突然ショートショート｢三日坊主のクレーター｣/毎週ショートショートnote
「日本などの惑星探査機『ひらめき』が、小惑星リセタリーノでクレーターを発見しました…」
テレビの中のニュースキャスターが伝える声が、ビジネスホテルの小さな部屋の中に響く。
地球を旅行していた宇宙人のパラレは、画面に映し出されたクレーターを見てまもなく、ベッドへと顔を埋める。恥ずかしかったのだ。
パラレは、何をするにも飽きっぽい、三日坊主な性格だった。
学校の勉強、部活、趣味。唯一続くのは読書ぐらい。
そんな自分自身が嫌になって、住んでいたラベル星から家出して、宇宙をふらふらと探検してみたのだった。
時間が経つにつれてイライラが募っていく。三日坊主な自分自身への。
ある時、パラレは宇宙の中に見つけた小さな小惑星に降り立ち、憂さ晴らしにその表面を一発殴っていたのだ。
「…研究チームは『宇宙の謎を解く貴重な発見』として、今後も調査を続けるとしています」
パラレは言葉が出なかった。自らの憂さ晴らしが、地球人に大きく勘違いされていたのだから。
(完)(413文字)
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