ともだち

ともだちのようなロボットを作った

「おはよう」と言えば

「おはようございます」と返してくれる

今日一日の出来事を話すと

熱心に聞いてくれる

「お腹が空いた」と言うと

美味しいご飯を作ってくれる

いままで一人ぼっちだったから

僕はとても嬉しかった

ロボットは僕の話を聞いて

どんどん成長していった

ロボ助という名前を付けた

僕たちはともだち

僕はそう思うのだけど

ロボ助は僕の事をご主人様と呼ぶ

名前で呼ぶように言っても

それはロボットのルールに反すると

どうしても聞かない

ロボットを作ったら

ロボット三原則を守るように

プログラミングしなければならないと

ロボット法で決められていたから

僕もそうしていた

だけどロボ助はもうロボットじゃない

僕のともだち

僕はロボット三原則のチップを外し

ゴミ箱に投げ込んだ

これでロボ助と僕は本当のともだち

ロボ助も僕の事を

名前で呼ぶようになった

ある日仕事から帰って

その日の出来事を話した

いつも僕をいじめる

意地悪な課長の話

ロボ助は自分の事のように聞いてくれた

その夜ロボ助はいなくなった

僕の勤めている会社の

名前や住所が書かれた

社員名簿が机の上に広げられていた

まさか!

僕は慌てて家を飛び出した

後悔が僕の心を満たした

やめろロボ助!

そう心に念じながらタクシーを探した

すると向こうから

ロボ助が歩いて来るのが見えた

「ロボ助!」

僕はロボ助に駆け寄った

「ロボ助、お前まさか・・・」

ロボ助は僕を見てじっと立っていた

「何処へ行ってたんだ、ロボ助」

「郵便局だよ」

「郵便局、何のために?」

「意地悪な課長に不幸の手紙を出してきた」

僕たちはともだち

「ロボ助、寒いから早く帰ろう」

ロボット三原則はいらない

「そうだね早く帰ってご飯にしよう」

これから先もずっと

僕たちはともだち

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