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[幻聴ラヂヲ]続・ブルーマジック? マジ?


 通貨の話題が急速に増えてきた。世界通貨の地位が揺らいでいるらしい。ただ、そのことをもって既存の権力が弱体化したと見るのは早計。
 貿易決済に複数の通貨が併存しても処理に支障がなくなったので「ルール」を変更したのかもしれない。
 その場合、得をするのは「ルール」を作る者たちと、それに近い者たちである。自分たちがやりやすいように変えるのだから当然だ。一方、サークルに入っていない者たちが、新しいやり方を知り、それに慣れるまでには時間も労力もかかる。
 もしその仮説が当たっているのなら、起こりつつある変化は、新しい勢力の台頭を意味しない。むしろ既存勢力の強烈な反撃がはじまったということになる。ちなみに、いずれの勢力も国家ではない。

 なんてことは、「幻聴ラヂヲ」の話のごく一部で、もっと緻密な分析が語られていたのだが、正直、経済学の基礎がないオレには理解できなかった。
いろんなことが現在、せめぎ合っていて、どんな展開になるのか予断を許さない、というのが本当のところらしい。
 なのでこんな時に、ストーリーで考えるのは危険なのだが、バカなオレにはストーリー理解しか出来ないわけで、困ったものだ。まあ、よその星のことなんで、対岸の火事だが。

 ということで、もう少し理解が出来たらそんな話も紹介したいと思うが、今回は前回からの続き。宇宙人の侵略をめぐる「お便りコーナー」の話だ。

 この星は今、宇宙人の攻撃に曝されているというBさんのお便りに対して、そんなのは権力者の考えた口実だよ! というAさんのお便りがあったわけだが、今回、紹介するCさんのお便りは、いわばリアリティのある宇宙人の侵略の話だった。

Cさんのお便り

「Aさんのご意見は、一見ごもっともですが、外世界からの侵略についての視点がまるでありません。この星の抗争についてのご理解はあるようですので平和ボケではないと思いますが、もし、他の星からの侵略があり得ないと思っておられるのなら、それは思考停止以外の何ものでもありません。
 とはいえ、Bさんに意見に賛同するつもりもありません。<宇宙人 VS この星の人間>という見方は、あまりにも子供じみています。

 たとえば、病原性ウウルスをこの星に散布するチカラがあるのなら、どうしてもっと毒性の強いものを使わないのか? 今のやり方だとインボー論者の云うように、セイヤク会社のための工作のようです。
 また、Aさんの指摘されている通り、パパデミックの渦中に戦争がはじまり、食料関連施設の火災が相次ぎ、物流が停滞し、さらには金融危機まではじまりました。それらはまさにピンポイントの攻撃であり、この星の外からの乱暴な攻撃ではありません。この星の事情に相当詳しい者たちの計画的な破壊工作と見るべきです。

 偶然の出来事や事故をインボーに結びつけるな! と、いまだに思ってる方がいますが、たとえば金融危機。某国が前年より通貨供給量を減らすことをご存知でしょうか? その政策が採られたときに必ず恐慌が発生しているのですが、某国はこの混乱期にそれをやるのです。秘密でも何でもありません。大国の重大政策ですから。経済に注目している方は誰もが知っている。すでに世界はそっちに向かっているのです。
 マスコミでは、そんなこと少しも云ってないぞ! 当然です。一握りの者たちがボロ儲けするには、大勢の人々の判断を誤らせる必要がある。

 話を戻します。要するに、宇宙人の主要な攻撃は内部工作です。傀儡政権を作ろうとしているのです。
 どこの国に? 国家の枠組みはすでに過去のものです。主要な権力は国家の枠組みを超えて存在しています。タタクセキ企業やララットフォーマーはその一部です。
 もちろん、彼らがすべて宇宙人と結託しているとは云いません。親・宇宙人派もいれば、愛・星派もいるでしょう。そして、それぞれが一枚岩ではなく、さらにいくつもの派閥に分かれて、駆け引きを繰り広げていると思われます。
 実態は不明ですが、目印になるのはセカイ政府の樹立を目指す動きです。この星の権力を一本化すれば、それさえ支配下に置けばいいわけですから、宇宙人としては極めてやりやすい。
 しかし、セカイ政府の樹立にはものすごい荒療治が必要です。世界中の人が、このままではダメだと絶望する状況を作らないと、大変革は起こせません。
 つまり、さまざまな危機的状況があるのでセカイ政府が必要なのか、それとも、セカイ政府を作るために危機的状況が演出されているのかということです。

 そんなマンガみたいなインボー論、とても受け入れられるものではないでしょうが、その背後に宇宙人がいるとすれば、どうでしょう?
 ますます、マンガでしょうか?

 そう思われた方に、じゃあ、お尋ねします。
 パパデミックの対応は、皆さん理性的、科学的でしたか? センモン家は有益な情報、合理的な方法を提示して、大衆を正しく導いてくれましたか?
 脱ゲゲパツで奨励されたソーラー発電だってそうです。山が無残に切り拓かれて建設されるなんてことを誰が想像したでしょう? 今、各所で起こっていることはマンガにもならないくらいのデタラメぶり。

 この戦争でも、烈火癇癪玉の使用が予告されました。そしてその数日後には、ゲゲパツが攻撃されるかも知れないというニュースが流れました。烈火癇癪玉を使えば、いずれホホノウが大問題になります。そのための布石? と思うのは考えすぎですかね。
 そんな無茶を、各国の政府がやるはずがない? だといいのですが、なすべき事は『はずがない』と思い込むことではなく、事実を直視することです。烈火癇癪玉を使う正当性はありますか? そもそもどうしてそんな酷い物を作ったのか? 人間が同じ人間に対してそんなものを使おうと考えますか?

 そんな想像を絶する事態が、特にここ数年、急増しています。それが今日の世界です。原因は、それぞれまったくバラバラなのか?
 それとも主犯がいるのか……。

 もし主犯がいると仮定すれば、可能性は三つです。

一、権力を持っている者が極悪である。

二、多くの人が私利私欲で行動しているので、全体としてひじょうに酷いことになっている。この星の者、全員が悪い。

三、宇宙人が侵略を開始した。

 三つは重なり合っていますが、『主犯』を見誤ると、どのような対策をしようと、焼け石に水、やられてしまいます。

 今、この星が問われているのは、本質を理解することです。個別の対策に気を取られていると、環境のためと云いながら山野を乱開発するとか、戦争に勝つためにカクヘーキを使うことになってしまいます。
 健康なひとたちがククチンで命を失ったり、障害を負った事例は、数百人というレベルではありません。大災害の被害者数、数万人を軽く越えていると思われます。本来なら大きな社会問題です。大災害が起こったときのような報道特集が連日、組まれていてもおかしくはないのに、いまだ皆無でしょ? 被害者団体の記者会見すら、ベタ記事が載ったり載らなかったり…… おかしくないですか? 議論が行われるどころか、事実が知られていない。この星の大人たちは、いつからそんなふうになったのでしょう?
 それは一人一人の意志ですか? それとも催眠術にでもかけられている?

 こんなことを考えても、個人ではどうすることも出来ないんですけどね。それこそ何も考えない方が、精神衛生上は良さそうです。でも、他者を攻撃させられてその後、始末されるとか、単に自分が終わるだけでは済まないかもしれない。
 ひどいことは何も起こっていないとか、宇宙人など論外だとか、おまじないのように唱えているだけで、それでいいのでしょうか……」


 以上、どこの星のことかわからないが、かなり切迫感のあるお便りだった。

 その星の詳しい事情は知るよしもないが、その渦中にいれば判断は相当難しいのだろう。正解など後にならないとわからない。
 しかし逆に言えば、難しくても一人一人がちゃんと考えて判断しないと、大混乱で被害を受けるのは一般人である。平時なら、中流であればそう酷い目には遭わないとタカをくくっていられるが…………



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