストの会が行った)スタートアップからのヒアリングでは、公共調達とともに、都が旗振り役として大企業などの「民間企業におけるスタートアップからの調達」も促進すべきとの指摘があり、今後の取り組みを強く求めます。 
 また、宇宙開発はかつては政府主導の領域でしたが、海外では民間企業、特にスタートアップが大きな存在感を示し始めています。すそ野が極めて広い産業であり、都内に国内有数の宇宙スタートアップ企業もあることから、同分野の振興に取り組むことも求めます

🟢母校の都立高校等での講演による、スタートアップの裾野拡大🧒

 東京のスタートアップを起業する数を10倍にする目標において、若いうちから起業を将来の選択肢として身近に捉え、慣れ親しむ機会をつくることは重要です。
 実際にスタートアップを立ち上げた起業家の皆さまから、「母校の高校などで学生向けに講演等を行ってもよい、貢献をしたい」との声を頂いています。教職員の負担にならないよう、年に1度、放課後に起業家を招いて講演するだけで十分に効果があるとのことです。

Q. スタートアップや起業をキャリアの選択肢として身近に感じてもらうため、卒業 生のスタートアップ起業家が母校の高校等で講演し交流するなど、学生が起業を身近に感 じる機会を設けていくべきですが、見解を伺います。

<国際金融都市戦略室長答弁>
起業の裾野を広げるため、若い頃から起業家と触れ合う経験を通じ、人生の選択肢とし て、起業を身近に感じてもらうことが重要である。 都は、起業に関心のある学生や若者を後押しするため、7 月にスタートアッ プの仕事の魅力に触れるイベントを開催し、この夏休み期間に、学生向けインターンシップを初めて実施している。
今後さらに、将来の進路や就職を意識する前の高校生等へのアプローチとして、起業家が母校に出向いて自らの体験を語り、チャレンジすることの大切さや面白さを伝えるなど スタートアップと生徒との交流の枠組みづくりを進め、失敗を恐れず挑戦する若者を応援していく。

☘️様々な産業分野の発展に向けた取り組み☘️

🟢アニメなどのコンテンツ産業の振興⭐️

 来月、池袋に新たにアニメ東京ステーションが開設されます。東京には、漫画やアニメ、ゲームなど、国際競争力を有する知的財産が集積しており、東京が日本のコンテンツ産業を牽引し、世界と戦える環境を築いていかなければなりません。

 しかし近年、国策としてコンテンツ産業を育成してきた、中国や韓国が市場を席巻してきたことで日本の優位性は失われつつあり、強い危機感を持ち抜本的な対策を進めていかなければなりません。 
 
 最も注力すべきは人・クリエイターの挑戦を支援することであり、制作資金の支援や海外展開のための各種支援、また制作スタジオなどの場づくりも重要です。 Q. コンテンツ産業を支える場を生み出すまちづくりを促進するため、都市開発や、 既存建築物の活用の両面で、まちづくりの制度の活用などに取り組むべきと考えますが、 見解を伺います。


<都市整備局長答弁>
コンテンツ産業の集積を地域の個性としてまちづくりに生かすことは、都市の魅力を 向上させる上で重要であり、都は区市と連携し、まちづくり制度の活用による施設整備を促進 。容積率緩和などの制度を活用し、池袋ではサブカルチャーやアニメなど、渋谷では音楽やファッションなどを世界に発信する文化・交流施設を整備 。 今後はこれまでの取組に加え、既存建物のリノベーションなども誘導しながらまちづく りを進めることでコンテンツ産業を育成し世界をリードする魅力ある都市づくりを推進 。

🟢東京の農業経営の充実について👩‍🌾 

 農地の面積が限られる東京において、 農業者が収益力を上げるためには、技術力の向上とともにブランド化等に取り組み、付加価値を高めることが必要です。その際、地域の実情に詳しく、農業者のニーズを踏まえて助言を行う普及指導員の役割が重要になります。

Q. 都はこれまでも普及指導の充実に取り組んでいますが、今後、都内全域でさらなる体制強化を進め、農業経営の充実を図るべきですが、見解を伺います。


<産業労働局長答弁>
都内の農業者が最新の技術により優れた農産物を作りそのブランド化を図る取組を支援することは重要である。これまで都は、普及指導員による巡回指導や講習会を通じ栽培技術の向上に役立つ知識 やノウハウの提供を行ってきた。また、農産物のブランド化に取り組む農業者に対し新たなラベルのデザイン等について専門家が助言を行い、その作成経費に助成をしてきた。 今後は、普及指導において新たな情報機器の活用を進めるなど栽培技術の支援の仕組みを充実するほか都と農業者が協力しブランド化を進める協議会を立ち上げマーケティング を後押しする。

🟢魚介類のの消費喚起🐟🐚

 都は、日本産の海産物への風評を払拭し応援するため、「魚介類の消費喚起キャンペーン」の実施を発表しました。

 知事のリーダーシップの下、大消費地である東京がその力を発揮し、漁業者や水産関連の事業者を後押しするムーブメントを起こすことには、大きな意義があります。機を逸することなく、デジタルの力も活用し迅速に取り組むべきです。また、被災地の復興にも役立てるため、福島県との連携も重要です。さらには中国依存から脱却し、輸出先の多様化にも取り組む必要があり、新たな海外販路の開拓について力強い後押しを求めます。

Q. 日本産海産物の風評払拭、消費喚起、輸出先の多角化などの観点を踏まえ、今回 の魚介類の消費喚起キャンペーンにどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺いま す。

<小池百合子都知事答弁>
水産物への風評の懸念を払拭し、漁業者等の支援にも結び付けるため、東京の大きな 消費の力を迅速に活用することが重要だ。 都は、新鮮な海の幸を寿司店で食べるほか、鮮魚店で購入する場合、支払いの30 パー セントを、1 人当たり 1,000 円相当までのポイントで還元するキャンペーンを展開し、 消費の喚起に結び付ける。 この取組では、キャッシュレス決済でポイントを提供する仕組みとし街中でデジタル化を進める工夫の 1 つとする。また、10 月に開催する農林水産と食への関心を高める「東京味わいフェスタ」の場で 福島県等の水産品コーナーによる紹介を充実するほか、海外の食品展示会で水産物を PR するなど、魚介類の安全と安心を幅広く発信していく。 これらにより、水産物の速やかな消費喚起と水産関連の事業者のサポートをしっかり と進める。

追記
⇧この質疑で確認した寿司店や鮮魚購入のポイント還元キャンペーンについて、東京都産業労働局から発表がありました。

また、このキャンペーンに参加したいという事業者向けの発表も出ましたので、ファイルをこちらに貼っておきます。

🟢市場の経営改革🐟🥦

 卸売市場を取り巻く環境の変化や、市場会計の将来的な見通しの厳しさを踏まえ、市場経営の抜本的な改革の必要性をかねてより訴えてきました。東京都卸売市場審議会においても根本的な市場のあり方も含め議論されています。
Q. 市場施設・駐車場等の外部への貸し出し、市場の改修に際しては将来的な需要の変動に応じて柔軟に対応できる建物構造への変化など、あらゆる方策を総動員し、中央卸 売市場の収益向上に取り組むべきですが、見解を伺います。

<中央卸売市場長答弁>
中央卸売市場が将来にわたり市場を安定的に運営するためには、内部努力により一層の経費削減を図るとともに収益向上に様々な視点から取り組むことが重要 。
このため、都はこれまで、維持管理費の不断の見直しや、資産の有効活用により、収入 増加に努めてきた。今後は、これらに加え、未利用資産の柔軟な活用策を検討するとともに、市場業者が機動的な設備投資を可能とする仕組みを導入することにより、市場取引の 活性化を促進していく。 こうした取組による市場全体の収益向上を通じて、持続可能な市場運営の実現を図って いく。

☘️働く・働きたい人への支援☘️

🟢「年収の壁」突破支援をして女性も男性も働きやすい環境整備を👩

 いわゆる「年収の壁」について、「負担なき給付」と指摘されている第3号被保険者の見直しや、海外事例等も参考にした「壁」を緩やかにするなど制度の抜本的な改正が求められます。「男性は外で仕事・女性は家庭を守る」といった価値観は、現役世代では完全に変容しており、国は早期に取り組みを進めるべきです。(問20)いわゆる「年収の壁」について、都として、国に根本的な制度改正の要望を行うとともに、働く人に対する正しい知識の普及啓発に加えて、伝統的な男女の役割分担意識 に根付いた制度を改革し、男性も女性も働きやすい環境を整備する企業への支援等独自の 支援を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。

<小池百合子都知事答弁>
女性が自らの能力と意欲に応じ、経済の分野で活躍することへの期待が高まる中で、 こうした潮流に我が国はますます乗り遅れている。働く女性を支える仕組みづくりはもはや待ったなしだ。「東京くらし方会議」の議論により、社会保障に係る正確な理解を広げ、女性の活躍を後押しする職場をつくる必要性が浮き彫りとなった。女性の働く意欲を高めるため国に正確な情報発信を要望するほか、民間での登用を働きかけてきた。男性が子育てを担う 社会的な気運を高める取組も進めている。 今後は、会社の中で女性がキャリアアップにより、一層力を発揮する仕組みづくりをサポートするほか、育業した男性がその経験を進んで職場に伝え、働く女性を家庭で支える同僚や後輩を増やしたい。これらにより、女性が輝き、誰もが活躍できる社会の実現を進めていく。

🟢都営住宅におけるシングルマザー等の就労支援🤱

 シングルマザーが、児童手当が途切れた後に改めて就労しようとしても、年齢が障害となり、困窮するケースが見られます。専門家によると、「シングルマザーは、時間的制約に加え、経験不足等が原因で自らの能力を低くとらえる傾向があり、結果、正規就労を目指さないこと」や、「子供が幼い段階で、就労による自立に向けて寄り添った支援をすることで、平均年収以上も目指せること」などが指摘されています。
 こうした実態を踏まえ、私たちは、都営住宅に住むシングルマザーを対象とした支援を提案、都営住宅の集会所を利用した支援について具体的な方策を検討していく旨の答弁がありました。

Q. 都営住宅における就労支援の実施にあたっては、就労支援を本来必要とするよ り多くの方に参加いただけるよう工夫を重ねながら、多くの都営住宅において取り組んで いくべきと考えますが、見解を伺います


<住宅政策本部長答弁>
シングルマザーをはじめ、就労支援を本来、必要とする居住者に対して、丁寧に支援していくことが大切 。 新たに、関係局と連携し、まずは大規模な団地の集会所において、就労に関するミニ セミナーや、個別相談を実施 。子育て中の女性にも人気のあるヨガ教室と組み合わせ、託児コーナーを併設するなど工夫し、本年 11 月頃の開催を目途に準備。 参加者アンケート等により、実施時期や方法等について検証しその結果を踏まえ、他の都営住宅においても実施。

🟢高齢者の様々な意欲やニーズに応える「シルバー人材センター」をITの力でパワーアップを🧓

 2025年には国民の5人に1人が後期高齢者となると言われており、シニアの生きがいや、活動の機会の確保の観点から、シルバー人材センターには一層の機能拡大が期待されます。一方、シルバー世代のスキルや認識も時代とともに変わり、現役時代のスキルを活かしたい、若い世代や子供と関わって役に立ちたい、空いた時間を有効に活用したい、などの意欲的なニーズに応えていくことが必要です。

Q. シルバー人材センターが、事務系や IT 関係の仕事などを希望する高齢者や、そ うした働き手を確保したい発注者にとって選択肢となるよう、デジタルの活用も取り入れ ながら、センターのイメージチェンジを図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺い ます。

<小池百合子都知事答弁>
長寿社会が進展し、会社の定年を迎えた後も、その意欲や経験に応じ様々な仕事に取り組む力のある高齢者は増えている。そうした方々が働くふさわしい機会を確保し、仕事を効率的に提供する工夫を進めなけ ればならない。東京の各地域にあるシルバー人材センターは、高齢者に負担の少ない仕事を、地元の自治体などから長年にわたり受注し、希望者には順番などを取り決めて提供してきた。 これからは、高齢者の活躍する新たな仕事を増やし、働き手に的確につなぐ仕組みづくりが重要だ。今後は、シルバー人材センターとそのサポートを進める東京しごと財団が協力し、地域に出向き子育てや見守りなどの新たな仕事を掘り起こすほか、DX の技術を利用して働き手と仕事の速やかなマッチングを進めていく。これらにより、高齢者が生き生きと活躍できるシルバー人材センターの新たなイメージ の確立に結び付ける。

🟢インボイス制度への不安や困りごとへの支援を

 「インボイス制度」の導入が10月1日に迫っていますが、都内の中小零細企業やフリーランスにも大きな影響があります。特に、免税事業者が大半のフリーランスは、制度開始に不安を抱き、約2割は仕組みがよくわからないためにインボイス登録をしていないとの調査結果もあります。本来国において対策するべきではありますが、制度開始後も今後ますます大きな混乱が生じることも想定されます。

Q. 東京都として、都内の中小零細企業やフリーランスがインボイス制度へ的確に対応できるよう、丁寧かつ踏み込んだ支援を行い、不安払しょくに全力を尽くすべきではないか、知事の見解を伺います。


<小池百合子都知事答弁>
厳しい経営環境にある中小企業等がインボイス制度の導入に伴い、免税を選んだ場合、 取引の打切りや受取代金の減少に繋がる懸念があり、課税事業者になると納税の事務を担わざるを得ない。これらの状況を乗り越えるための後押しは不可欠だ。
これまで都はインボイス制度に関する正確な知識を提供するセミナーを開くほか実務上の相談に対応してきた。
今後、制度の開始に伴う取引や税務の面での課題に対応するため相談体制の大幅な拡充を図り、現場で専門家が助言をする新たな仕組みも導入する。
また、10 月にオープンする「芸術文化相談サポートセンター」において、芸術文化の仕事でインボイスの問題に直面する方に対しても相談を受け付けるなど、適切な支援を進める。さらに、制度の導入後の適正な取引を確保するため中小企業に発注を行う大企業を含めた様々な会社に対し、法令上のルールなどに詳しい実務家が巡回し働きかけを行うな 総合的な取組を展開する。

🟢建設業の下請次数に関する実態調査🏗️

 中小建設事業者からは、品質の確保や安全管理に加え、資材価格の高騰や働き方推進と、将来の担い手育成・確保がまさに喫緊の課題であるとの声をいただいています。建設業では、2次・3次以上の下請けで形成される「重層下請構造」がありますが、施工に関する役割や責任が不明確となることや、品質や安全性の低下等の弊害が生じうると指摘されています。国の「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」でも、正確な実態把握が重要であるとされています。

Q. 都として速やかに、都発注工事における、重層下請構造の現状を把握するべきですが、見解を伺います。

<財務局長答弁>
重層下請構造の現状把握についてであるが、重層下請構造は、繁閑の対応や工事の高度化等に伴う専門化・分業化などの合理的な理由に基づいて、構造化してきたものであると認識 。これまでも、担い手確保等の観点から元請事業者団体に対し、書面による契約締結など下請契約の適正化等について要請を行ってきたが、建設業における持続可能性確保に向けては、施工体制の実態を把握することも重要。 新たに、今年度、都が発注する工事を対象に下請次数等に関する状況調査を実施する。

🟢2024年問題への対応ー都発注工事は原則「週休2日」に🚚

 残業上限規制の実施が猶予されてきた建設業、運送業において、2024年4月より規制が適用されます。労働基準法の改正から5年の猶予があったものの、「様々な業界努力を重ねても、なお課題が山積している」との現場の切実な声が届いています。

 都の更なる支援策を求めるとともに、官民の発注者側の協力や配慮もさらに必要です。建設業・運送業におけるいわゆる 2024 年問題について、公共調達において特段の配慮が必要であることは言うまでもなく、私たちも要望し、これまで都も取り組みを進めてきたと認識しています。

Q. 今後、都が発注する工事について、週休 2 日の実施、必要な 労務費の設定、発注時期の平準化、適切な工期設定、工事書類の削減・簡素化など建設業 の働き方改革を更に進めるべきですが、見解を伺います。

<財務局長答弁>
都は工事に直接必要な日数のほか、施工条件や休日等を考慮した日数を加え、適切な工期を設定するとともに、工事の分散化を図るため、施工時期を平準化。
「週休二日」については、平成27年度からモデル工事を実施してきたが、来年度(
令和6年度)からは 原則として全ての工事で週休二日が実施できるよう準備を進めている
。 また、紙ではなくインターネット上で工事関係書類の提出等を行う情報共有システムの活用をすすめており、今後は、更なる利用拡大に向け受注者に働きかける。 今後、こうした取組を一層推進し、建設業の働き方改革を後押し。

🟢働く人を精神的に追い詰める「カスタマーハラスメント」対策

 カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラは増加傾向にあり、厚労省の2022年度調査による過去3年間の相談件数は、パワハラ、セクハラに次ぐ19.5%を占めるに至っています。私たちは、悪質クレーム、とりわけ顧客や取引先からの著しい迷惑行為が、流通や介護などサービス業に従事する方々の、メンタルヘルスの悪化や離職を招いていることを指摘し、公社の相談窓口にクレーム対応を項目として加え、今年度からセミナーを開催するなど、都も対応を進めてきました。また、教員や自治体職員など公務員も含め、様々な業種や職種に広がるカスハラを防止するためには、社会全体の機運を醸成する必要があります。
Q. カスハラを防止するための都民への啓発や、条例の制定など、都としての取り組みをさらに一歩前進させるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

<小池百合子都知事答弁>
製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、 従業員が人格を傷つけられ精神的なダメージを受ける状況を放置することはできない。 このことは学校や警察など、公共サービスを提供する現場でも例外でない。 国はこうした問題の解決に向け、指針をつくり、会社としての対応の進め方を示しているが、民間での取組は未だ緒に就いたばかりだ。
都では、(カスタマーハラスメントの)対応の方法の紹介や助言等を進めてきたが、今後、ウェブやポスター等による啓発を行うほか、官民一体での意見の交換をするため、経済団体や労働団体の代表が一堂に会する公労使会議の場を活用し、カスタマーハラスメントについて議論を行い、適切な対応のあり方について検討していく。