第72話 友人の話-死神の体臭
死が近い人には独特のニオイがある。
クリーニングチェーンの受付をしているホシミさんはそういう。
「古い香料とカビと干物を混ぜたような感じ。ミイラを嗅いでみたら、そんなニオイがするんやないか、って思う」
病気のニオイではなく、事故で死ぬ人も、自殺する人も同じニオイがする。
「せやから俺が嗅いでるのは、その人に憑いてる死神の体臭みたいなもんかもしれん」
客の持ってくる衣類のニオイで、ホシミさんには死期がわかる。
長く地元でクリーニングの受付をしていると、「あの人はどうなっ