見出し画像

乳腺炎(胸の張り、胸の痛み)の鍼灸治療

疫学:乳腺の炎症性疾患で、乳房の発赤、疼痛、腫脹が見られる。細菌感染の場合は発熱、悪寒を伴い、腫瘍を形成することがある。

原因:乳汁の排出障害、細菌感染など。

注意点:急性乳腺炎は炎症性乳癌との鑑別が必要である。また、慢性乳腺炎による硬結が悪性腫瘍であるか否かの鑑別も必要。

一般的な治療法:保存療法、抗生物質投与、切開排膿、病的乳管切除など。

当院の治療法:基本的には背部痛や肋間神経痛、帯状疱疹、器質的病変のみられない胸の痛み、慢性的に呼吸が浅い、などの症状に対する刺鍼法と同様に治療します。特に乳腺炎の予防や、乳腺炎を繰り返す場合は、鍼灸が有効です。乳腺炎になる患者の多くは背中の筋肉が異常なほど硬く、自律神経や肋間神経が常に興奮しているような状況が見られます。乳腺が炎症を起こしやすくなるのも、背中の筋肉のコリが強く影響していると推察されます。基本的には背痛の治療と同様、起立筋群をメインに刺鍼します。首肩コリがあれば、頸部や三角筋にも刺鍼します。顎関節症(食いしばり、歯ぎしり)がある場合は斜角筋や胸鎖乳突筋が収縮したり、交感神経が優位になって、自律神経に異常を来すことがあるため、顎への刺鍼も必須となります。元々背中のコリが強かった場合は、1~3回程度の施術で背中が楽に感じられることが多いようです。背中のコリが減ってくれば、乳房の炎症傾向も徐々に改善が見られるようになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?