Hiroto Okuda

京都工芸繊維大デザインM2/ Poietica 共同代表

Hiroto Okuda

京都工芸繊維大デザインM2/ Poietica 共同代表

マガジン

  • DfMSの覚書

    昨今、デザインと人類学が持続可能性という一つの流れの元に引き寄せ合いながら混ざり合おうという試みが渦の流れのように穏やかに激しく起きてきています。このマガジンはその中でも特にマルチスピーシーズの議論と融合したデザインの実践というものを中心に論文や書籍、そして実践からその輪郭を顕にしていくヒントを覚書として残してみます。

  • Fab village/ Fab-practice

    京都工芸繊維大学 KYOTO Design Labのファブビレッジ・プロジェクト(Fab Village Project)の一環としてFab-Practiceという実践型の演習を2週に1個のペースで行います。このマガジンではその記録と展望をまとめていきます。

  • aaiu note

    • 8本
  • Sotsusei-geppou(卒制月報)

    卒業制作の進捗を月一で報告するだけのまとめ

最近の記事

「闘争」としてのサービス

去年の今頃書いていた『「闘争」としてのサービス』がお蔵入りしていることに気づいたのでここに残しておく。 「闘争」としてのサービス著 山内裕、出版 中央経済社、2015年初版、全243ページ 概要本書はサービスの原理を解明しようというものである。サービスとは顧客を満足させることであるというテーゼが頻繁に聞かれるがこのような言説に対して感じる違和感を多少でも解明することが本書の目的にある。 本来サービスというものは、その過程に顧客がさまざまなレベルで参加するため不確実性が高

    • Twisted times

      去年の冬に映画のカナルタを出町座で見た後、映画館を出て商店街を歩きながら、はるか南米大陸で暮らしを営む人たちと同じ世界の中に生きているという事実がとても不思議に思えたことを覚えている。 ここ半年(そして特に最近)時差というものを意識しながら生活することが増えた。それは主に国外に住む人ととの仕事や、やりとりを通してだが、特にEU圏との時差を計算する能力はかなり上達したと思う。 日本が朝を迎える頃、ヨーロッパの人々は眠りについている。さながら小学校の国語の授業で習った「朝のリ

      • 存在論的デザインのための考古学

        このNoteは大学の課題で書いたレポートをせっかくなので公開しようという試みです。内容と語尾は少し柔らかくしてnote風に書き換えています。もっとわかりよい文章にしたかったのですが力不足でレポート的な書き口が消化しきれてないですが悪しからず。 昨年冬にオンラインで開催されたTama design universityでの久保田晃弘先生の講義にて提唱されていた可逆デザインという概念があります。これはデザインという行為にUndo(戻れる)機能を付与することで過去ー現在ー未来のデ

        • パラダイムを揺るがす方法としての「デザイン人類学」

          大学の課題で必然的に書くレポートをそのまま眠らせておくのも勿体無いなと思い、完成度はさておき思考の記録として公開しておくという試みです。 選定した書籍 日比野愛子、鈴木舞、福島真人 編、科学技術社会学(STS)テクノサイエンス時代を航行するために、新曜社、2021、200ページ 注目したキーワード クーンの科学パラダイム 1)なぜそのキーワードに興味をもったのか 現在Kyoto-Design-Labで大阪大学の人類学研究室と協働しているプロジェクトにおいてしばしば、科学

        「闘争」としてのサービス

        マガジン

        • DfMSの覚書
          4本
        • Fab village/ Fab-practice
          3本
        • aaiu note
          8本
        • Sotsusei-geppou(卒制月報)
          6本

        記事

          多元的デザイン雑感2022年7月

          この記事を読んだ感想として現状の多元的なデザインに対する自分の理解の雑感をまとめておく。 この記事の要点を整理すると 1.今日の文明の危機において都市を再考することは喫緊の課題である。 2.この課題は西洋中心主義的な(主にデカルトに由来する)都市や建築の設計のモードに起因している 3.特に人間がデザインによってデザインされる世界で、西洋的な関係性の認識が居住様式として社会には埋め込まれている。 4.そのため、根本的な相互依存性を前提とする多元的なデザインを都市に適用していく

          多元的デザイン雑感2022年7月

          DfMSへの覚書#3「課題設計の転回」

          このnoteはDesign for Multispecies Sustainabilityと呼べるような多種と共栄するようなデザインを実践するための輪郭を探索する覚書です。一介のデザイン学生が修士制作にまつわるメモを公開しているに過ぎないものなので内容のルーズさは悪しからずです。もし興味を持たれた方はプロフィールにTwitterとかあるので適当にフォローしてもらえると嬉しいです。では内容にいきましょう。 修士制作のテーマ 僕は修士号を取得するため、ミミズと共にデザインをする

          DfMSへの覚書#3「課題設計の転回」

          DfMSへの覚書#2「For The Love of Bees/ Healthy Urban Microbiome Initiative」

          このnoteはDesign for Multispecies Sustainabilityと呼べるような多種と共栄するようなデザインを実践するための輪郭を探索する覚書です。一介のデザイン学生が修士制作にまつわるメモを公開しているに過ぎないものなので内容のルーズさは悪しからずです。もし興味を持たれた方はプロフィールにTwitterとかあるので適当にフォローしてもらえると嬉しいです。では本題へ。 前回からの続き前回は「Multispecies Sustainability」の外

          DfMSへの覚書#2「For The Love of Bees/ Healthy Urban Microbiome Initiative」

          DfMSへの覚書#1「Multispecies sustainability」

          このnoteはDesign for Multispecies Sustainabilityと呼べるような多種と共栄するようなデザインを実践するための輪郭を探索する覚書です。一介のデザイン学生が修士制作にまつわるメモを公開しているに過ぎないものなので内容のルーズさは悪しからずです。もし興味を持たれた方はプロフィールにTwitterとかあるので適当にフォローしてもらえると嬉しいです。では本題へ。 初めに概要紹介今回取り上げるテキスト:Multispecies Sustainab

          DfMSへの覚書#1「Multispecies sustainability」

          Design for Multispecies Sustainabilityへの覚書#0

          修士研究が概念的なインプットばかりで閉塞感高いので久しぶりに外向きのアウトプットを書こうと思い勢いでシリーズとして初めてみる、まだ勉強中の領域なので内容も文章力も不安定だが覚書という言い訳をつけることで成り立たせてみよう。 これを書く数日前にアップされたこの記事めちゃくちゃタイムライン上でシェアされていたのですが、エコーチェンバー効果はあるとしてもデザイン側からの人類学の議論への期待値は高まっている。(多分) 自分自身も修士課程に進んで約半年ちょい経ってDesigns f

          Design for Multispecies Sustainabilityへの覚書#0

          「宿るための造形」Life in the Fab village #02

          このnoteはFab villageという京都工芸繊維大学D-Labのプロジェクトの一環として行う、Fab-practiceの制作日誌です。今回の課題は、3DCADと3Dプリンターを使用した制作物のデザインでした。 Fab village projectの説明はこちら 講義資料はこちら ここから実際に作ったものについて書いていきます。 自然に宿る3D-Printingこのプロジェクトでの自分のテーマはFab村民の暮らしを思い描く先に現れる、新しい日用品の美を探索するこ

          「宿るための造形」Life in the Fab village #02

          「自然観の彫刻」Life in the Fab village #01

          このnoteはFab villageという京都工芸繊維大学D-Labのプロジェクトの一環として行う、Fab-practiceの制作日誌です。今週の課題は、レーザーカッターを使用することを前提とした、自分のお題に沿った制作物のデザインでした。 Fab village projectの説明はこちら 宿題の動画はこちら ここから実際に作ったものについて書いていきます。 Fab villageで生まれ育つこのプロジェクトでの自分のテーマはFab村民の暮らしを思い描く先に現れる

          「自然観の彫刻」Life in the Fab village #01

          「Fab村民を目指して」Life in the Fab Village #00

          今年の春から京都工芸繊維大学に進学しそこで行われているプロジェクトの一つである「Fab village」というプロジェクトに参加しています。 Fab villageの概要はこちらから見ることができます。 このnoteではまずその一環として行う「Fab-Practice」という取り組みについて記録を公開して行くことが目的になります。 Fabで何を作るかFabという概念はMITのニール・ガーシェンフィールドが開講していた「How to make (almost) every

          「Fab村民を目指して」Life in the Fab Village #00

          観光客に代わる「何か」を求めて

          このnoteはPodcastから一部抜粋した書き起こしです、全編はPodcastからどうぞ。 態度の問題?奥田:生産という言葉が何を指しているかという話をすると、旅に出て観光客が何かを生み出すことを言っていて。そのためにどうしても人と協力したりする必要があると。その時に生産するものは何に向かっていけるんだろうかという、それが金銭に替えられる物でもいいんだけど何を見出したり生み出すと面白いんだろうということを言っている。 森口:なるほどね、「私は言っている」と笑 奥田:でも

          観光客に代わる「何か」を求めて

          「観光客」が帰る場所としての族

          このnoteはPodcastから一部抜粋した書き起こしです、全編はPodcastからどうぞ。 自由意志と連帯森口:SAIEN PROJECTはどちらかというとBLMに近い連帯の仕方っていうのを感じたのよね。一言で言えば自由意志で参加可能で、自由意志で脱退可能なものやねんな。 もっと言えばちょっと前からこの話をしているけど、マイルドヤンキー的なちょっと強制力のあるような入退室のし辛さがないと一過性のもので終わってしまうような気がしたな。 奥田:その話はわかるけど難しい問題や

          「観光客」が帰る場所としての族

          アフターデジタルガバメント(アフターデジタル#3)

          このnoteはPodcastから一部抜粋した書き起こしです、全編はPodcastからどうぞ。 前回の続きはこちらから https://note.com/tolero/n/n1c3d9e49e809 自分の個人データとの関わり方について堀:今回はデータとの関わり方について話したいと思います。 奥田:はい。 堀:情報データが常時企業に届いているわけやけど、それについてどう思うみたいな、そこの身の置き方とかどう付き合っていくかについて話していければと。 奥田:まあやっぱ

          アフターデジタルガバメント(アフターデジタル#3)

          情報アーキテクチャーと島人的存在の可能性(アフターデジタル#2)

          このnoteはPodcastから一部抜粋した書き起こしです、全編はPodcastからどうぞ。 前回の情報はこちらからどうぞ。 アーキテクチャー設計の分散化堀:今回はアーキテクチャー設計などについて話していきたいと思います。 堀:アフターデジタルの世界で、大きなこととして民間企業がアーキテクチャー設計を担えるという点があって。まずアーキテクチャーとは何かというと、ローレンス・レッシグが提唱した人の行動を変化させる力の一つとして上げられていて、アーキテクチャーはその中で環境

          情報アーキテクチャーと島人的存在の可能性(アフターデジタル#2)