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北欧モデルに学ぶ、地方都市のデジタル変革

学ぶこんにちは、製造業で情シスマネージャ―をやっている「まさ」です。

今回、2月27日に行われた企業横断型の変革ワークショップ「あいしずHRでの議論したこちらのテーマについてアウトプットします。

北欧のスマートシティを実現する「北欧モデル」を日本の地方都市にインストールするには?



① 北欧のイメージ

北欧とはスウェーデン🇸🇪、ノルウェー🇳🇴、フィンランド🇫🇮、デンマーク🇩🇰、アイスランドなどの国々を指しますが、そんな北欧の国々にどんなイメージを持っていますか?

寒い、自然が豊か、福祉が充実、税金が高い、先進のテクノロジー企業がある、生活が豊か、北欧家具、デザイン、ムーミン、NOKIA、VOLVO、IKEA、サウナ、オーロラ…

こんな感じでしょうか

自然の中でゆったりと生活出来る、住みやすいイメージは定着していますね。

その一方で北欧の国々は、デジタル技術を活用して人々の暮らしを支えるスマートシティの先進国だと言うことをご存知でしたか?

実は、あまり知られていないこの意外な一面を今回のワークショップで知ることになります。


②北欧のスマートシティ

あいしずHRでは毎回、事前に指定された課題図書に沿って、対話とディスカッションを行います。

2月27日の課題図書は「北欧のスマートシティ テクノロジーを活用したウェルビーイングな都市づくり」(安岡美佳さん/ユリアン森江 原 ニールセンさん著)でした。

本書は、北欧のスマートシティの事例とその背景にある文化や考え方、さらにはシステム化のコンセプトまで詳しく紹介しています。

私も、この本を読んで北欧諸国が交通インフラから行政サービス、学習サービスなどあらゆる生活シーンにデジタル技術が活用され、人々の暮らしに浸透していることを初めて知ったのです。

▶︎港湾産業の衰退期、新たなインフラを整備して人と産業を呼び込む(マルメ市)

▶︎地域医療や介護人材不足などの課題を解決するデジタルとヘルスケアの研究拠点(オウル市)

▶︎環境に配慮した移動手段を実現するグリーン・モビリティ

▶︎デジタルを駆使して生産し食材に付加価値をつけるフードテック

▶︎図書館を中心とした人と情報が集まる共創体験の場


③北欧モデル -コンセプト

このように「北欧のスマートシティ」を読むと行政や企業が取り組んだ様々なスマートシティ構想の事例を理解することができます。

しかし、そこで私が共感を覚えたポイントはシステムや仕組みの面ではなく、考え方やコンセプトの面なのです。

この共感ポイントを勝手に「北欧モデル」と名付けて紹介していきたいと思います。

▶︎ 北欧モデルのコンセプト

  1. 目的が人々の生活を豊かにするためにあること

  2. 現状の課題解決ではなく破壊的イノベーションを目指したこと

  3. 多様性を許容し、人々を支援する枠組みと共創の場を作ったこと

その中でも3番目の「多様性を許容し、人々を支援する枠組みと共創の場」の代表例である、リビングラボと言う参加型デザインの取り組みは大変参考になりました。

参加型デザインとは、開発担当者やデザイナーだけでなく利用者も含めたステークホルダーが設計の初期段階から参加する共創型の開発手法を言います。

北欧では、システムも含めたモノづくり、コトづくりの現場でこのリビングラボという場が作られ、参加型デザインの手法でプロジェクトが進行するのが当たり前なのです。

企画構想・要件定義・設計、デザイン・製造、プログラム・テスト・運用などの工程がキッチリと決められていて、役割と共に参加者や予算や成果物が決まっている日本のやり方とは大きく違いますね。

では、このような開発プロセスが北欧では一般的であり、何故このような曖昧さが残りそうな一見、危うそうなやり方が上手くいくのでしょう?


④北欧モデルの特徴 -文化・思想

参加型デザインやリビングラボが成果を上げて定着した理由。その答えをひと言で表すと、

北欧ならではの文化や思想そのものたから

だと思いました。

リビングラボや参加型デザインの考え方のベースとなっている文化や思想とは、具体的にはどんなものなのか、本書にはこんなキーワードが書かれていました。

北欧では、最小限の機能を実装し、実験を繰り返し、様々な可能性を模索しながら改良を重ねるやり方を重んじる

なるほど。

普段の人々の生活(恐らく学校教育も)にもこのような思想が根付いているのでしょう。

さらに、こんなキーワードもあります。

人は誤りという前提に立った仕組み

安心感を与えるデータベースのデザイン

個人情報をオープンにする文化

私達が開発する業務システムの開発プロセスに置き換えてみますと…

最初は立派なコンセプトを掲げてスタートするけど、時間の経過と共に周りの声に引っ張っられ、いつの間にかコンセプトとかけ離れたシステムになってしまう、なんてことが良くあります。

その原因は、文化や思想と言うレベルまでコンセプトが浸透しないまま開発が始まってしまうからではないでしょうか?

文化や思想のレベルまでいかないまでも「プロジェクト憲章」や「MVV」などの形で明文化して毎回全員で確認することは必要なのかもしれませんね。


④地方都市の課題

私が勤務している会社は、愛知県の西三河地方に本社を置く、いわゆる「地方都市の製造業」です。

地方都市には、東名阪の大都市圏にはない様々な課題があります。

  • 人材不足・人口流出が激しい(特に若手や女性)

  • やりがいのある仕事、面白い仕事、高利益・高収入な仕事が少ない

  • 企業内イノベーションが起こりにくい風土、変革しにくい文化

企業横断型の変革ワークショップ「あいしずHR」に参加している企業の方は、まさにこのような課題を肌で感じながら事業や仕事をしています。

そこで、地方都市はこういった課題を乗り越えるために何をしたら良いのでしょうか?

その解のひとつが「北欧モデル」ではないかと思います。


⑤地方都市のポテンシャル

日本の地方都市はポテンシャルを持っていると思います。

古くからの伝統を大切にしながらも一度方向を決めたら、何年かかっても地道にやり続ける粘り強さと意志の強さ、そして仲間同士の強い団結力を持っています。

そこに「変革と破壊的イノベーション」を起こすための「北欧モデルのコンセプトと価値観」をミックスさせれば、間違いなく「コト」が起こるはずです。

「北欧のスマートシティ」に登場する都市と私達の近いの都市を並べてみましょう。


▶︎コペンハーゲン(デンマーク)
人口約81万人のデンマークの首都
静岡県浜松市(78万人)、新潟県新潟市(77万人)と同規模

▶︎ヘルシンキ(フィンランド)
人口約66万人のフィンランドの首都
静岡県静岡市(67万人)、岡山県岡山市(71万人)と同規模

▶︎マルメ(スウェーデン)
人口約35万人のスウェーデン第三の都市
愛知県豊田市(41万人)、愛知県岡崎市(38万人)、愛知県一宮市(37万人)、愛知県豊橋市(36万人)、長野県長野市(36万人)と同規模

▶︎オウル(フィンランド)
人口約20万人のフィンランド第五の都市
静岡県富士市(24万人)と同規模


こうして比較するだけで身近に感じて来ました。そして何かコトを起こすことが出来そうな気がしてきましたね。


⑥北欧モデルをインストール(私たちにできること)


では最後に、北欧モデルと日本の地方都市にインストールするにはどうしたら良いのでしょうか?

あいしずHRでの議論をもとに、自分なりにまとめてみました。

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▶︎越境学習の定着
まずは企業の中に越境思想をインストールして越境学習の人材育成プログラムを定着させること

▶︎共創の場つくり
次に越境学習する際に集まって対話するための場所と共創を生み出すためのワークショップ活動を日常化すること

▶︎人々の体験の資産化
最後にその活動で積み重ねた人々の体験を組織内で正しく評価し、組織の価値を高めること
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このようなこ取り組みなら、市長や社長にならなくても、企業に所属する担当者でも出来るはずです。

そして、地方都市やその企業、さらには企業で働く人々が「一部の人たちの集まりで物事が決まってしまう閉鎖的な文化」から「多様性を許容して、フラットな対話を生むだすカラフルな文化」に変われた時こそ、地方都市が北欧モデルのインストールに成功した時ではないかと思います。

こういった取り組みに共感し、一緒にアクションを起こしたい方は、是非あいしずHRに参加してみてはいかがですか?



あいしずHRは、2023年4月沢渡あまねさんが中心となって立ち上がげた「地域にやりがいのある新たな仕事や活躍の場を創出する」有志が集まるコミュニティです。

あいしずHRの「あいしず」は、愛知県・静岡県の事で、発起人や参加メンバーは、愛知県や静岡県にゆかりのある方で構成されています。設立の背景や目的はこちらのnoteを読んで下さい。

私は2023年8月からあいしずHRに参加していますが、自分自身の成長と自社の課題解決につながる貴重な越境学習の場になっています。

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