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弁証法的行動療法(DBT)の最前線「DBTとは?」

弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy(DBT))は主に、感情的なストレスを管理し、解消、容認するのに役立つスキルトレーニングです。

それはすなわち、コミュニケーション、感情のコントロール、ストレス耐性を身につけ、極端・不適応な行動を特定し、より有用な行動に置き換える方法を学ぶのを支援する問題解決戦略と言えます。

治療の流れは、状況や重症度によって異なりますが、DBTのコストは通常、1セッションあたり100~200ドルです。

DBT(弁証法的行動療法)とは

DBTは、内観・内省的視点を採用し、自身の行動と解決策を分析し、機能不全を起こしている思考と行動パターンを置き換え、感情のコントロールをするためのスキルトレーニングをおこないます。

当初は、自殺確立の高い個人のための治療法として開発されましたが、現在では心的ストレスに関連する様々な問題を抱えるクライアントの治療に適応されています。

DBTとCBT

認知行動療法(CBT)は、大規模な研究のために多くの資金投入(市場価値としては163兆円規模)がおこなわれているため、介入的な治療においてスタンダード化されています。

上記の記事で詳しく記載してありますが、CBTでは、思考、感情、行動の関連性とパターンの特定、それに対しての置き換えが治療法となっています。

CBTの適応範囲は、

・うつ症状
・不安障害
・ADHD
・物質(薬物)依存
・過食症

など、幅広いメンタルヘルスの懸念に使用されています。

基本的にDBTは、CBTの原則に基づいた治療方法ですが、内省、内観的視点、ストレス耐性、人間関係やコミュニケーションスキルに焦点を当てています。

DBTは主に境界性パーソナリティ障害を治療するために開発され、自傷行為や感情のコントロールの困難を抱えるクライアントの治療にも効果的であることが示されています。

不安、うつ症状、その他のメンタルヘルスの懸念におけるDBTの有効性についての証拠は存在していますが、研究自体はCBTと比較して限られているようです。

DBTのコアコンセプト

DBTの2つの主要な概念は、

弁証法
人生の複雑さを認識し、個人が環境にどのように影響し、影響を受けるかを認識すること。


生物社会理論
人間が感情を調節する方法には、環境的な要因と生物学的な要因の両方が影響を与えるという考え。


上記になります。

弁証法

弁証法は、現実は複雑で、絶えず変化して相互に関連していることを示しています。

人間は、ある領域で変化が起きると、その変化がどのような変化であっても、それによる影響が他の領域でも感じられることがあります。

人は環境の影響を受け、人も環境に影響を与え、さらに、相反する影響も現実の一部であり、それぞれが自分のポジションを持っています。

それは、反対のように見えるリアクションや変化の存在も認めるということです。

弁証法的視点には、白黒という極論や、全か無かではなく、グレーや中間視点で問題を見ることがあります。

人はそれぞれに出来事や状況に関して異なる視点を持っていますが、弁証法は、それらの視点のそれぞれは真実の一部分であり、いかなる視点も「絶対的な真実」ではないことを前提としているのです。

生物社会理論

DBTは、「生物学」と「環境」の両方が、人間の感情をコントロールする脳機能の発達に大きな影響を与えているという理論に基づいています。

また、遺伝、胎児期の発達、幼い頃の外的要因による脳機能の違いにより、一部の人が極端な感情の管理に陥ったり、コントロールが困難になる可能性があると考えられています。

さらに、「生物学的に脆弱な人は、感情や行動が不適切、間違っている。または、小さい、罪深い、軽視されていると信じられている環境の中で生活している」場合、その人は感情をうまくコントロールする方法を学ぶことができません。

その代わりに、彼らは感情表現を完全にシャットダウン(心を閉ざす)するか、極端な方法で感情を表現することを覚えます。(例えば、言葉による攻撃、怒りの爆発、自傷など)

DBTでは、クライアントの問題は「不適応な行動に起因する」と見なし、感情、思考、感覚、行動は、「行動の構成要素」であると考えられています。

DBTの信念は、心的ストレスや感情の管理、またはコントロールの困難が、境界性パーソナリティ障害、不安、うつ症状、薬物使用、摂食障害、自殺などの精神疾患の中核にあるということを基にしています。

したがって、クライアントと療法士は、ストレスの原因である行動を特定し、より適応的な行動に置き換えることに重点を置くのです。

DBTの適応例

DBTの目標は、療法士とクライアントが協力して作り上げるため、定められた目標はありません。

DBTの使用と潜在的な目標の例としては、

・対人トラブル時に起きる自傷行為を止める
・暴力を使用せず怒りに対処する方法を学ぶ
・職場トラブルを乗り越える方法を学ぶ

などがあります。

DBTの広い意味での目標例

感情の規制:感情の理解と命名、感情に対する反応の変化、極端な感情のコントロール

苦痛の寛容:危機時の生存、悲惨な感情や状況の容認

対人関係の有効性:健全な人間関係の構築、トラブルを効果的に管理する方法

注意の制御:心的ストレスを増加させる思考、感覚、状況から焦点をシフトし、前向きな思考、感覚、感情を増加させるものに代替する選択

対処スキル:効果的な対処と問題解決戦略の使用頻度の増加

DBTが適応する症状

・境界性パーソナリティ障害
・自傷行為
・物質(薬物)依存性
・摂食障害
・抑うつ症状
・心的外傷後ストレス障害
・怒りの管理
・ADHD
・親密な相手の暴力(DVなど)


弁証法的行動療法(DBT)について、さらに詳しく理解したい方は↓をご覧下さい。

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