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のらねこ、写真の意味が伝わらない

昔撮った写真を今になって見返すと、何が撮りたかったんだか分からないものがポロポロ出てきますよね。
自分で撮ったことは覚えてるんだけど、、、
「この、晩飯の右半分だけのヤツ、何を撮ったんだっけ? いや違う。晩飯じゃなくてその後ろのテレビを撮ったんだった」
とかね。
1週間前ですらすでに記憶が危うかったりして。

なんでそんなことが起こるのか。
当たり前だけど “パッと見で分かる写真” になってないからですよね。
一目で意味が分かれば、それをいちいち自分で覚えておく必要はなくなるのです。

でも、そんな写真なんてどうやって撮ればいいんでしょう?
生まれついたセンスとかないと無理?

いやいや。
写真を分かりやすくする技法はちゃんと学問化されてるし、素人が覚えやすい方程式もちゃんと存在しますよ!

――皆さん、おばんでございます。
もしくは初見の方、クリックしてくれてウルトラウェルカムです。
僕は目標管理Webサービス Project Sylphius の開発・運営をしています、TOMCAT HEART の中島です。

毎日毎日つまらない。仕事もつまらなければ遊んでいてもつまらない。そしてそんな人生が当たり前になっている。
そういう考え方の人達に足りないのは “目標管理” です。
世の中というものは、目標管理スキルがあれば何でもうまくできるようになるものです。

この のらねこに何ができる? では、「じゃあ目標管理ってどうやるの?」ということをお伝えするために、僕自身が計画をたてて僕自身がやってきた色々なことを、なるだけ面白く読んでいただけるようにがんばって執筆する企画になっております。

現在連載中の “のら写真家に物語は撮れる?” は、アマチュアカメラ歴20年の僕が、物語性のある凄い写真の撮り方を研究するってシリーズです。

全体の執筆計画はこちら:
1. いい写真にはテーマが必要
2. テーマと物語性の関係
3. 撮影の基礎知識
4. 構図設計のやり方(今回)
5. 物語の表現の仕方
6. 写真に写る情報を整理する
7. レタッチの重要性

過去のバックナンバーはこちら


1. 物事は何でも、構成を組み立てないと意味が通じない

記憶力に自信過剰な人ほど、自分で書いたメモの意味を忘れがちですよね。

たとえばあなたの家の冷蔵庫に掲示板があって、そこにこんなことが書かれていたとします。

おとん ぬてら 事故の元

1ヶ月後に見直したとき、この意味が分かるでしょうか。
あなた自身が自分で書いたことは覚えています。

書いたときに理解していたことは覚えててても、はてさて、何のことだったのか。
「自分で書いたんだから分かって当然でしょ!!」って意識が強すぎる人が、えてしてこんなメモを書いてしまいがちです。

そんで、忘れて悩んだこと自体も忘れて次も同じことを繰り返すとゆーね。
学習能力ゼロキロカロリーじゃん!!!

こうした殴り書きメモの多くは、時間がたつと凄い勢いで意味不明になっていくものですが、なんでかというと情報が足りないからです。
未来の自分でも分かるようなメモであるためには、以下のように書くべきだったのです。

おとんがテレビで見た「ぬてら」なる食べ物を買ってくるかもしれない。
糖尿病が悪化するって、先生に怒られるに決まってる。
見つけ次第隠すこと!

2日か3日間くらいならもっと短くてもいいかもしれないけど、1ヶ月もの長期に渡って覚えておくためには、これくらいの情報量がないといつまでもずっと覚えていられるわけがないのです。
このメモの場合、ヌテラ(ヘーゼルナッツクリームの商品名)を隠すことを忘れてしまうとお父さんが健康を損なってしまうわけですから、うっかり忘れちゃうとピーポー救急車が緊急スクランブルダッシュしてしまいます。

でもちょっと不思議なのは、なぜ最初の文章 “おとん ぬてら 事故の元” は意味不明だったのでしょうか。

  • お父さんという登場人物

  • ヌテラというキーアイテムの名前

  • 隠す理由

の3つがきちんと描写されています。
にもかかわらず、“意味不明であることが一瞬で分かる” のです。
ちゃんと情報は盛り込まれているのになんででしょう??

答えは簡単で、この短い文章には “構成” がありません。
だから意味が通じないのです。

文章の場合、構成に相当するもののことを “文法” と呼ぶわけですが、情報というのは正しい文法(=正しい構成)で記述しないと意味が通じなくなるものなんです。
これを見るだけでも、「自分が覚えてればいいじゃん!!」が理屈として通じないのは火を見るよりも明らかです。

もちろん、写真にも文章でいう文法に相当するものが存在します。
一般には “構図” と呼ばれるんですが、この構図について考える学問のことを “構成学” といいます。

見れば一発で分かる写真を撮るためには、写真が構成学で定められた文法通りに描写されてないといけないのです。

2. 構図構成の基本は型にはめるだけ

ただし、だからといって難しい文法書を1から順にやっていくのは、時間がかかりすぎてしまいます。

オービーアファインガールキスミー
アービーツィーデーエーエッフェジー
ゆうていみやおうきむこう

学生時代にこういうの暗記しましたよね?
毎日毎日そんなにがんばって暗記なんてやってたら、寝る時間が夜しか無くなってしまいますよ!

写真にはお決まりの型が用意されているので、なので初心者はまずそれを使うのが定石です。
初心者は、っつーか、この “写真の型” なるものはプロでも普通に使うものです。
写真のプロだけでなく、絵画やデザインのプロだって構図設計には型を使います。

ここでは、一般によく使われる型をいくつか紹介します。
他のネット記事とか見ると、人によって名前とか違ったりするんですけど、おおむね以下が一般的です。

1. 3分の1構図

世の中でもっとも一般的な構図です。
単体の被写体を、他と比較せずに描写するのに向いた構図で、見る人にバランスがよく安定してる、と感じさせる効果があります。

こんな感じで、背景はあまり意味がない状態で、被写体の中心点を上下左右の縁から3分の1の位置に配置します。
こうすると、その被写体に表情があるかのような錯覚が生まれ、その結果中心に置くよりも “そこにある感” が強くなるんです。

特に、被写体がなんとな~く三角形に見えるように配置することを三角構図といい、どっしりした力強さが出るのが特徴です。

2. 額縁構図

美術館などに飾ってある絵画には、ほぼ100%額縁が付けられています。
一般に、絵を額縁なしで飾る人はほとんどいません。

このとき、“額縁” と “その中の風景” とでは、さも距離が異なるかのような錯覚が生まれることが知られています。
額縁に入った風景画では、額縁よりもその中の風景の方が遠くにあるように感じる、ってことです。

この効果を利用して、写真の周辺部と中央部とで異なる被写体を置く配置を額縁構図といいます。

この写真では、雲を森で囲む配置にすることで空に奥行き感を出しています。
空を森で囲むことで、空がすごく高いような錯覚が起こるんです。

また額縁構図では、被写体の配置を利用して時間経過を描写することもできます。

この写真では、まるで鳥居がどこまでも無限に続いていて、奥に写っている人物が迷っているかのような錯覚を覚えます。
これは、手前にある鳥居と奥の鳥居との間に(人が勝手に)時間経過を感じるゆえに、「時間が経過しているのに風景が変わらない」ことを奇妙に感じるためです。

また額縁構図は、物事の奥行き感や時間経過感などを効率的に描写できるため物語性の強い写真に向いており、それゆえ様々な亜種構図があります。

  • トンネル構図

景色を、コンクリートや花のトンネルの向こう側に配置することで、景色との間に距離感を感じさせます。
トンネルの向こうに花畑を配置することで、“昔懐かしい景色感” なんてものを描写できます。

  • 消失点構図

全ての被写体が、写真の中にある1点に向かって集まっていっているかのような構図。

額縁にはなっていないものの、奥行きを利用しているという意味では、これも額縁構図の亜種となります。
奥行きを強調することによって、風景を写真のフレームよりも広く見せることができます。

3. シンメトリー構図

上下または左右の配置を同じにする手法です。
機械的な雰囲気を感じさせる効果があるため、造形美を強調することができます。

特に、門などの大きなもので、中央の被写体を挟むような配置を観音構図と呼び、荘厳な雰囲気を感じさせます。

4. 対比構図

“左:右” “右上:左下” “左上:右下” で構図を割り、それぞれに異なる被写体を入れます。
別名 “対立構図” とも呼び、その名の通り2つの物事が対立しているような雰囲気になります。

空と木の対立構図
都市と海の対立構図

5. S字構図

女性の肉体を例に出すまでもなく、人間にはもともと、くねくねとしたカーブを描く形状を「なまめかしい」と感じる本能があります。
道のカーブ・人体などが、滑らかなS字カーブを描いているように見せる構図です。

このとき、ファッションモデルの腰つきのような、理想的なS字カーブのことを ホーガスライン といいます。
S字はホーガスラインにより近い方が、セクシーさをより強調することができます。

3. 構図を利用するときの注意点

うまく構図を利用するコツは、自分が利用した構図がどんな効果を発揮しているのかを、理解して撮ることです。

この構図を利用したから ⇒ こういう雰囲気になった

と正確に理解するよう努めることで、効果的な構図がより効率的に作れるようになります。

また、テンプレート構図が上手く使えないからといって、オリジナルの構図を勝手に作らないことは大切です。
型を覚えられない人が、オリジナルの型を自分で作ることには全く意味がありません。

これは例えていうなら、英語が覚えられない人が、だったら自分でオリジナルの言語を作ろう、と考えるようなものです。
もともと英語圏の人達とコミュニケーションするために覚えようとしていたはずなのだから、それをオリジナル言語に置き換えたところで誰ともコミュニケーションできないのですから、何の解決にもなっていません。

写真は、身の回りの人達、コンテストの審査員、あるいは誰でもなくアルバムを見返した未来の自分から良い評価を得るために撮るものです。
そのような人達にオリジナル言語で話しかけても意味は通じないのと同じで、オリジナル構図では何が撮りたかったのか意味が通じません。

まずは、型通り、ルール通りの写真を撮ってみてください。
それだけでも、出来映えが少しよくなると思います。

ではまた。

さて来週は、覚えた構図設計を駆使し、写真で物語を表現する方法について、研究していきます。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。
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