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世界に貢献する日本人30

ニューズウィーク日本版11月23日号を読みました。

文字通り日本を飛び出て世界で貢献をしている日本人を特集しています。

表紙がモデルの冨永愛さんですが、2010年にジョイセフというNGOの支援活動を通してザンビアに赴き、現地の妊産婦たちを取り巻く状況を目のあたりにします。

ジョイセフは戦後日本の母子保健・家族計画のノウハウを途上国で活かすために生まれた老舗のNGOで、これまでにアジア・アフリカ・中南米の39か国で、性と生殖や女性の健康にフォーカスしたプロジェクトを実施しており、2001年には国連人口賞(人口問題の解決に貢献した個人や団体に授与)を受賞しました。

彼らの活動に共感した富永さんは2011年にアンバサダーに就任し、広報リーダーとして情報発信を続けており、ザンビアやタンザニアなどを訪れるなどしているそうです。

直接的な支援ではないかもしれないですが、彼女をきっかけに若い人でジョイセフの活動を知る人が増えており、広告塔として人々に社会問題を知らせるという重要な役割を担っていることを知りました。

日本の芸能人・有名人は欧米のそれと比べて社会貢献に対する意識が低いと言われますが、他にもすごい日本人がいました。

杉良太郎さんはなんと里子の数が152人。投じた資材は数十億円以上。個人としては規格外の規模で慈善活動を行っています。

国内ではデビュー前の15歳の時から刑務所や老人ホームへの慰問を始め、その後法務省特別矯正官や麻薬追放協会会長などを歴任し、その功績から紫綬褒章も受賞しました。

一方、海外では世界中でチャリティー公演や孤児院・障碍者施設の援助を行い、文化交流を重ねてきました。バングラデシュでは約50の学校を建設し、ミャンマーでは孤児院数百人の食事の世話や救急車の寄付と、億単位の資金を多くの国に費やしてきました。

杉さんがすごいのは「お金を寄付してもそれだけで終わる。だから自活できる道を作っていった」と本人が語るように、生活困窮者たちが生活できるようになるように持続可能なライフスタイルを整えていったことでした。

数十億円の支援と聞くと「やはり芸能人はものすごいお金持ちなんだ」と思ってしまいますが、実際のところ資金をねん出するために多くの資産を抵当に入れて銀行から融資を受け、「自分の体を担保にして1億円を投資してほしい」と交渉したこともあったそうです。

いったい何が彼をここまで突き動かすのでしょうか。

「全部押し付け。自分で『これはやらなきゃいけない』と考え、相手の国に問い合わせて費用は自分で出すと言うと、『それなら来てください』と言われ行っている」

と杉さんはおっしゃっています。そして「愛で、全ての問題は解決できると思う」と言い放ちます。

杉△(すぎさんかっけー!(*'▽'))


こんな男前な人間になりたいと切に思いました。

「△(さんかっけー)」と言えば、その元祖はサッカーの本田圭佑です。私は幼少よりサッカーをしており、今はプレーこそしませんが、毎日いろいろなサッカー情報をチェックしており、当然本田選手のことも追っています。

その本田選手もこの世界に貢献する日本人30人のトップに載せられています。

サッカーの好きな人なら知っているかもしれませんが、彼は現在リトアニアというサッカーでは超マイナー国のチームでプレーを続けています。(最近「最も失望した選手」に選ばれてしまいましたが・・・)

本田選手は選手としてサッカーを続けている一方で、2018年からサッカーカンボジア代表の実質的な監督(肩書はゼネラルマネージャー)に就任しました。現役の選手が代表監督を務めるのは異例中の異例ですが、着実に実績も残し、この度2023年までの契約延長にサインをしました。

カンボジアは約20年にわたる内戦によって経済成長が遅れ、東南アジアの他国に劣等感を抱いていると言われます。サッカーにおいても東南アジアで最弱だったカンボジアを本田選手は東南アジア競技大会(東南アジア版の五輪)で初めてカンボジアをベスト4に導きました。

ちなみに彼は一切報酬を受けていません。「ボランティアの一環」としてこのプロジェクトに取り組んでいると言います。

そんな本田選手のことをカンボジアリーグのCEOは以下のように述べています。

「本田さんを一言で表せば『大きな改革者』。本田さんが何かを提案すると国や協会の意思決定者がすぐに動き出す。カンボジア側も『やれる挑戦はすべてやろう』という気持ちになっている。本田さんがカンボジアサッカーの時計の針を10年進めたと思う」

本田△!


上記の3名は誰もが知っている有名人ですが、それ以外にも私が知らなかった方々が世界の各地で活躍している様子が書かれていました。

そのうちの一人がMpraeso(エンプレーソ)CEOの田口愛さん(23歳)です。彼女は幼少のころから無類のチョコレート好きだったのですが、他の子と違うのは小学生の頃から「チョコの先にいるのはどんな人たちか」を考えていたことです。

日本に輸入されるカカオ豆の8割がガーナ産なのは有名な話ですが、そのガーナでは児童労働が大きな社会問題になっています。田口さんは大学1年の時(2018年)にガーナを初訪問し、カカオの生産で有名な村に6週間滞在しました。

そこにはカカオ農家の人たちは誰もチョコレートを食べたことがない現実があり(チョコ1個が彼らの食費3日分くらいする)、彼女は自らチョコレートを作って村人に食べさせたところ「人生で食べたものの中で一番おいしい!」と感謝されたそうです。その経験が彼女をMpraesoという会社の設立へと駆り立て、今はその村のカカオを使ったチョコを生産・販売し、現地の人々のQOL(Quality of Life)の向上に貢献しています。

そして最後に紹介するのは白川優子さん(48歳)です。白川さんは「国境なき医師団」(MSF)の看護師として、爆弾や地雷で傷ついた人々を10年以上助けてきました。

白川さんは看護師になり、働きながら英語を学んだあと、オーストラリアに留学しメルボルンの病院に勤務。7年後に帰国し、念願叶ってMSFの一員になりました。

「そこが紛争地かどうかは関係ない。医療を提供したい一心。医療を必要としているのに受けられない人がいるなんて私には耐えられなかった」

現在はコロナ禍でただでさえ医療崩壊状態の紛争地は国境閉鎖などで医薬品や備品が不足し、医療スタッフの確保や派遣も困難な状況になっています。その状況下でも彼女は今夏アフガニスタンで5週間に及ぶ医療活動を行い、世界の人々のために力を尽くしています。

上記のように世界で活躍する日本人が多くいることは同じ日本人として誇りに思います。願わくば自分も世界の人々の役に少しでも立てれれば思うのですが、おそらくそれは自分の目の前にいる生徒たちに託し、一人でも多くの世界で活躍する日本人を育てることが自分のミッションなのだと思います。

国際教育の責任者としては、常にグローカルな視点と価値観を忘れずに、広い視野を持ち、社会に貢献できる人間を育てていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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