のらねこ、写真を撮るのに主人公なんて必要?
よい写真には物語が必要だ――。
よく言われることです。
てことは、物語であるからには必ず主人公が必要なはずですが、でも写真って別に必ずしも人を撮るわけじゃないし、ともすればテーマが人とも限りません。
そのような、人が一切写っていない場合にも必ず物語が必要となると、ここでいう主人公とは一体なんのことなのでしょう。
物語のある写真を撮るには、どうしたらいいのでしょう――?
皆さま、こんにちは。
初めてご覧いただいた方も、めっちゃありがとうございます。
僕は目標管理Webサービス Project Sylphius の開発・運営をしています、TOMCAT HEART の中島です。
努力ができない、がんばれない、むしろ僕なんてそもそも何もできっこない。毎日怒られてばかりの人生がずっと続くんだ。
いつもいつも、そんなふうに感じている人は、ほぼだいたい “目標管理” できていません。
目標が管理できていなければ何も成し得ないなんて当たり前のことですが、そんな当たり前のことに意外とみんな気づいていなかったりするのです。
この のらねこに何ができる? では、だったら目標管理なんてどうやればいいのか。目標管理をすれば何でも上手くいくなんて本当なのか。
そういったことをお伝えするために、僕自身が計画して僕自身が実践してきた様々なことを連載形式で、かつ、なるべくオモロくお伝えする内容となっております。
現在は “のら写真家に物語は撮れる?” を連載中で、アマチュアカメラマンとして風景写真を20年間撮り続けてきたノウハウを生かし、物語のある素晴らしい写真の撮り方を研究しています。
1. 物語とは、時間の流れである
以前の連載で、写真における “テーマ” とは自分の気持ちを時間軸で表現したものだ、という話をしました。
ご興味あれば記事をお読みいただければと思いますが、つまり人間の感情というものは、
こういう状況で
こういう感情から
こういう感情に変化した
と、時間軸で表現することで分かりやすくなるよ、って話でした。
別に写真に限らず、物語性のある芸術作品は文芸・マンガ・映画なんでも、主人公の感情変化を時間軸で表現しますよね?
主人公がいて
悪役が主人公を苦しめていて
主人公がそれを解決して
晴れやかな気持ちになる
ハッピーエンドの場合は特に、物語は主人公がポジティブな気持ちになることを目的とします。
また仮にハッピーエンドじゃない場合でも、少なくとも感情の変化は必ずあるものです。
これは写真も全く同じで、主人公の感情変化を表現するために撮る、という考え方は同じなのです。
その証拠に、だいたいの人は感情が動いた瞬間にすかさず撮るでしょ?
素人でも誰でも。
つまり物語とは、時間の流れがあって、そこに感情の変化があれば表現できるってことなんです。
あとは、どうやればそれが分かりやすく伝わるか、の部分だけです。
2. 物語は、“何か”との関係性があれば成立する
物語には必ず主人公がいます。
主人公のいない物語なんてありません。
物語の主人公がたくさんいたり、誰だか分からなかったり、見ている観客自身だったりするケースはあっても、主人公がそもそも物理的に存在しないことは絶対にないです。
その際、主人公の物語が物語として成立するためには、“何か” と関係性を紡ぐ必要があります。
何もない虚無空間にポツンと主人公が1人いるだけでは、変化が生じようがないので物語が成立しません。
ですから物語には、登場人物が2人、最低でも必要になります。
そして主人公と関係性を紡ぐ “何か” のことを、一般には 脇役 とか ヒロイン とか、または 悪役 などと呼ぶわけですよ。
もしくは場合によって “何か” は人間ですらなく、悪い状況それ自体が悪役の役目を果たしたりもします。
写真の場合、他の芸術作品と比べても “主人公” という言葉が持つ意味の範囲はとても広く、たとえば風景写真の多くは主人公は人間ではありません。
森に生えた木だったり、町中の建物だったり、あるいはたまたまそのへんにいた鳥や、ショーウィンドウに飾られた人形なんかです。
その写真に、主人公と “何か” の2つが写っており(または写ってはいなくてもいることが表現されており)、その何かとの関係性による気持ちの変化が表現がされていれば、それは列記とした物語となります。
ただし写真は、主人公の自由度が高い反面、静止した一瞬の時間しか表現できないため、時間軸の表現が苦手という制約があります。
ですので必然的に、時間の流れを表現するために、“感情が変わる直前” もしくは “感情が変わった直後” を描写することで、物語を表現します。
3. 物語のある構図の例
では、実際に僕が撮影した写真を例に、物語を表現した例を見ていただこうと思います。
(一流カメラマンと比べるとちょっと分かりにくいかもだけど、そこはご勘弁のほど)
前回紹介したとおり、写真では “額縁構図” “消失点構図” “対比構図” などを使えば時間の流れを表現することができます。
構図が決まったら、あとは主人公と何かを写すだけです。
ケース1. やもり夫妻
主人公とヒロインを同時に写す例です。
野の生き物にも人生があるという考えは一般的なものですから、この写真を見て「このゴムの塊がどうかしたのかな」と思う人は間違いなく少数派でしょう。
多くの人はこの写真を “なんやかやドラマがあって今この状態” と解釈するはずです。
それゆえ、このように登場人物を直接2人写すと、その2人の関係性をダイレクトに表現することができます。
ケース2. 戦う狛犬
主人公だけが写されており、ここでは敵となる相手が写されていません。
ですが狛犬の目線と、水平線の傾きにより、臨戦態勢であることが表現されています。
どんな相手と戦おうとしているかは、狛犬が背にしているもので決まります。
ここでは神社を背にしているので、戦う相手は信仰を妨げる悪者です。
ですがそれが具体的にどんな人物なのかは、写真を見る人の想像に任されています。
ケース3. お金を要求する牛
写真を見る人が主人公になるパターン。
この物語では牛は悪役であり、ただの通りすがりにすぎないあなたにお金を要求すべく、目で訴えています。
視線がこちらに向いているかのようなアングルで撮ることで、そのような物語の流れを感じさせます。
ケース4. 街中に咲く菜の花
主人公が前景に、そして背景そのものが悪役となるパターンです。
生きづらい場所で、それでも一生懸命花を咲かせている、と読み解くことができます。
ですので、写真それ自体は日の丸に近い3分の1構図ですが、物語的にはこの写真を対立構図と受け取ることもできます。
ケース5. 忘れられたジャックオーランタン
この写真はヒロイン(?)のみの描写で、主人公が写っていません。
主人公はこの提灯を作った人物(おそらく近所の子供かお年寄り)で、忘れ去られた、と解釈することができます。
ケース6. 協調性のないカモメ
ちゃんと列に並ぶお利口なカモメの後ろに、自由気ままなヤツがいる、という構図。
もしくは1匹だけ何かに気づいた賢いカモメ、という解釈でもいいかもしれません。
発表の仕方により、何かの社会風刺に使えそうな1枚。
ケース7. 夕暮れなずむ街
主人公も脇役も一切写っていない例です。
夕日に沈む街を描写することによって、そこに様々なドラマがあることを想像させる、という撮り方になります。
4. 写真で物語を撮る手順
写真で物語を表現する方法は、上記以外にも数限りなく無数にあります。
ですが構図の決め方自体は、おおむね下記の手順に近いものになるのではないでしょうか。
まず主人公を決める
主人公と関係を紡ぐ何かを決める
何かと関係することで、主人公にどんな感情変化が起こるかを考える
どの構図を使えば、その感情が表現できるかを考える
次にカメラを構えたとき、この手順を意識してみてください。
きっと、今までよりもワンランク上の出来栄えになると思います。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
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