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[暮らしっ句]福引き[俳句鑑賞]

被災者の方々にお見舞いを申し上げます。
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 福引や 見知らぬ人に拍手され  今井春生
 福引の一番籤に 湧く拍手  田所洋子

 祝福されているシーンを思い描くだけでうれしくなりました。
 そんな経験は思い当たりませんので、たぶんそれも共感。
 年明け早々、大地震、飛行機事故と立て続けに悲しい出来事が起こりましたが、つらいニュースに長時間、接していると心的なストレスが過大になるそうです。東北の震災で実際に病む人が続出したとかで、今回は「気を付けましょう」との注意喚起がなされています。
 が、それって悲しみだけに共感していると危ないということかもしれません。ともに喜び、ともに悲しむこと、たぶんその両方が必要。
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 福引は 花の種にて小さかり  若本彰子

 字面をみると、がっかりしているようですが、その奥には「幸せって、ほんの小さなきっかけかも」という気づきがのぞいています。
 授かるのは「きっかけ」だけ。育てて花を咲かせるのは自分。
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 福引や くじ運のなき 父と子と  和田華凛
 福引や いつも当てる子 連れてゆく  小張昭一

 どっちも親子ですが、明らかに違いますね。前者は小説になりそうですが、幸せそうなのは後者。
 作品を人生の教訓にするのは邪道ですが、やはりアイデアが浮かんで、それを行動に移す人に、運命は拓けそう~
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 福引の子の 迷ひなく引く瞳  服部早苗

 福引きを引く、たったそれだけの行為も十人十色。そこまでは誰もが気づくことですが、作者の気づきはもう一段、深かった。
「福=景品」ではないはず。本当の一等賞は「福」なのでは?
「福」を引いたかどうかはわかりにくいけれど、

でも「あの子」なら「福」を引き当てるような気がする。
だって「瞳に打算やら迷いがないんだもの」

 そこに気づいた作者も「大当たり~」
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出典 俳誌のサロン 歳時記 福引き 
福引き

ttp://www.haisi.com/saijiki/huyukodati1.htm
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