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巡礼をしようと思う

これまで仕事人生を送ってきた。
新卒から旅行会社に入り、やりがいがありつつも多忙な毎日で、プライベートの時間なんてほとんど持つことができなかった。
深夜残業、休日出勤があたりまえ。振替休日、有休取得なんてもってのほかという環境でそれが社会人の常識と刷り込まれてきた。

10年ほど前にこれは一生働き続けるのは無理だと感じ、転職をした。
転職した先で...なんと労働環境は悪化した。
入社3日目で突然の徹夜作業、その後も週に2~3回は徹夜。よくて終電で帰るという環境になった。
時がたって慣れてきたかと思えば、またとんでもない業務量を課せられる。
さらに上司のパワハラ、、、。同僚がひとり、またひとりと辞めていく。

またか、ここも一生働く場所じゃないと悩んでいた矢先、某企業に出向が決まった。
出向先は...なんという天国。人は良い、業務量は適切、なにより仕事が楽しくてやりがいがある。
こんないい環境が世の中に存在するのかと衝撃だった。

当然、転籍を希望する。しかし、一筋縄ではいかない。
この企業は過去に出向者を採用して、出向元の会社と揉めたことがあるため、上層部は腰が重い。
というより「出向者は絶対に採用しない」という方針をもっていることを後々知った。
絶望した。天国が目の前にあるのに、そこに絶対に入ることができない環境に置かれているなんて、生殺しもいいところだ。

私は自分がしたいことは天地がひっくり返っても実現する人間なので、ここで生涯働きたいこと、そのためにスキルも持ち合わせており、今後も磨いていくことなど、必死でアピールした。
結果、採用試験を受けて受かればいい、との回答であった。
これは積極的にチャンスをくれたのか、試験を受けて落ちたら諦めろということなのか、正直分からなかった。
というより上層部も私の扱いに悩んでいるような様子だった。

人生をかけて採用試験を受け、なんとか内定をもらった。
出向元にも誠心誠意に想いを伝えて、正式に入社することになった。
ふう、、、ようやく安心して働ける。甘える気もない、やりたい仕事に一心不乱に取り組む、そう心に決めていた。

ところが...入社後の配属先がいままでとまったく関係のない部署。せっかく入社したのにこういっては何だが唯一やりたいこととはかけ離れた部署。よりによってここか、、、
それでも前向きにがんばろうと思ったが、仕事は事務作業が中心。営業など外に出て人と話をすることを生業にしてきた自分にとっては苦痛でしかない。
はじめはいい人だと思っていた上司も忙しくなるにつれて豹変していった。なんだか前の部署の人たちとも疎遠。
毎日を苦痛に感じたまま、1年後に異動願を出したが、ほぼ検討されることもなく却下、残留が決まった。
社内人事的に考えて最低あと4年はこのままの見込み。

家に帰っても休日も気が休まらずもうこのまま日々を浪費して人生を終えていくのかと考えると、もう病みそうだった。
なにかにすがる思いで、マインドフルネスや瞑想に興味をもった。
人間の悩みを消すのではなく、受け入れて流す。そんなことができれば今の気持ちが少しは抑えられるかもしれないと思い、実践してみた。
思いのほか、少し気が楽になった。もちろん調子が戻らない日もあるが、少なくとも実践した直後は頭がすっきりする。
そんな折、知り合いに西国三十三箇所を巡ったという人に会った。
これだ、と思い、『巡礼』を自分の中のひとつのテーマにすることにした。


西国三十三箇所の納経帳

関西に住んでいるので、まずは西国三十三箇所、熊野古道、そして目指すはスペインのサンティエゴ・デ・コンポステーラ巡礼。なにか変わるか分からないけど、どうせ変わらないならやってから諦めるぐらいの気持ちで。

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