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【企業向け】「コーチングのポイント~自主性を高めるコミュニケーション~」

いつもnoteをご覧いただき、ありがとうございます。

さて、今年も残すところわずか、年末が近づいてきました。
年末に向けて、徐々に気ぜわしい雰囲気になってきているのではないでしょうか。
周囲がバタバタ、ざわざわしてくると、障がいのある社員の中には遠慮しがちになり、会話の機会が上手く取れないという方もいます。
当事者の悩みを知るためにはコミュニケーションが欠かせませんが、接し方に戸惑っているという方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回のテーマは。
「コーチングのポイント~自主性を高めるコミュニケーション~」

障がい者雇用が進んでくると、採用もさることながら社員の定着ということに取り組む必要が出てきます。
いかに、自社に安定して勤務をしてもらうか、長く勤めてもらうかが課題となってくるのです。
これまでにも、定着についていくつかのポイントをお伝えしてきましたが、今回は社員の成長を促すコミュニケーションについて考えてみたいと思います。
 
人材育成の場面で活用されているのが、コーチングです。
一般社員での育成ではよく使われている手法ですが、障がい者雇用の現場でも活用すべき考え方でしょう。

コーチングとは

 
コーチングとは、社員の自主性を促し、能力や可能性を引き出しながら、目標達成に向けてのモチベーションを高めるコミュニケーションです。
コーチング型マネジメントとも呼ばれています。
コーチングの大きな特徴は、社員の自発性を促すことです。
目標達成に向けて、行動を強制するのではなく、対話を重ねることで社員が能力を発揮できる状態へと、自己成長を促します。
「コーチング」は、馬車という意味の「Coach」が語源です。
そこには対象者を望む場所へ送り届けるという意味が含まれています。
対象者が希望の場所にたどり着けるようにサポートする行為が、自主性を重んじるコーチングということなのです。
 
人を育成する手法には、「ティーチング」もあります。
では、「コーチング」と「ティーチング」の違いは何でしょうか。
 
この話題と取り上げるときに、良く活用されるのが、山本五十六の教育についての明言です。
 
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
→ティーチング(指示・命令)
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
→コーチング(支持・支援)

 
この言葉は、「コーチング」と「ティーチング」の違いをうまく表しています。
ティーチングとは、指導者が知識やスキルを教えることで、教える側と教わる側には上下関係があります。
そして、指導を通して答えを与えていく一方向のコミュニケーションが基本です。
一方、コーチングでは対等な関係性で、双方向の対話によって対象者から答えを引き出すという違いがあります。
ティーチングは指導者が得た知識やスキルを「教えることによる成長」を目指すのが特徴であるのに対し、コーチングは課題に対する向き合い方など対象者の「気付きによる成長」を促すのが特徴となります。

障がい者雇用で、自主性を促す人材育成が必要なのか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは障がいの有無に関わらず大切なものです。
自主性を持てる組織とは、「意見を発信する場がある」「発信した意見に向き合ってくれる」と感じられる、というのがポイントです。
自主性というのはその人がその組織に所属しているという感覚と、責任感を育むために大切な要素だからです。
一般の社員でも、「こうしたらもっと効率的なのに」とか、「こうしてみたい」とか思っても全く発言する機会がないと、それがずっと続けばそのうち「自分がこの組織にいる意味あるのかな」という思いになるのではないでしょうか。
ですから障がいの有無に関係なく、関わっている仕事について、職場について、何か意見があれば言える環境は大事です。
また、ただ意見を出すだけではなく、自分も責任を持ってそれにかかわる経験や、自分も参加をするといった体験も、その組織の一員であると感じられる要素です。
そういった、自主性・主体性を「コーチング」などを通して育むことが、雇用側の意識として必要なことなのです。

コーチングには、うまく進めるうえで必要なスキルがあります。

コーチングに求められるスキル

①   傾聴スキル
傾聴スキルとは、しっかりと耳を傾けて話を聴くことです。
対象者の発した言葉だけではなく、感情面にも配慮し、対等な立場として対象者を受け止めることが重要です。
また、対話をリードするのではなく、対象者に気付きを与えるようにフォローをしていくことが大切です。

②   承認スキル
承認スキルとは、成果だけでなく、相手の変化や成長に気付き、言葉で伝えることです。
成果だけで判断せず、プロセスにも目を向け、対象者が成長を実感できることでモチベーションアップや自主性を育むきっかけになります。

質問スキル
質問スキルとは、対象者の考える力を促す質問型のコミュニケーションです。
対象者の考えを引き出す質問や思考を広げる質問など、幅広い質問で対象者と対話をすることがポイントとなります。
リードではなく、フォローを意識した質問スキルが重要となっています。

では、コーチングで心得るべき三原則についても見てみましょう。

コーチングで心得るべき三原則

①   インタラクティブ(双方向)
「コミュニケーションは双方向で行われるものだ」と思っている人は多いですが、実際には上司から部下へ一方通行のコミュニケーションになっていることがよくあります。
しかし、そうしたやり方だけを用いていると、すべての事柄について上司に聞かないと物事が回らない状況になってしまう危険性ができてきます。
起こった出来事に自分でも考えて行動できるようにするには、一方通行の指示を与えるだけではなく、相手にも意見を言わせるインタラクティブなアプローチが不可欠になってきます。
こうしたアプローチよって、報告連絡相談を自主的にできたり、柔軟な考え方を持つことができたりするきっかけが生まれてきます。

②   オンゴーイング(現在進行形)
コーチングは一度受けたからといって、すぐにスキルが高まるわけではありません。
継続して働きかけていくことで、徐々にスキルを向上させていく必要があります。
3カ月ではそれほど変わらない人でも、1年や2、3年かけてコーチングを受けていくことで、変化が見られるようになります。

③   テーラーメイド(個別対応)
人の価値観、考え方、行動パターン、物事の受け止め方、情報処理の仕方は様々です。
障がい特性がこれに加われば、さらに個別性は高くなります。
個人差を無視して、一つのやり方を押し通したり、同じ言葉をかけたりしたところで、当然相手によって受け止め方は異なります。
だからこそ、一対一の個別対応が求められるのです。

障がい者雇用での支援もコーチングも将来的には自発性を促すことが目標となります。
つまり、コーチングの基本的な考え方を理解することで、障がい者社員の育成にも有効に活用することが出来るのです。
今後、障がい者雇用を行っていく中で、どんなことを意識し、どういったスキルを用いてアプローチすると社員の自主性を育み、長期的な雇用につながっていくのかを考えていただきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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